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第2部「最高の力を手に入れる為に」
第4話「仲間探し」
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ファルは魔法の爆発で吹き飛ばされて、気を失っていたけれど、今、目を覚ました。
何故か柔らかいベッドの上にいて、天井は見覚えのないものだった。
「ここは何処だ?……っつ」
ファルは左腕を抑えた。
ファルが左腕を見るとぐるぐると丁寧に包帯が巻かれてあった。
「……怪我したのか。そりゃそうだよな。あんな魔法使われちゃ……」
とてもじゃないけれど今の自分の力ではあの魔法には太刀打ち出来ない。
ファルはそう思った。
「それにしてもここは何処だ? この包帯は一体誰が巻いてくれたんだろう……」
それにあの魔法をくらって、おそらく皆はバラバラになったに違いない。
ファルはそう思った。
「……ラウル、リンナ、クラウス、どうか無事でいてくれ」
ファルはそう言い、こうしてはいられないとベッドから降りようとした。
その時だった。
「駄目よ。まだ起きちゃ。酷い怪我なんだから」
部屋のドアが開いて、ファルと同じ位の美少女がファルの前に現れた。
「……君がもしかして、俺のこと助けてくれたのか?」
ファルが言った。
「そうよ。私はリリカ。あなたはこの町にある浜辺に辿り着いていたの。そして、私の家に連れて帰って怪我の手当てしたのよ」
「そうか。ありがとう。ところでここは何ていう町なんだ? 後、俺以外に誰かいなかっただろうか?」
「とりあえずご質問される前にお名前を教えてほしいわ」
「すまない。ファルだ。仲間と旅をしている途中、魔物に襲われたんだ。リリカ、君の気持は有難い
んだけど、俺には時間がないんだ」
「何かよっぽどの事情があるのね。良かったら話してほしいわ。私、こう見えても情報通なのよ」
ファルはリリカの言葉に少し詰まった。
”輝きの石”のことを軽々しく口にしてもいいかどうか迷ったからだ。
だけど、この町で聞き込みする以外は他に方法はないよな。
ファルはそう思い直して、このリリカという少女に自分の目的を話すことにした。
「実は輝きの石というものを探してるんだ」
「それは幻の石じゃないの?」
リリカのその言葉にファルは驚いた。
何故なら、何それではなく、すぐに”幻の石”と口にしたからだ。
「リリカ、君は輝きの石を知ってるのか?」
「ええ。父に聞いたことがあるの。でも、その石は幻の石でこの世界にはないと聞いたわ」
「え?」
「……何処だったかしら? 確かその石があると言われているところは……」
「とろこは?」
「……ごめんなさい。どうしても思い出せない。父なら詳しく知ってるんだけど……でも……」
「でも?」
「今、父は病気でろくに口もきけないの」
「重病なのか」
「ええ……。お医者さまが言うには原因不明の難病らしいの。でもね、症状を調べてみたら、ある薬草
が効くかも知れないの」
「薬草? それは何処に売ってるんだ?」
「売っていなくて、この町の南にある山の山頂にあるの。でも、そこは魔物が多く出て私にはとても
採りにいけなくて」
「魔物か……。俺1人では無理だけど仲間とならその薬草とってこれるかもしれない」
「えっ?」
「怪我が治ってからになるけどな。それなら尚更、仲間を探さないと」
「でも、そんな危険な所に行って貰うわけには……」
「俺も”輝きの石”のことを君のお父さんから聞きたいんだ。だから気にしなくていいよ。それより仲間を
探さないと」
「ありがとう。じゃあ、私も仲間探し手伝います」
リリカは凛とした声で言った。
「ファル、食事よ」
リリカが言った。
「ありがとう。何か悪いな。何から何までして貰って……」
「いいのよ。それより、その腕で食べれるかしら?」
「ああ、利き手じゃないからな」
「じゃあ、こっちへ」
そして、ファルとリリカは台所へと移動した。
