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序章
4 奈落
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奈落、その地の名前はあまりにも有名だった。かの地は教会によって禁忌の地に指定されており、その範囲の巨大さ故、立ち入りは規制されてはいないが、無断で立ち入ったモノには命の保証はないと言われている。
元々、かつて存在したとある国の都であった。だが、その国の当時の王は強大な野心を持つ男であった。その野心から、世界の覇権を手にすることを望み、手に出してはいけないものに手を出してしまった。嘗て神話の時代に存在した魔王が使っていたとされる七罪武具と呼ばれる七つの武具、その内の一つがその国に封印されていたのだが、封印を破壊し、七罪武具の一つを奪取したのだ。
そして王はその力で隣国を壊滅させ、その国に封印されていたもう一つの七罪武具まで手に入れた。
最終的には、教会と各国が連合軍を結成して、当時の神聖騎士達がそれを率い、討伐に向かった。そして、王は討ち取られたが、死の間際、七罪武具の力を暴走させたのだ。
その結果、王都があった場所は強大な魔力に包まれた。その魔力によって空間が歪み異界化してしまい、連合軍は撤退を余儀なくされてしまった。その後、異界の核となっているであろう七罪武具の封印をする為に、部隊が送られたが、その全てが戻ってくることは無かった。
その事から、教会はこの地を禁忌と指定。以後、この場所の監視だけが続けられている状態である。
そして、後年、王は教会から過去最大級の罪人として指定。大罪人とも呼ばれ、現在も世界中から忌み嫌われている。
空間の歪みに飛び込み、辿り着いた先は、まるで洞窟の様な場所であった。不思議な事に、至る所で地面が光っており遠くを見渡すのにも苦労しない。だが、周囲からは悍ましいほどの濃密な魔力を感じていた。ここが奈落の内部であるという事は容易に想像できた。
だが、不思議なのは辺りに散乱している道具袋や大きな傷が入り所々歪みがある鎧、地面に突き刺さったままの剣や槍といった様々な武器、そしてボロボロになったテント跡である。何故こんなものが奈落に転がっているのかが分からなかった。
「いや、もしここが本当に奈落だとするなら……」
これは、もしかしたら嘗てこの地に送られた聖騎士部隊の物かもしれない。そして、この辺りの状態、恐らくはここで休息していた聖騎士達が魔物の奇襲等を受け全滅したのだろう。
足元に落ちている道具袋を拾い上げる。中身を確認しようとしてみると、この道具袋は内部の空間拡張や劣化保護が施された特殊仕様だった。もしこれを売れば、それだけで一財産になるだろう。しかも、かなりの容量がある様だ。そして今でも使うことが出来そうだ。
その中身も、蒼く輝く最上級ポーション、虹色に輝くエリクサーなど、普通ではお目に掛かれない物が、少量だけ入っていた。当時、奈落に送られた部隊は一国の軍に匹敵する程の規模であったと聞いた事がある。その為、支給されたアイテムも最上級ポーションから、部位欠損まで治すことが出来るエリクサーまで支給されたという話だ。それがここにある物なのだろう。
辺りに散らばる道具袋をかき集め中身をまとめてみると、ある程度の食料、特殊な処理が施されている各種武器、予備と思われる殆ど使われていない革鎧が数点、砕くと爆発が発生するバーストジェム、無傷で使われていないテント、そしてポーション等、様々なものが入っていた。
聖騎士の部隊が、この奈落の最奥まで到達するための物資なのだろうから、ある意味ではこの質と量は順当と言ってもいいだろう。これだけの物資があるのなら、奈落脱出も望みがあるかもしれない。
道具袋には服も何着か入っていたので今まで着ているボロ布の服を脱いで着替える。自分の物ではないのでサイズは合わないが無理をすれば着る事が出来そうだ。
