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パワータイプ
しおりを挟む俺は赤坂さんからの告白を聞いているところだ…
これが嘘や夢でないなら嬉しいところだけど、もう夢なのか現実なのか脳が麻痺して曖昧だった
「最初はね、私の愚痴を聞いてくれたのが嬉しかったの、しがらみの無い友達が出来たみたいで…」
それが少しずつ恋心へと成長したということ?
「ほかの女の子とデートしてるとき、嫌だったって思ったのがきっかけで、すごくいおくんのこと考えてね…」
でもその時には彼氏のお迎えミッションで俺が拗ねてたこともあって、すぐに話が出来なかったと言った
すいませんねぇ、本当にいつまでもガキで…
「でもそれをいおくんに伝えてから、なんかスッキリしたと言うか…私はいおくんの事が好きなんだなって分かって…」
それで、それを伝えるために酒の勢いを借りて、あの日酔っ払って店に来たんだ…
「お風呂に入ろうって言われたとき、もう私的には自分の気持ちがハッキリしてたから、いおくんと…あの、そうなれて…嬉しかったです…」
そうだったんだ、それで急に可愛かったの?
なんでそれを先に言ってくれなかったんだよ
緊張で吐きそうだったよ
やることはしっかりやりましたけども…
「今日はお迎えに来てくれて本当に嬉しかった…私、改めていおくんが好きです」
昨日はどうしてあんなに積極的だったのかと思ったけど、赤坂さんは腹を決めてたんだな…
俺だけが知らずに頭が爆発しそうになってたんだ
それに、こうして俺にちゃんと向き合ってくれている
「…俺も言わなかったけど、俺はず~っと前から赤坂さんを好きだったんだよ?」
「ずっと前…から?」
一瞬迷ったけど、今なら話してもキモがられないんじゃないかと踏んだ
実家のマンションで一緒の班になったこと、俺に毎日声を掛けてくれたこと
ずっと恋だとは気づいてなかったけど、そのときから赤坂さんに恋をしていたこと
「俺のフルネーム、東伊織ね」
「…え?東くん、なの?全然分からなかった…」
俺だって綺麗になった赤坂さんを見たときは分からなかったよ
どっかで見たことあるかな~?って、赤坂さんだとはピンと来なかった
「東くんは可愛くて覚えてるよ…私は1人っ子だから弟だったらいいな~って思って見てたもん」
ほかの男子と違って乱暴じゃない所がポイントが高かったそうだ
そしてどこか不安そうにしていたのが気になって随分と声を掛けてくれたようだ
それで優しくしてくれたんだ…
「…あの可愛いフワフワの東くんが、こんなデカい男になっちゃってちょっとショック~!」
おい、言い方…
どんなに可愛い生き物だって育ったら可愛くなくなるんだよ!(語弊)
「ちょっと、そこショック受けるとこぉ?喜んでよ…」
「でも…私が好きなのは今のいおくんだよ…?」
ああ神様…俺、生まれて来てよかったです…
「ねぇ…今日から綾って、呼んでもいい?」
「…うん、嬉しい」
個室なのをいいことにテーブルを挟んでキスをした
彼女の漏らす吐息交じりの声を聴いてると、興奮し…
「…帰ってセックスしよ?」
俺も彼女もすぐさま席を立った
店を出た俺たちは、街の中を腕を組んで歩いた
コンビニで珈琲を買って俺の部屋まで
部屋に入ると俺は綾を抱えてベッドに座った
「もうみんなに俺の彼女だ~!って言ってもいい?」
彼女は恥ずかしそうにうなずいた
「…うん、ウチの職場の人はもう知ってるし」
ちょっと爽やかにウォーキングを挟んじゃったけど、さっきのキスの続きをする
綾の赤くなっていく頬が愛おしい
2人の想いが同じなのだと伝わる
「んんっ…」
あ~、このえっちな声…
耳から入ってきて脳がやられる
もっと聞きたくなる中毒性があって
俺の手は彼女の服の中に入り、その肌を撫でる
「…あっ、…んんっ…」
彼女の気持ちいいところに指を滑らせる
唇も舌も使って、その声をもっともっと聴きたい
「はぁ…ぁ…んっ…!」
彼女の体が跳ねて快感に震えるのが本当にえろい…
そうして声を聴きたくて
俺のセックスで気持ちよさにぶっ飛ぶ彼女を見たくて
何度も…何度も…
「…はぁっ…はぁっ…もう無理ぃ…!」
俺は綾の上に倒れ込んだ
綾も息が上がっている、なんか前もこんなんじゃなかった?