台所にあるテーブルで2人は食事をした。
「お父さんは?」
「ベッドよ。食事もあまり食べれなくて……」
「そうか。早く治してあげないとな」
「ありがとう。でも、その前に怪我を治さないとね」
「ああ。でも、言ったとおり時間がないんだ。仲間探しはしないと」
「だったら後で酒場に行くといいわ。後、宿屋と。その2つは旅人が集まるから何か情報が得られるかもしれないわ」
「本当か? ありがとう」
「でも私、あなたのその目に何か不思議なものを感じるの」
「えっ?」
「懐かしいような、そんな感じ……。何故かしら?」
ファルはリリカの言葉に少し沈黙した。
実はファルも全く同じことを思っていたからだ。
「初対面なのに変ね。ごめんなさい。それより後で私が酒場とか連れて行ってあげるわね」
「ありがとう」
そして、2人は食事をした。
ファルは仲間のことは気がかりだったけれど、久し振りに楽しい時間を過ごした。
その日の夜、ファルはリリカと酒場に行った。
そして、仲間に関する聞き込みをした。
「そういえば宿屋に泊ってるラズエルという旅人が不思議な少女を見たと言ってたなあ」
「不思議な少女ですか?」
「ああ、何でも魔物に襲われて怪我したらしいんだけど、何でもその少女に治してもらったとか」
ファルは食い入るようにしてその話を聞いた。
「その少女が手をかざしたら治ったらしくてな。世の中には不思議な力をもった者がいるもんだな」
「ありがとうございます。リリカ、多分、リンナだ。宿屋に泊ってるというラズエルさんの所に行こう」
そして、2人は宿屋へと向かった。
「ああ、確かに不思議な少女に出会ったよ。名前は確かリンナとかいったかな。俺の怪我を治して
くれてね」
宿屋に泊っているラズエルがファル達に快くそう話をしてくれた。
「本当ですか? 何処にその少女が行ったか解りませんか?」
「確かアール村に行くと言ってたなあ。仲間がいるとかで」
「アール村……?」
「アール村なら私が知ってるわ。そんな遠くないから明日一緒に行きましょう」
リリカが言った。
「本当か? 助かるよ」
そして、2人は明日アール村へと旅立つことにした。
何故か柔らかいベッドの上にいて、天井は見覚えのないものだった。
「ここは何処だ?……っつ」
ファルは左腕を抑えた。
ファルが左腕を見るとぐるぐると丁寧に包帯が巻かれてあった。
「……怪我したのか。そりゃそうだよな。あんな魔法使われちゃ……」
とてもじゃないけれど今の自分の力ではあの魔法には太刀打ち出来ない。
ファルはそう思った。
「それにしてもここは何処だ? この包帯は一体誰が巻いてくれたんだろう……」
それにあの魔法をくらって、おそらく皆はバラバラになったに違いない。
ファルはそう思った。
「……ラウル、リンナ、クラウス、どうか無事でいてくれ」
ファルはそう言い、こうしてはいられないとベッドから降りようとした。
その時だった。
「駄目よ。まだ起きちゃ。酷い怪我なんだから」
部屋のドアが開いて、ファルと同じ位の美少女がファルの前に現れた。
「……君がもしかして、俺のこと助けてくれたのか?」
ファルが言った。
「そうよ。私はリリカ。あなたはこの町にある浜辺に辿り着いていたの。そして、私の家に連れて帰って怪我の手当てしたのよ」
「そうか。ありがとう。ところでここは何ていう町なんだ? 後、俺以外に誰かいなかっただろうか?」
「とりあえずご質問される前にお名前を教えてほしいわ」
「すまない。ファルだ。仲間と旅をしている途中、魔物に襲われたんだ。リリカ、君の気持は有難い
んだけど、俺には時間がないんだ」
「何かよっぽどの事情があるのね。良かったら話してほしいわ。私、こう見えても情報通なのよ」
ファルはリリカの言葉に少し詰まった。
”輝きの石”のことを軽々しく口にしてもいいかどうか迷ったからだ。
だけど、この町で聞き込みする以外は他に方法はないよな。
ファルはそう思い直して、このリリカという少女に自分の目的を話すことにした。
