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雲を飲み込む化け物
しおりを挟むこの間、檜さんは、メグの母親は、若いころにご主人を亡くしたと言っていた。
あの女性が幾つかは知らないが、メグより年上の人間を産んでいるようには見えないし、「下」を産むにしろ、「ご主人を若い頃に亡くした」とつながらない気がした。
そして、言葉遣いとかしっかりしているようで抜けていて、それでいて甘え下手なところなど、偏見もあるが、非常にひとりっ子という感じがする。
檜さんは「芽久美ちゃんは娘同然」という気色悪いことを言っていたが、俺はメグの兄貴になる気などさらさらない。
「ラッピング番号「5」をお持ちの方…」
「あ、俺だ。ちょっと取ってくる。お前はここにいろ」
「あ、はい」
もちろんメグの誕生日プレゼントとして買ったものだ。
いくら遠慮っぽくても、その場で買ったものを断るような空気を読まないまねはしないだろう。
正直俺は、こんな小物入れが何でこんな値段なのかも分からないし、ちっともいいとは思わないのだが、メグがこれを好きというなら、買うことに何のためらいもなかった。
「ほら、受け取れ。16歳のお祝いだ」
「え…」
「こんなもの突き返されても、俺に使い道はない。当然受け取るよな?」
「びっくりしましたけど――ありがとうございます。大切に使います」
俺はこうして、2,000円じゃ到底買えない笑顔を俺だけに向けてもらった。
「まだ早いが、おめでとう、だな」
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