愛してると伝えるから

さいこ

文字の大きさ
上 下
20 / 30

Love

しおりを挟む





   それから瀧は仕事が終わると俺の部屋に帰るようになった

   少しづつ瀧の物が俺の部屋に増える
   
   俺はその物たちが自然に収まるようにこっそりと自分の物を片付けている…

   
   ただ、仕事終わりに店に来て俺が終わるのを待つのはやめて欲しい
   そんな時間があったら風呂でも入って先に寝てろって…

   俺はお前の睡眠時間が心配だよ…





   ~♪~~♪♪♪~♪~…

   …なんだ?
   瀧の電話か?

   「…あ、俺の、アラー…ム…」
 
   ちゃんとアラームをかけてたのはえらい
   しかし時間を見れば10:00だ、なんでこんな半端な時間に?まさか間違えてんじゃねぇよな

   「おい、こんな時間で大丈夫なのかよ?」

   今にも二度寝しそうな瀧に確認した


   「…ごめん、起こしちゃったね」

   俺に早起きをさせたと申し訳なさそうにする瀧


   「今日は夜、金持ちのパーティーで仕事があってさ…」

   どこぞの御曹司のお支度係で湾岸エリアの会場に呼ばれているそうだ

   ・午後イチで事務所に行き内容の最終確認を済ませる
   ・衣装や道具のチェックをして車に積み込み
   ・リスク回避のため早い時間に現地に到着する
   ・夕方には現場に入って指定された控え室で待機
   ・御曹司が到着次第お支度をする
   ・パーティー開始以降はお色直し等のため会場内にて過ごす

   …という流れのようだ
   

   「ケツの時間決まってるの?」

   「会自体は0:00に終わる予定、でもラッキーなら早く帰れるかもしれない!」

   そうか…

   こう言ってはなんだが、労働時間ヤバない?
   
   午後イチ~深夜0:00って…12時間労働…
   まぁ間に休憩の時間が多いんだろうけどさ


   「今日はここに…帰ってくんのかよ?」

   「…どうしたの?帰るに決まってるでしょ」

   瀧は俺を優しく抱きしめた
   こうしてお前の心音が聞こえる距離にずっと居たいなぁ…

   
   「なぁ、瀧…」

   「ん~?」

   「ここに越してこいよ」

   「…………!!!!!」

   ドッドッドッドッドッ……

   おい、心音めちゃくちゃ速くなってんじゃねぇか!倒れんなよ、まったく


   「そ、そんな、ほほ、ホントに?言ってる?」

   「俺の手の届くとこに居てよ…」

   「…っ!仕事行きたくねぇなぁー!!」

   そうしてしばらくチュッチュして朝の幸せタイムが過ぎた


   瀧は支度をすると「行ってきま~す!」と元気に出て行った

   スーツケースのゴロゴロという地面を転がる音が、遠く離れて聞こえなくなるまで耳をすました…


   さて、俺も二度寝という気分でも無くなってしまった




   夕方になり俺は買い出しに出た
   食材を見ていると…出た、藤原だ…

   「あ、一条さんも買い出しです?」

   …だからそれ以外に何の用があるっていうんだ


   「お前、そういえばこないだの女どうした?」

   「あ!それが~、すっかり連絡来なくなったんですよ~!助かったぁ~」

   「…もうちょっとマシな遊び方しろよ」

   「うぃす!お疲れ様でぇーす!」     

   俺は自分の買い物を済ませ店を後にした

   まったく、藤原のせいで一悶着あったんだよこっちは…


   
   店に到着すると仕事のスイッチが入る

   バックバーを美しくキープするのが趣味と言ってもいいような域に達してるな俺は

   そしていつも通りに店を開けた


   …店内に人が多い時間は手が空いた一瞬で裏へ回りトイレを済ませる
    
   「裏行ってくる」
 
   波多野に声をかけて裏へ回った
   スマホを見ると滝からのメッセージがあった

   なにやらトラブルがあって早めに仕事を切り上げるとのことだった、送信された時間は10:30…

   予定より早くて良かったじゃねぇか
   俺もホクホクしてカウンターに戻った      
    

   バタバタと動いて11:00を過ぎた頃
        

   カランコロン…

   「いらっしゃいませ」

   あ、瀧が帰って…
   いや瀧と一緒に女性が入ってきた

   「こちらへどうぞ…」

   まぁ瀧は女は食わねぇだろうから、という謎の安心感があった


   「一条さん、こいつ職場の後輩のいずみです」

   「泉です~、はじめまして」


   「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします」

   瀧が同じ物というので、いつものを2つ出した
   2人は今日の現場の話をしていた  


   「…なんか、前の撮影会の時もちょっと気になったんですよねぇ~」

   「そんときから彼女さん体調悪かったの?」

   「いや悪いっていうか…何も一口も食べてなくって、あの長時間ですよ?」

   「それは確かになぁ…」


   トラブルとは誰かの体調不良のことだったのか
   
   「理人さんも青い顔してましたもんねぇ…」

   「まぁ心配だろうな、厄介な病気とかじゃないといいけど」

   聞いた名前だなぁ…
   どこぞの御曹司で名前は「理人」かよ

   え、つまり彼女…慶ちゃんが体調不良、ってこと?

   おい理人は大丈夫か…
   今頃泣いてるんじゃないか?


   そんな店内の会話を小耳に挟みつつチラホラと帰って行く客が出始めた
   0:00だ、やっぱりこの時間だな…
 
   「…じゃあ明日、車と荷物は俺が」
  
   「はい、お願いしゃーす!」

   瀧の後輩の女性も帰って行った
   俺はキリのいい所で波多野もあがらせた

   「…お前も上行って寝てろよ、眠いんだろ?」

   俺は小声で瀧にそう言った
   
   「おかわりください」

   と瀧は言った
   そうして最後の客が帰るまで店で粘った瀧

   …どうしてだ



   部屋に帰ると俺はキスのお強請りをした

   「…んっ、はぁっ…ぁ…」

   瀧の気持ちも自分の気持ちも確認できるような、そんな熱のあるキスが気持ちいい

   「俺もう今日マジで仕事行きたくなかった!」

   瀧が俺をぎゅっと抱きしめる


   「俺も言いたいんだけどさ、もう仕事終わりに店に寄るのやめろよ…」

   「えっ…なんで…?」

   自分の仕事が終わってるのに、そこから俺の仕事が終わるまで付き合うのはおかしいだろ

   そこは早く帰って寝てろ、っていうのと

   「お前が居ると仕事に集中出来ない…から」

 
   「…どゆこと?目障りって、こと?」

   本当にこいつポンコツなんだなぁ~
   

   俺は瀧の上に跨って、瀧のソレを刺激するようにゆっくり腰を動かした

   「お前の顔見ちゃうと…こうして、気持ちいいことしたいってさ…考えちゃうからだよ」

   「え、ちょっ…お店でそんな事…えっち!」

   うるせぇ…
   元々お前が先に手を出したんだろーが   
   俺の店でな



   「一条さん…それヤバいぃ…!」

   瀧はほんとに可愛い
   

   俺は幸せだ…






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

処理中です...