2 / 2
挑戦と喜び
しおりを挟む〈兄:ウィルフリードSide〉
そっか。バルドリックだけじゃなくて、ルイーザもエルを守る覚悟を決めていたんだね。
なんだ。そっか。僕だけじゃなかったんだ。
「はっ…、ははっ。なんだ。そっか。ははっ」
僕はエルが大好き過ぎて、いつの間にか“エルを護るのも、護れるのも僕だけ”って思い込んでいたみたいだ。そんな訳ないのにね。
「あらん?ウィルちゃんの表情か戻ったみたいでよかったわんっ♪
あっ、ウィルちゃん。因みにあたくしはエルちゃんが大好きなお友達よん。改めてよろしくねん?生意気ボーイ♪」
エミリーの“生意気ボーイ”と言う言葉にイラッとし、思わず睨んでしまう。
「あらぁ~っ?あらあらぁ~んっ♪悔しかったら、あたくし以上に強くなってご覧なさいなっ☆そしたらその喧嘩をあたくしが買ってあげるわぁ~ん♪お~ほっほっほ~っ!!」
ビキッ 自分の額に青筋が立つのがわかった。
「ええ、そうですね。僕が今の貴方の年齢になるまで四半世紀はかかりますが、まぁ、その時はよろしくお願いしますね?」
「あぁぁぁんっ!?!?何だとこのクゾガキぃ~っ!!!!」
僕とエミリーの視線にバチバチッと火花が散る。
「はいはい、そこまで」
今まで僕達のやり取りを見守っていたお母様が、パンパンと手を叩きながら、話に割り込んてくる。
「ねぇ、ウィル。因みになんだけど、お母様はエルちゃんを産んだ、たったひとりの母親よ。よろしくね?」
お母様が可愛らしく小首を傾げ、からかってくる。
「ぐ…っ!!申し訳ありません。お母様…」
「あらぁ~っ、なんの事かしらぁ~?」
「あははっ。これはウィルの負けだね」
つい先程まで暗かった雰囲気が、お父様とお母様、そして悔しいけどエミリーのおかけで明るくなった。
セバスやベアティ、デルミーラにアメリアとアンネリースまで、いつ間にかクスクスと笑っている。
「私達は、自分達なら“エルの心も体も護れる”と、傲っていたのかもしれないね。
シロガネ殿に言われた事を、再度噛み締め、もう二度とこんな事が起こらないようにしよう。皆、いいね?」
「かしこまりました。お父様」
「おうっ!!任せとけっ!!」
「お任せくださいませ。お父様」
僕の返事の後に、バルドリックとルイーザが返事をする。
「さぁ、明日からの事だけどね、王都での滞在期間は1週間だけにしようと思うんだ」
「あなた…、大丈夫ですの?」
お父様の急な提案に、お母様は戸惑いの色を見せる。
「大丈夫だよ。元々、ウィルフリードやバルドリック、ルイーザにお茶会やサロンの場数を踏ませようと、多めの日程にしていたに過ぎないからね。
だけど、エルは王都に不安を感じているだろう?そんな王都での生活は、エルにとって負担になるだけだからね。
他の貴族に早く帰る理由を聞かれたら、エルには申し訳ないけど、“末の娘の体調が悪い”という事にしておこう」
お父様のエルをダシにする様な発言がちょっと見過ごせなくて、思わず冷たい視線を向けてしまう。
だけど、早く帰る事に関しては賛成だ。
僕は他の貴族の子息や令嬢と過ごすより、エルと過ごす時間を優先したい。
本当は、何者にも傷つけられない様に、僕の部屋に閉じ込めてしまいたいけど、エルは籠の鳥じゃない。それに、いつも元気に外で遊ぶ姿を見るのが僕は好きなんだ。
そんなエルの自由を護る為には、僕自身の心と体の強さが必要だ。
強さを求めるのは今までと変わらないけど、それだけに固執して、本来の“エルを護るため”という目的を見失わないようにしないとね。
そっか。バルドリックだけじゃなくて、ルイーザもエルを守る覚悟を決めていたんだね。
なんだ。そっか。僕だけじゃなかったんだ。
「はっ…、ははっ。なんだ。そっか。ははっ」
