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第52話「揺れる想い」
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「じゃあね、章ちゃん、久しぶりに会えて、お話も沢山できて嬉しかったよ」
カフェから出てすぐに美香が俺に言った。
それからすぐに美香は歩きだそうとしたから、俺は思わず美香の右腕を掴んでしまった。
「章ちゃん?」
美香が驚いた顔で俺を見る。
そりゃそうだろう。
突然、こんなことされたら。
だけど、俺は何も言わずに美香を抱きしめた。
「章ちゃん」
美香は更に驚いた声を出した。
「美香、この後何か予定ある?」
俺がそう言うと腕の中で美香が息を飲んだ。
「章ちゃん」
「俺、まだ美香と離れたくない」
「章ちゃん」
こんなこと言ったら美香を困らせることは十分に解っていた。
だけど、頭ではそう思っても身体は勝手に美香を抱きしめて、口からは俺の本当の想いが出てしまう。
どうして。
もう美香と別れて、そして、涼子と沢山、一緒にいる日が多いのに。
何で俺は未だに美香をこんな風に求めてしまうんだろう。
「章ちゃん、駄目だよ。章ちゃんには彼女がいるでしょ」
美香はそう言い俺から離れた。
それから俺を見上げた。
美香の目は涙で濡れていた。
「美香」
「章ちゃんが選んだんだよ。今の彼女とずっとこの先の人生を歩いていくって」
「美香」
「なのに今更、駄目だよ。それに私、やっと章ちゃんのこと穏やかに見れそうになったんだから」
「美香」
「でも、今日、会えて嬉しかったのは本当だよ。また、今度は私が実家に帰った時にでもゆっくり話そう。じゃあね、今日はお疲れ様でした」
美香はそう言い俺のそばから去っていった。
俺は美香の姿が見えなくなるまでその場に立って唇を噛みしめていた。
美香が言ったことは正しい。
涼子とずっと一緒にこの先の人生を歩いていくと決めたのは俺だ。
そうして、そのせいで俺は美香の好意も断ち切った。
それは紛れもない事実だ。
だけど。
美香、こうして実際にまた会ってしまうと美香と話してしまうと封印したはずの美香への想いが勝手に溢れだすんだ。
本当は美香と一緒にこの先の人生を歩きたいと思ってしまうんだ。
でも、それは―。
美香の言うとおり、もう許されないことだよな。
俺はそう思った後、やっと鉛のように重く感じている足をあげて、歩きだした。
それでもやっぱり今の俺の中には美香への想いで溢れかえってしまっていたけど。
カフェから出てすぐに美香が俺に言った。
それからすぐに美香は歩きだそうとしたから、俺は思わず美香の右腕を掴んでしまった。
「章ちゃん?」
美香が驚いた顔で俺を見る。
そりゃそうだろう。
突然、こんなことされたら。
だけど、俺は何も言わずに美香を抱きしめた。
「章ちゃん」
美香は更に驚いた声を出した。
「美香、この後何か予定ある?」
俺がそう言うと腕の中で美香が息を飲んだ。
「章ちゃん」
「俺、まだ美香と離れたくない」
「章ちゃん」
こんなこと言ったら美香を困らせることは十分に解っていた。
だけど、頭ではそう思っても身体は勝手に美香を抱きしめて、口からは俺の本当の想いが出てしまう。
どうして。
もう美香と別れて、そして、涼子と沢山、一緒にいる日が多いのに。
何で俺は未だに美香をこんな風に求めてしまうんだろう。
「章ちゃん、駄目だよ。章ちゃんには彼女がいるでしょ」
美香はそう言い俺から離れた。
それから俺を見上げた。
美香の目は涙で濡れていた。
「美香」
「章ちゃんが選んだんだよ。今の彼女とずっとこの先の人生を歩いていくって」
「美香」
「なのに今更、駄目だよ。それに私、やっと章ちゃんのこと穏やかに見れそうになったんだから」
「美香」
「でも、今日、会えて嬉しかったのは本当だよ。また、今度は私が実家に帰った時にでもゆっくり話そう。じゃあね、今日はお疲れ様でした」
美香はそう言い俺のそばから去っていった。
俺は美香の姿が見えなくなるまでその場に立って唇を噛みしめていた。
美香が言ったことは正しい。
涼子とずっと一緒にこの先の人生を歩いていくと決めたのは俺だ。
そうして、そのせいで俺は美香の好意も断ち切った。
それは紛れもない事実だ。
だけど。
美香、こうして実際にまた会ってしまうと美香と話してしまうと封印したはずの美香への想いが勝手に溢れだすんだ。
本当は美香と一緒にこの先の人生を歩きたいと思ってしまうんだ。
でも、それは―。
美香の言うとおり、もう許されないことだよな。
俺はそう思った後、やっと鉛のように重く感じている足をあげて、歩きだした。
それでもやっぱり今の俺の中には美香への想いで溢れかえってしまっていたけど。
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