その後は動きやすいように、革鎧を着て、道具袋から剣を一本取り出す。この剣には教会が門外不出としている技術で特殊な処理が施されており、剣の表面に聖気を纏っている。他の武器も全て同様に処理が施されている様だ。昔学園の授業で同じものを見たことがある。だから、この武器に関する知識も少しだけ持っていた。これらの武器は聖武具ほどでないにしろある程度魔物への特攻を持っていると授業で聞いた事がある。この武器は恐らく、何らかの要因で聖武具が使えなくなった時の予備なのだろう。質も良い物で十分に使えそうだ。
最初からここに留まるという選択肢はない。今は辺りには魔物はいない様だが、このまま何もせずにいると、いずれ限界が来る。道具袋から取り出した剣を腰に携え、この場から離れる事にしたのだった。
元々、かつて存在したとある国の都であった。だが、その国の当時の王は強大な野心を持つ男であった。その野心から、世界の覇権を手にすることを望み、手に出してはいけないものに手を出してしまった。嘗て神話の時代に存在した魔王が使っていたとされる七罪武具と呼ばれる七つの武具、その内の一つがその国に封印されていたのだが、封印を破壊し、七罪武具の一つを奪取したのだ。
そして王はその力で隣国を壊滅させ、その国に封印されていたもう一つの七罪武具まで手に入れた。
最終的には、教会と各国が連合軍を結成して、当時の神聖騎士達がそれを率い、討伐に向かった。そして、王は討ち取られたが、死の間際、七罪武具の力を暴走させたのだ。
その結果、王都があった場所は強大な魔力に包まれた。その魔力によって空間が歪み異界化してしまい、連合軍は撤退を余儀なくされてしまった。その後、異界の核となっているであろう七罪武具の封印をする為に、部隊が送られたが、その全てが戻ってくることは無かった。
その事から、教会はこの地を禁忌と指定。以後、この場所の監視だけが続けられている状態である。
そして、後年、王は教会から過去最大級の罪人として指定。大罪人とも呼ばれ、現在も世界中から忌み嫌われている。
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だが、不思議なのは辺りに散乱している道具袋や大きな傷が入り所々歪みがある鎧、地面に突き刺さったままの剣や槍といった様々な武器、そしてボロボロになったテント跡である。何故こんなものが奈落に転がっているのかが分からなかった。
「いや、もしここが本当に奈落だとするなら……」
これは、もしかしたら嘗てこの地に送られた聖騎士部隊の物かもしれない。そして、この辺りの状態、恐らくはここで休息していた聖騎士達が魔物の奇襲等を受け全滅したのだろう。
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辺りに散らばる道具袋をかき集め中身をまとめてみると、ある程度の食料、特殊な処理が施されている各種武器、予備と思われる殆ど使われていない革鎧が数点、砕くと爆発が発生するバーストジェム、無傷で使われていないテント、そしてポーション等、様々なものが入っていた。
聖騎士の部隊が、この奈落の最奥まで到達するための物資なのだろうから、ある意味ではこの質と量は順当と言ってもいいだろう。これだけの物資があるのなら、奈落脱出も望みがあるかもしれない。
道具袋には服も何着か入っていたので今まで着ているボロ布の服を脱いで着替える。自分の物ではないのでサイズは合わないが無理をすれば着る事が出来そうだ。
その後は動きやすいように、革鎧を着て、道具袋から剣を一本取り出す。この剣には教会が門外不出としている技術で特殊な処理が施されており、剣の表面に聖気を纏っている。他の武器も全て同様に処理が施されている様だ。昔学園の授業で同じものを見たことがある。だから、この武器に関する知識も少しだけ持っていた。これらの武器は聖武具ほどでないにしろある程度魔物への特攻を持っていると授業で聞いた事がある。この武器は恐らく、何らかの要因で聖武具が使えなくなった時の予備なのだろう。質も良い物で十分に使えそうだ。
最初からここに留まるという選択肢はない。今は辺りには魔物はいない様だが、このまま何もせずにいると、いずれ限界が来る。道具袋から取り出した剣を腰に携え、この場から離れる事にしたのだった。
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