ガラス越しの不気味な姿

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深夜のコンビニでの恐怖体験

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深夜、薄暗い街をひとり歩く主人公は、疲れた体を癒すために近くのコンビニに立ち寄ることにしました。寒い夜風が心地よく、コンビニの明かりが遠くから見えてきました。その光景は、心を安らげるようなものでしたが、まるでどこかがおかしいような予感が主人公を包み込んでいました。

扉を軽くプッシュし、コンビニの中へ足を踏み入れると、静寂が漂っていました。どこかに店員の姿も見当たらず、主人公は不思議に思いながら、商品棚の方に歩みを進めました。飲み物の販売棚に近づくと、思い浮かべた清涼飲料水を手に取ろうとしましたが、彼の視線が棚のガラスに留まりました。

そこには、はずのない人影が映し出されていました。立っているのは主人公自身の姿ではなく、背後に立っているはずの誰かの姿がっきりと映し出されていたのです。彼は慌てて周囲を確認しましたが、誰もいないはず。それでもガラス越しにはっきりと見える、見知らぬ他人の姿。主人公の心臓がバクバクと高鳴り始めました。

「ま、まさか…幽霊なんてわけがないよな?」

彼は自分に言い聞かせながらも、不安な気持ちを抑えきれませんでした。ただの錯覚だと思って、再び飲み物を手に取ろうとしましたが、ガラス越しの人影は動き出しました。その不気味な微笑みは、主人公の骨髄まで凍りつかせるようでした。

「どうして…」

主人公が言葉を詰まらせると、向こう側の人影も口を開きました。しかし、彼の口元は動かず、その言葉は心の中に響いてくるような感覚でした。

「君を…見つめている…」

その声はどこか遠くにいるようでありながら、主人公の耳に直接響いてくるような不思議なものでした。彼の身体は恐怖で凍りつき、足も地面に根付いて動かなくなってしまいました。

すると、コンビニの奥から不気味な笑い声が聞こえてきました。主人公は顔を上げてその方向を見ると、そこには不気味な仮面をつけた人物が立っていました。それはまるで悪夢から抜け出したような存在で、彼の心に恐怖を押し寄せさせました。

「君も仲間になりたいのかい?」

その仮面の人物が主人公に問いかけると、主人公は必死に首を振りました。どんな理由があっても、あんな恐ろしい存在の仲間になるなんて考えられませんでした。

しかし、仮面の人物は笑いながら主人公に近づいてきました。彼はゆっくりと、そして確実に主人公に近づいてくるのです。

主人公は逃げることもできず、声を上げることもできませんでした。その恐ろしい存在がどんな意図を持っているのか、彼には全く理解できませんでしたが、彼自身がこのコンビニで何かを引き起こしたのかもしれないという疑念が頭をよぎりました。

そして、仮面の人物が主人公に近づいてきたその時、彼は突如として消えてしまいました。ガラス越しに映し出されていた人影も消え去り、主人公の周りは静寂に包まれました。

主人公は膝を抱えて地面に座り込み、冷や汗を流しながら深い呼吸を続けました。あれは一体何だったのか、何が起きたのか理解できず、彼はただ恐怖に打ち震えるばかりでした。

その後、主人公は決してそのコンビニに足を踏み入れることはありませんでした。そして、誰にもその出来事を話すことはありませんでしたが、深夜の街を歩く度に、不気味な笑い声と仮面の人物の姿が頭に蘇ってきて、彼の心を揺さぶり続けたのでした。
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