「実は輝きの石というものを探してるんだ」
「それは幻の石じゃないの?」
リリカのその言葉にファルは驚いた。
何故なら、何それではなく、すぐに”幻の石”と口にしたからだ。
「リリカ、君は輝きの石を知ってるのか?」
「ええ。父に聞いたことがあるの。でも、その石は幻の石でこの世界にはないと聞いたわ」
「え?」
「……何処だったかしら? 確かその石があると言われているところは……」
「とろこは?」
「……ごめんなさい。どうしても思い出せない。父なら詳しく知ってるんだけど……でも……」
「でも?」
「今、父は病気でろくに口もきけないの」
「重病なのか」
「ええ……。お医者さまが言うには原因不明の難病らしいの。でもね、症状を調べてみたら、ある薬草
が効くかも知れないの」
「薬草? それは何処に売ってるんだ?」
「売っていなくて、この町の南にある山の山頂にあるの。でも、そこは魔物が多く出て私にはとても
採りにいけなくて」
「魔物か……。俺1人では無理だけど仲間とならその薬草とってこれるかもしれない」
「えっ?」
「怪我が治ってからになるけどな。それなら尚更、仲間を探さないと」
「でも、そんな危険な所に行って貰うわけには……」
「俺も”輝きの石”のことを君のお父さんから聞きたいんだ。だから気にしなくていいよ。それより仲間を
探さないと」
「ありがとう。じゃあ、私も仲間探し手伝います」
リリカは凛とした声で言った。
「ファル、食事よ」
リリカが言った。
「ありがとう。何か悪いな。何から何までして貰って……」
「いいのよ。それより、その腕で食べれるかしら?」
「ああ、利き手じゃないからな」
「じゃあ、こっちへ」
そして、ファルとリリカは台所へと移動した。
台所にあるテーブルで2人は食事をした。
「お父さんは?」
「ベッドよ。食事もあまり食べれなくて……」
「そうか。早く治してあげないとな」
「ありがとう。でも、その前に怪我を治さないとね」
「ああ。でも、言ったとおり時間がないんだ。仲間探しはしないと」
「だったら後で酒場に行くといいわ。後、宿屋と。その2つは旅人が集まるから何か情報が得られるかもしれないわ」
「本当か? ありがとう」
「でも私、あなたのその目に何か不思議なものを感じるの」
「えっ?」
「懐かしいような、そんな感じ……。何故かしら?」
ファルはリリカの言葉に少し沈黙した。
実はファルも全く同じことを思っていたからだ。
「初対面なのに変ね。ごめんなさい。それより後で私が酒場とか連れて行ってあげるわね」
「ありがとう」
そして、2人は食事をした。
ファルは仲間のことは気がかりだったけれど、久し振りに楽しい時間を過ごした。
その日の夜、ファルはリリカと酒場に行った。
そして、仲間に関する聞き込みをした。
「そういえば宿屋に泊ってるラズエルという旅人が不思議な少女を見たと言ってたなあ」
「不思議な少女ですか?」
「ああ、何でも魔物に襲われて怪我したらしいんだけど、何でもその少女に治してもらったとか」
ファルは食い入るようにしてその話を聞いた。
「その少女が手をかざしたら治ったらしくてな。世の中には不思議な力をもった者がいるもんだな」
「ありがとうございます。リリカ、多分、リンナだ。宿屋に泊ってるというラズエルさんの所に行こう」
そして、2人は宿屋へと向かった。
「ああ、確かに不思議な少女に出会ったよ。名前は確かリンナとかいったかな。俺の怪我を治して
くれてね」
宿屋に泊っているラズエルがファル達に快くそう話をしてくれた。
「本当ですか? 何処にその少女が行ったか解りませんか?」
「確かアール村に行くと言ってたなあ。仲間がいるとかで」
「アール村……?」
「アール村なら私が知ってるわ。そんな遠くないから明日一緒に行きましょう」
リリカが言った。
「本当か? 助かるよ」
そして、2人は明日アール村へと旅立つことにした。
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