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7話「美香への告白」
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「章ちゃん」
俺に突然、抱きしめられた美香は俺の腕の中で今度は凄く驚いたような声で俺を呼んだ。
そりゃそうだろう。
高校生になってから、俺はずっと美香から離れて、しかも俺にとって美香は邪魔だと美香に思わせるまでになってしまったんだから。
それに美香が大阪に行く前も結局、俺は美香に本当の気持ちを伝えることができなかったんだから。
それなのに急にこんな風に抱きしめられて、驚くなっていう方が無理だ。
だけど、それでも、俺は美香を離したくなかった。
そして、今度こそ、俺の正直な気持ちを美香に伝えなければ本当にこれから先、一生後悔することになると俺の本能が頭に訴えた。
だから、俺は、
「ごめん、美香、このままで聞いてほしい」
そう言った。
そんな俺の言葉に美香は何も言わなかった。
だから、俺はそのまま言葉を続けた。
「俺、本当は美香のこと今でもすっげー好きなんだ」
俺がそう言うと美香の身体が俺の中でぴくっと動いた。
「でも、俺、バカだから、高校生になって、友達もほとんど変わってしまって、異性の美香と一緒にいることが何だか恥ずかしくなって、それで俺、勝手に美香から離れたんだ。本当は離れたくなんかなかったのに」
美香はさっき一瞬、身体をぴくっと動かしただけで、また、俺の話すことを俺の腕の中でおとなしく聞いてくれている。
「そしたら、美香といつの間にか洒落にならないくらい距離が開いて……俺は何とかしたいって思ってるのに俺、ヘタレだから、全然、距離をまた縮めることができなくて。本当は俺、美香と一緒の高校に受かって凄い嬉しかったし、これから先も一緒にいれるんだって思ってたのに」
俺はそう言った後、今までの想いが溢れてしまって、更に美香を強く抱きしめてしまった。
「だけど、俺、美香に俺にとって、美香が邪魔だなんて思わせるようになって……本当にごめん」
俺は最後にそう謝り、美香のことを離した。
すると美香は目にいっぱい涙を溜めて、俺を見た。
「美香」
「勝手だよ章ちゃん、今更、そんなこと言うなんて」
今更……。
解っていたつもりだけど、美香にそうはっきり言われるとやっぱり、心が痛んだ。
だけど、そう言われても仕方ないことを俺は美香にしてきたんだ。
さっきは俺に会えなくなって寂しいと言ってくれたけど、多分、それはきっと幼馴染としての俺に対してだけの寂しいなんだろう。
中学生の時まではお互いに告白はしなかったけど、それでも両想いでいるという確信はあった。
だけど、高校生になり、俺が美香から離れてからは多分、美香はもう……。
俺がそんなことを思っていると今度は美香の方から俺に抱きついてきた。
「美香?」
「でも、嬉しいよ。今も章ちゃんが私を好きでいてくれているなら。凄く嬉しい」
俺は美香のその言葉でまた堪らなくなり、俺もまた美香を思いっきり抱きしめた。
そして、俺達は暫くそのまま抱きあっていた。
その間、俺はまるで夢を見ているようだった。
だって、もうこんな風になることはないだろうと思っていた美香とこうして抱きあうことができたから。
俺に突然、抱きしめられた美香は俺の腕の中で今度は凄く驚いたような声で俺を呼んだ。
そりゃそうだろう。
高校生になってから、俺はずっと美香から離れて、しかも俺にとって美香は邪魔だと美香に思わせるまでになってしまったんだから。
それに美香が大阪に行く前も結局、俺は美香に本当の気持ちを伝えることができなかったんだから。
それなのに急にこんな風に抱きしめられて、驚くなっていう方が無理だ。
だけど、それでも、俺は美香を離したくなかった。
そして、今度こそ、俺の正直な気持ちを美香に伝えなければ本当にこれから先、一生後悔することになると俺の本能が頭に訴えた。
だから、俺は、
「ごめん、美香、このままで聞いてほしい」
そう言った。
そんな俺の言葉に美香は何も言わなかった。
だから、俺はそのまま言葉を続けた。
「俺、本当は美香のこと今でもすっげー好きなんだ」
俺がそう言うと美香の身体が俺の中でぴくっと動いた。
「でも、俺、バカだから、高校生になって、友達もほとんど変わってしまって、異性の美香と一緒にいることが何だか恥ずかしくなって、それで俺、勝手に美香から離れたんだ。本当は離れたくなんかなかったのに」
美香はさっき一瞬、身体をぴくっと動かしただけで、また、俺の話すことを俺の腕の中でおとなしく聞いてくれている。
「そしたら、美香といつの間にか洒落にならないくらい距離が開いて……俺は何とかしたいって思ってるのに俺、ヘタレだから、全然、距離をまた縮めることができなくて。本当は俺、美香と一緒の高校に受かって凄い嬉しかったし、これから先も一緒にいれるんだって思ってたのに」
俺はそう言った後、今までの想いが溢れてしまって、更に美香を強く抱きしめてしまった。
「だけど、俺、美香に俺にとって、美香が邪魔だなんて思わせるようになって……本当にごめん」
俺は最後にそう謝り、美香のことを離した。
すると美香は目にいっぱい涙を溜めて、俺を見た。
「美香」
「勝手だよ章ちゃん、今更、そんなこと言うなんて」
今更……。
解っていたつもりだけど、美香にそうはっきり言われるとやっぱり、心が痛んだ。
だけど、そう言われても仕方ないことを俺は美香にしてきたんだ。
さっきは俺に会えなくなって寂しいと言ってくれたけど、多分、それはきっと幼馴染としての俺に対してだけの寂しいなんだろう。
中学生の時まではお互いに告白はしなかったけど、それでも両想いでいるという確信はあった。
だけど、高校生になり、俺が美香から離れてからは多分、美香はもう……。
俺がそんなことを思っていると今度は美香の方から俺に抱きついてきた。
「美香?」
「でも、嬉しいよ。今も章ちゃんが私を好きでいてくれているなら。凄く嬉しい」
俺は美香のその言葉でまた堪らなくなり、俺もまた美香を思いっきり抱きしめた。
そして、俺達は暫くそのまま抱きあっていた。
その間、俺はまるで夢を見ているようだった。
だって、もうこんな風になることはないだろうと思っていた美香とこうして抱きあうことができたから。
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