僕はエルが大好き過ぎて、いつの間にか“エルを護るのも、護れるのも僕だけ”って思い込んでいたみたいだ。そんな訳ないのにね。
「あらん?ウィルちゃんの表情か戻ったみたいでよかったわんっ♪
あっ、ウィルちゃん。因みにあたくしはエルちゃんが大好きなお友達よん。改めてよろしくねん?生意気ボーイ♪」
エミリーの“生意気ボーイ”と言う言葉にイラッとし、思わず睨んでしまう。
「あらぁ~っ?あらあらぁ~んっ♪悔しかったら、あたくし以上に強くなってご覧なさいなっ☆そしたらその喧嘩をあたくしが買ってあげるわぁ~ん♪お~ほっほっほ~っ!!」
ビキッ 自分の額に青筋が立つのがわかった。
「ええ、そうですね。僕が今の貴方の年齢になるまで四半世紀はかかりますが、まぁ、その時はよろしくお願いしますね?」
「あぁぁぁんっ!?!?何だとこのクゾガキぃ~っ!!!!」
僕とエミリーの視線にバチバチッと火花が散る。
「はいはい、そこまで」
今まで僕達のやり取りを見守っていたお母様が、パンパンと手を叩きながら、話に割り込んてくる。
「ねぇ、ウィル。因みになんだけど、お母様はエルちゃんを産んだ、たったひとりの母親よ。よろしくね?」
お母様が可愛らしく小首を傾げ、からかってくる。
「ぐ…っ!!申し訳ありません。お母様…」
「あらぁ~っ、なんの事かしらぁ~?」
「あははっ。これはウィルの負けだね」
つい先程まで暗かった雰囲気が、お父様とお母様、そして悔しいけどエミリーのおかけで明るくなった。
セバスやベアティ、デルミーラにアメリアとアンネリースまで、いつ間にかクスクスと笑っている。
「私達は、自分達なら“エルの心も体も護れる”と、傲っていたのかもしれないね。
シロガネ殿に言われた事を、再度噛み締め、もう二度とこんな事が起こらないようにしよう。皆、いいね?」
「かしこまりました。お父様」
「おうっ!!任せとけっ!!」
「お任せくださいませ。お父様」
僕の返事の後に、バルドリックとルイーザが返事をする。
「さぁ、明日からの事だけどね、王都での滞在期間は1週間だけにしようと思うんだ」
「あなた…、大丈夫ですの?」
お父様の急な提案に、お母様は戸惑いの色を見せる。
「大丈夫だよ。元々、ウィルフリードやバルドリック、ルイーザにお茶会やサロンの場数を踏ませようと、多めの日程にしていたに過ぎないからね。
だけど、エルは王都に不安を感じているだろう?そんな王都での生活は、エルにとって負担になるだけだからね。
他の貴族に早く帰る理由を聞かれたら、エルには申し訳ないけど、“末の娘の体調が悪い”という事にしておこう」
お父様のエルをダシにする様な発言がちょっと見過ごせなくて、思わず冷たい視線を向けてしまう。
だけど、早く帰る事に関しては賛成だ。
僕は他の貴族の子息や令嬢と過ごすより、エルと過ごす時間を優先したい。
本当は、何者にも傷つけられない様に、僕の部屋に閉じ込めてしまいたいけど、エルは籠の鳥じゃない。それに、いつも元気に外で遊ぶ姿を見るのが僕は好きなんだ。
そんなエルの自由を護る為には、僕自身の心と体の強さが必要だ。
強さを求めるのは今までと変わらないけど、それだけに固執して、本来の“エルを護るため”という目的を見失わないようにしないとね。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ラムネからの新たな始まり
O.K
エッセイ・ノンフィクション
「ラムネからの新たな始まり」は、ホームレスの男性が偶然にも賞味期限切れのラムネを見つけ、それを高値で売って新しい生活をスタートさせる物語です。彼は8000円のアパートに住み、仕事を見つけ、自立し、コミュニティに貢献し、自分自身と他の人々の人生に希望と変革をもたらします。物語は偶然と善意が人々の生活を変える力を描いています。
