「2人の運命」

愛理

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第45話「庇われて」

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  俺は美香に自分の今の気持ちをもう1度、ちゃんと伝えた後、今日は実家に絶対に帰ってくるから、その後、美香に連絡するから、明日、本当に一緒に遊びに行こうと言った。
  すると美香はまだ少し困惑気味だったけど、最後は章ちゃんがそう言ってくれるならと言い、俺と美香はその後、また少し抱きあった後、別れた。
  そして、俺は実家に帰ってくる前とは違い、重い足取りで涼子との待ち合わせ場所に向かった。
  涼子は美香に雰囲気が似ていると思って好きになった。
  でも、決して美香の代わりではなく、涼子本人を俺は好きになっていった。
  だから、俺が今日、涼子に別れを告げるのは正直、苦しかった。
  涼子はとてもいい子で、俺にとっては申し分のない彼女だったし、涼子の方も俺のことを好きでいてくれていることを実感していたから。
  俺は涼子と待ち合わせしていた駅に向かった。
  その駅には大きな時計台があって、そこで待ち合わせしていたので俺は時計台のところへ行った。
  すると涼子はもう来ていた。
  俺に気づいておもいっきり笑顔を向けてくれた。
  俺はその笑顔を見て、さらに心苦しくなる。
「ごめん、待った?」
  俺が涼子のそばに行きそう言うと涼子は首を左右に振った後、
「ううん。私もさっき来たところだよ」
  そう笑顔で言った。
「そっか。あのさ、ちょっと涼子に話があるんだ」
  俺が真顔で言ったからか、涼子の笑顔が消えた。
「何?」
「うん、とりあえず、ちょっとこの辺り歩こうか」
  そして、俺と涼子はとりあえず駅周辺を歩くことにした。

「章一、どうしたの? 何かさっきからずっと黙ってるけど?」
  涼子と一緒に歩き始めてから5分くらいが経ったかなと感じていた時に涼子が言った。
  俺は涼子に何て言ったらいいのか考えていたら、何も話さずにいてしまったので、涼子はさらに不安になってるんだろうと思った。
  いや、もしかして、もう気づいているのかもしれない。
  俺が涼子に別れを告げようとしていることを。
  そして、俺はもう何を言っても涼子を傷つけることには変わりはないんだからと涼子に別れの言葉を言おうとした。
  だけど、その時、事件が起こった。
  俺と涼子は今、改装工事をしているらしいビルの横を歩いていたんだけど、クリスマスイヴの今日でも工事をやっていて、上から鉄板が落ちてきたのだ。
  しかも俺をめがけて。
  俺は音がしたので上を向いて、ぎょっとしたけど、咄嗟には動けずにいた。
  ああ、やばい。
  このままじゃ鉄板が俺に直撃する。
  俺はそう思って目を瞑った。
  だけど、その瞬間に俺は涼子に突き飛ばされて、俺の代わりに涼子に鉄板が直撃してしまった。
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