「伝説を超える時」

愛理

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番外編「辿り着きたい場所を探しに」(クラウス篇)

第12話「黒い頭巾を被った生物の正体」

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  3人はついに洞窟の一番奥へと辿り着いた。
  だけど、その場所は真っ黒なオーラが漂い、辺りがよく見えなかった。
  また、3人はこの場にいるととても不快な気分になった。
  だから、ラウルは必死になってこの場を浄化する魔法をかけた。
  すると少しして、黒いオーラが取り払われ、空気もだいぶ綺麗なものへと変わった。
  だけど、その後すぐにゴゴゴとい音がして、3人の前に動物達が言っていた黒い頭巾を被り、また、身体も黒い服で全身を覆っている生物が現れた。
  ただ、3人が思っていたようにその生物は大きくなかった。
  でも、勿論、3人は油断はしない。
「お前は一体何なんだ? どうしてあの森を汚し、動物や植物達をあんなに酷く傷つけた」
  クラウスが言った。
  すると全身真っ黒な生物がクラウスを見た。
  そして、その後、とても低い声で、
「キレイナモノがキライダカラダ。タノシソウニシテルヤツラガキライダカラダ」
  そう言った。
「そんな理由で最悪な奴だな。いや、可哀想な奴と言うべきか」
  クラウスがそう言った途端真っ黒な生物はクラウスめがけて手から出した黒い液体を投げつけてきた。
「うわっ。何だ」
  クラウスは左腕に黒い液体がかかってしまった。
「クラウス、そこに触っては駄目です! 恐らくそれは毒です。今、僕が毒を消しさる魔法をクラウスにかけますから」
  ラウルはそう言い、クラウスにめがけて、毒を消しさる魔法をかけた。
「クラウス、少しの油断もしてはいけません。この生き物は見かけよりも、かなり強い力をもっているようです。しかも、かなり邪悪な力です」
  リンナが言った。
「そうか。なら、遠慮なく退治させてもらうぜ」
  クラウスはそう言い右の腰の辺りに刺していた剣を手に取った。
  だけど、すぐにリンナが、
「でも、完全に倒してはいけません。だって、この生物の正体は恐らく人間だからです。この洞窟に入ってきたばかりの頃、私がこの洞窟の一番奥からは憎しみと悲しみのオーラを感じると言ったのを覚えていますか」
  そう言ったので、クラウスは、
「ああ、そうだったな。でも、本当にこいつが人間なのか? こんな不気味な生き物」
  そう返した。
「ええ、恐らく。きっと何か凄く悲しいことがあり、また、その悲しいことが誰かに対しての憎しみを生み、気持ちを整理できなくなってしまった時に何か邪悪な者が入り込み、今のような状態になったんだと思われます」
  リンナが言った。
「僕もそう思います」
  ラウルが言った。
「じゃあ、どういった風に倒せばいいんだ?」
  クラウスは少し戸惑ったように言った。
「私とラウルでこの生物の中にいる邪悪な者を聖域魔法で出せるか試みます。その間、この生物は私達にかなりの勢いで襲ってくるかもしれません。その時、クラウスのその剣裁きで、できるだけ傷つけないようにこの生物を攻撃してもらえますか」
   リンナが言った。
「解った。やってみるよ。後、リンナもラウルうも気をつけろよ」
  クラウスのその言葉にリンナとラウルは真剣な顔で頷いた。
  そして、3人はこの真っ黒な生物から邪悪な者を追い出す体勢に入った。
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