カラフルな自己受容の旅:ポジティブパイオニアの物語
O.K
エッセイ・ノンフィクション
主人公ケイトは毎日人参ジュースを飲み続けることで体がオレンジ色に変化するが、その変化を受け入れ、ポジティブなメッセージを広める旅に出る。彼女の体験から得た洞察は多くの人々に影響を与え、自己受容と人間関係の大切さを教える存在となる。ケイトの肌色は徐々に元に戻るが、彼女のメッセージと影響力は永続し、人々の心に希望をもたらす。
夏の奇跡:どら焼きの冷たい美味しさ
O.K
エッセイ・ノンフィクション
物語「夏の奇跡:どら焼きの冷たい美味しさ」は、経営難に直面していた実家の和菓子店を救うため、主人公が冷たく凍らせたどら焼きを発案し、大ヒットさせる感動的な出来事を描いています。このアイデアにより、和菓子店は成功し、地元コミュニティに愛される存在となり、地域の文化や経済に貢献します。主人公の家族は若い世代に和菓子づくりの技術を伝え、地域社会に喜びと希望をもたらします。物語は、アイデアと協力が地域社会に大きな変革をもたらす力を描いています。
風と友情の冒険:秘境の村から湖畔の祭りへ
O.K
エッセイ・ノンフィクション
物語は、バイクで旅する主人公・悠太が秘境の村でパンクしたタイヤに遭遇し、村の人々との交流を通じて温かさや新たな価値を見つけます。その後、美しい湖畔の町で再びトラブルに巻き込まれ、祭りの儀式を通じて自然との調和を学び、新たな友情を築きます。物語のテーマは冒険、友情、そして自然との共生です。
幸福の花咲く冒険 〜金のバラの真実〜
O.K
エッセイ・ノンフィクション
「幸福の花咲く冒険 〜金のバラの真実〜」は、小さな村の主人公が、伝説の金の花びらでできたバラを求めて冒険する物語です。彼はその美しい花に辿り着きますが、実は物質的な幸福ではなく、心の中の喜びが真の幸福であることを学びます。帰還後、主人公は村人たちと共に、互いに支え合い、共感し合うことが重要であるという教訓を広め、村は繁栄し国際的な友好を築く。物語は主人公の冒険が単なる伝説の終わりではなく、新しい時代の始まりであり、世界中の人々に影響を与える出来事となる様子を描いています。
輝く真珠の誕生:持続可能なビジネスが紡ぐ成功の物語
O.K
エッセイ・ノンフィクション
「輝く真珠の誕生」は、旅行者が南の島で激安の美しい真珠を見つけ、それがオークションで高額に売れることを発見する物語です。彼は地元の真珠採りと提携し、持続可能なビジネスを築き上げ、真珠は国際的に成功を収めます。地元経済は成長し、持続可能な採取方法が導入され、地元のコミュニティは豊かな生活を享受します。物語は成功と持続可能性の美しい結末を迎えます。
古めかしいコピー機からの冒険:宝の地図の謎
O.K
エッセイ・ノンフィクション
主人公が中古のコピー機を手に入れ、古びた紙を印刷すると、そこには宝の地図のようなものが現れる。地図に導かれ、主人公は森の中で宝を見つける。宝には宝飾品や古文書が詰まっており、主人公は冒険心をくすぐられる。古めかしいコピー機がもたらした予期せぬ冒険と宝の発見が、主人公の人生に喜びと刺激をもたらした。
新しい絆の始まり
O.K
エッセイ・ノンフィクション
貧しい主人公タケシは、古びた段ボールハウスで幸せな生活を送っていた。ある日、家が壊れ、壊した相手を見つけるべく奮闘する。町の協力で新しい家が建ち、謎の人物が過去の過ちを認め、二人は協力して成長。過去の誤解が友情に変わり、タケシの物語は希望と感動に満ちた「新しい絆の始まり」となる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる