「2人の運命」

愛理

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第18話「2人一緒の未来が見えなくて」

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  朝、目を覚ますとスマホにLINEメッセージが届いていることに気づいた。
  それは美香からだった。
  俺はまだ重たい瞼を必死に開けながらLIENのメッセージを確認した。
“昨日はごめんなさい。でも、私のスマホに出た人とは本当に何でもないから。後、これからは遅い時間からはカラオケとかに行かないようにするね。嫌な思いをさせてごめんなさい”
  美香からはそう入っていた。
  美香の性格からして、このメッセージは美香が心から言っているものだと俺には解った。
  だけど、何だか色々ありすぎたせいで、俺の心はこのメッセージを読んでも全然、晴れなかった。
  高校生になって、俺がふがいないせいで美香と距離が開いて―。
  でも、高校を卒業して、信じられないことに彼氏と彼女の関係になれて。
  例え遠距離だとしても本当に幸せだったのに。
  今はその距離がやっぱり、辛くて。
  また、俺が美香に何があっても信じていようと言ったくせに自分の方が信じられなくなってるなんて。
  何だか俺は今、美香のことを想うことに少し疲れてしまっていた。
  そして、俺と美香がこの先も一緒に笑いあっている未来が今はもう頭の中ではっきりとはイメージできないでいた。
  だけど、勿論、美香のことは今でも凄く好きだから、そんなイメージを抱いてしまうことは俺にとってもの凄く悲しいことだった。

「何だか暗いね」
  大学の昼休みに入ってすぐに俺のところに浅川が来て言った。
  浅川には告白されてからも、サバサバしている性格が心地いいから今もよく話している。
「そうか?」
「うん、何かあった? あ、もしかして愛しの美香ちゃんと何かあったとか」
「ああ、まあ、ちょっとな」
  俺がそう言うと浅川は少し驚いたような顔をした。
「そうなんだ。ね、じゃあ、今日、大学終わってから時間ない? お姉さんが元気づけてあげるから」
「今日? ああ、丁度、バイトも休みだけど」
「だったら、本当に元気づけてあげるよ」
「ほんとかよ」
「本当、本当」
  浅川は笑顔でそう言った。
「じゃあ、行こうかな」
  俺がそう言うと浅川はまた少し驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔になって、
「絶対だよ」
  そう言った後、いつも一緒に昼飯を食べている友達のところへ行ってしまった。
「いいのかよ」
  浅川と入れ替わりに瀬戸が俺のところに来てそう言った。
「え? 何が?」
「浅川と2人でどっか行くとか言って。美香ちゃん、知ったら悲しむぞ」
「美香も俺以外の仲がいい男子がいるみたいだから、大丈夫だよ」
  俺がそう言うと瀬戸は訝しげな顔をして、
「そういうのが命取りになるんだぞ」
  そう言った。
  だけど、その時の俺は瀬戸のその言葉の重みがまるで解らずにいて、そして、後々、俺は瀬戸から言われたこの言葉を思い出しては後悔することになった―。
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