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同僚
しおりを挟むさて、そんなわけでマスターの店を封じられた私は、会社の同僚と新規開拓の日々を過ごしていた
その同僚とは、星 百海 女性、22歳
百海は私の仕事上のバディとでも言えばいいだろうか、同じ事務員という枠の同僚だ
ちょうど去年の今頃、クライアントが増えたことで社長が事務員を一人補充しようと提案してくれた
社長が「どうせ一緒に働くのは柏木くんなんだから同席しなさいよ」と、その時の採用面接に私を呼んでくれた経緯があり、採用後は私が一から教育をした
…ということで、今では可愛い妹のように思っている
さらにこの百海は、身長145㎝という可愛い女なのである!
私は同じ女性に生まれたというのに身長が170㎝もあって、どこへ行っても巨人扱いだ
一瞬だけでいいから、百海の目線を体験してみたい…
その可愛い百海と仕事帰りに、入ったことが無い店を制覇しようとこの1週間、毎日違う店に行って飲んだ
…色々見てはみたものの、いい店、落ち着く店がなかなか見つからず週末を迎えてしまった
「諦めてマスターんとこ行きなぁ~?」
百海にそう言われる始末…
「でもさぁ、なんかこう…お気に入りが1軒だけってのもなぁ…」
と、口から出任せの言い訳を並べ、来週も仕事終わりに旅に出ようと食い下がる私
「まぁ別にいいけどさぁ…」
持つべきものは飲んべえの友だ!!!
そうして金曜の夜も不発に終わり、百海はタクシーを拾って帰っていった
私はそれを見送りながら、百海のことを考えていた
私は酔い覚ましに歩いて帰る
朝はバスで駅前まで通勤しているが、私の足で15分ほども歩けば賃貸の私の部屋に着く
百海がうちに入社して、ちょうど1年が経過した
「若い頃にやんちゃをしていた」ということで初めての就職だった百海に、私が教育をして今日までやってきた
百海は元気っ子で職場の太陽として君臨している
見た目はギャルだが仕事には手を抜かない姿勢が職場の面々にも認められている
今では苦労をかけたお母様に親孝行をする時間が楽しみのようだ
そんな若いながらもしっかりと生きている百海が誇らしかった
そこで私は百海が1年頑張ったお祝いをしようと考えていた
実は少し前までバーのマスターに協力をしてもらおうと考えていたのだが…
状況がちょっと変わってしまったのでマスターのとこには行きづらくなってしまった
いや、うーん…でもマスターが一番話分かってくれるんだよなぁ~
仮に、この先マスターの店に行ってそこに理人が居合わせたとしても
おそらく向こうも頭の悪い子じゃないのでそういうものだとしてくれるだろう
もしくは百海と一緒なら余計なことは言わないでくれるだろう…と私は踏んでいる
それでも多少、嫌な思いはさせるだろうか…
…でも、ここはマスターにお願いしてみるかぁ
私は腹を決めて、理人に遭遇しないことを祈りながら、マスターの所に相談に行くことにした
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