アスリートかよまったく…
「はぁ…いおくん…」
「ん?ごめん、疲れちゃった?」
「…気持ち良かった…」
そんなこと言ってくれるの…!?
しつこくして怒られるのかと思ったよ
俺たちけっこう合ってるのかもね…
それからゆっくりお風呂のお湯に浸かった
また急激な運動により体がだるいパターンだ
俺も早く落ち着かなきゃ、いつか嫌われそうで怖い
風呂をあがると俺はある物を思い出した
「そうだ、乾杯しない?」
「…うん」
前に俺が、寝る前に少しづつ酒でも飲んでみようかなって思って買っておいたカルーア
氷を入れたグラスにミルクで割ってステアするだけ
「ほら、これ好きでしょ?」
「いおくん甘いの大丈夫なの?」
だって、綾が好きなリキュールだから
「俺と綾のスタートに乾杯」
2人でグラスを空けた
「綾…」
「…ん」
そのキスはカルーアの味がした
ーーー
後日、俺はバイト先の面々に報告をした
「あの、ちょっと揉めてた人居たじゃないですか…彼女になりました」
と…(言い方)
「おっ!やったじゃんいお~!」
波多野さんは喜んでくれた
「こないだ酔ったのを持ち帰ってお前…さてはベッドでスゴイのかぁ?」
佐々木さんがセクハラ親父みたいなことを言ってくる
「そんなんじゃないですよ…」
波)「でもセックス耐久に付き合ってくれるんだろ?」
佐)「…へ?!そんなコトしてんの?絶倫??」
俺)「まぁ…彼女もパワータイプなんで…」
波・佐)「あぁ…(察し)」
なにはともあれ、綾が俺の彼女だと認識してもらうことが大事だ
変な客に絡まれたりしたらみんなが間に入ってくれるはずだ
「…そういえば俺も山本さんといい感じだから、一応報告しとくね」
波多野さんがサラッと言った
…えぇ?!…山ちゃん!
良かったねぇぇえええ!!
てゆーか、山ちゃんなんで俺に黙ってんだよ…
次会ったら根掘り葉掘り聞いてやるから覚悟しとけよな
誰も先のことなんて分からないけれど、今好きな人と過ごせる大切な時間があるって素敵なことだと思った
25:00、俺はバイトをあがり家に帰る
コンビニで珈琲を買って飲みながら歩く
出来るだけ音を立てないようにドアを開けて部屋に入った
ベッドでは綾がスヤスヤと寝息を立てている
俺は静かに着替えを持って風呂に入った
キッチンを見るとワンプレートの夕飯が置いてある
ー帰ったら起こしてねー
そうメモが貼ってあった
綾の作ってくれた夕飯を食べる
家に帰って食事の用意がされてるなんて、本当に心が温かくなるよ
ちゃんとした物作っておくから食べなさいって…
俺は綾に世話をしてもらって生きながらえています
そして一番神経を使うトコ…
俺は出来る限りそ~っとベッドに入ろうとするが
どういうわけか絶対に綾は目を覚ます
「あ…ただいまぁ…」
綾が俺の手を取って
「…いおくん、ちゃんと起こしてよ…おかえりのチュウしたいよ…」
と言った
それで「起こして」ってメモに書いたのか
可愛いその唇に優しくキスをする
「…だから、毎日ちゃんと…えっちもしたい…」
…俺は一気に体温があがる
これがパワータイプのぶつかり合いか…
記憶の中の赤坂さんに9年も片想いをした俺は今
目の前の綾と幸せな時間を過ごしています…
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