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第56話「忘れてほしいと言われて」
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陸人が刺されて、意識不明の重体と報道されてから、陸人へのバッシングは殆どなくなった。
その代わり、陸人を刺した長原さんへのバッシングが起きた。
長原さんは殺人未遂で警察に逮捕されてしまった。
陸人を刺したことは勿論、許せないことだけど、でも、長原さんは雅人の彼女だった人で、きっと本当に雅人のことを好きでいてくれて、今回の事件が起きてしまったんだと思うから、許せない気持ちと同時に長原さんの心情を思うといたたまれない気持ちにもなった。
そして、陸人が意識不明になってから、2週間が過ぎた。
私はできるだけ病院にお見舞いに行くようにしていた。
すると金曜日の夜に陸人の両親に病院で会った。
陸人の両親とは高校生の時に何回か会ったことはあるけど、今も陸人の両親はアメリカに住んでいるということもあって、大人になってからは会ってはいなかった。
陸人のお母さんが私を見て、はっとしたような顔をした。
「叔母さん、ご無沙汰してます」
だから、私は陸人のお母さんのそばに行き、そう言った。
陸人のお父さんは私を見て、辛そうな顔をした。
「亜美ちゃん、本当にお久しぶりね。でも、陸人からは亜美ちゃんの話しはちょくちょく聞いてたのよ」
陸人のお母さんは少しだけ笑って、そう言った。
だけど、陸人のお母さんもすぐに辛そうな顔になった。
「亜美ちゃん、陸人とまたより戻して、おつきあいしてたんでしょう」
陸人のお母さんが今度は真剣な顔をして言った。
「え? はい」
あまりにも陸人のお母さんの顔が真剣で私は少し怯んだ。
「そう。亜美ちゃん、陸人のことはもう知ってるのよね?」
「雅人のことですか? 知ってます」
「そう。なのに何故、陸人とまた?」
「勿論、知ったばかりの時はもの凄く驚きましたし、許せないとも思いました。だけど、雅人のことは不運が重なったうえの事故だったみたいですし、何より私が陸人のことをずっと忘れられないでいたからです」
私がそう言うと陸人のお母さんは困惑した顔をした。
すると今度は陸人のお父さんが、
「そう言ってもらえて、そして、陸人をそこまで想ってくれて本当に嬉しいよ。だけど、今の陸人はもしかするとこのまま……1度も目が覚めないまま、植物状態になるかもしれないとお医者さんに言われてね」
そう言った。
そして、更に、
「だからね、もう、君には陸人のことは忘れてほしいんだ。それに例え意識が戻ったとしても、陸人がどうなるか解らないし……それに君と陸人は別々に生きた方がお互いに幸せにもなれると思うから」
私の顔を凄く真剣な顔をして見ながら、強い口調でそう言った。
その代わり、陸人を刺した長原さんへのバッシングが起きた。
長原さんは殺人未遂で警察に逮捕されてしまった。
陸人を刺したことは勿論、許せないことだけど、でも、長原さんは雅人の彼女だった人で、きっと本当に雅人のことを好きでいてくれて、今回の事件が起きてしまったんだと思うから、許せない気持ちと同時に長原さんの心情を思うといたたまれない気持ちにもなった。
そして、陸人が意識不明になってから、2週間が過ぎた。
私はできるだけ病院にお見舞いに行くようにしていた。
すると金曜日の夜に陸人の両親に病院で会った。
陸人の両親とは高校生の時に何回か会ったことはあるけど、今も陸人の両親はアメリカに住んでいるということもあって、大人になってからは会ってはいなかった。
陸人のお母さんが私を見て、はっとしたような顔をした。
「叔母さん、ご無沙汰してます」
だから、私は陸人のお母さんのそばに行き、そう言った。
陸人のお父さんは私を見て、辛そうな顔をした。
「亜美ちゃん、本当にお久しぶりね。でも、陸人からは亜美ちゃんの話しはちょくちょく聞いてたのよ」
陸人のお母さんは少しだけ笑って、そう言った。
だけど、陸人のお母さんもすぐに辛そうな顔になった。
「亜美ちゃん、陸人とまたより戻して、おつきあいしてたんでしょう」
陸人のお母さんが今度は真剣な顔をして言った。
「え? はい」
あまりにも陸人のお母さんの顔が真剣で私は少し怯んだ。
「そう。亜美ちゃん、陸人のことはもう知ってるのよね?」
「雅人のことですか? 知ってます」
「そう。なのに何故、陸人とまた?」
「勿論、知ったばかりの時はもの凄く驚きましたし、許せないとも思いました。だけど、雅人のことは不運が重なったうえの事故だったみたいですし、何より私が陸人のことをずっと忘れられないでいたからです」
私がそう言うと陸人のお母さんは困惑した顔をした。
すると今度は陸人のお父さんが、
「そう言ってもらえて、そして、陸人をそこまで想ってくれて本当に嬉しいよ。だけど、今の陸人はもしかするとこのまま……1度も目が覚めないまま、植物状態になるかもしれないとお医者さんに言われてね」
そう言った。
そして、更に、
「だからね、もう、君には陸人のことは忘れてほしいんだ。それに例え意識が戻ったとしても、陸人がどうなるか解らないし……それに君と陸人は別々に生きた方がお互いに幸せにもなれると思うから」
私の顔を凄く真剣な顔をして見ながら、強い口調でそう言った。
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