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第6話「あなたの涙」
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陸人は控室から出て行って、5分くらいで戻ってきた。
そして、私の方を見て、
「亜美、さっきはごめん。後、もうすぐイベントが始まるから、亜美はもう皆のところに行っていいよ」
そう言った。
「え? あ、はい」
私は陸人に亜美と呼ばれて、前のような口調で陸人が私に話してきても、やっぱり、仕事中だからと敬語で話すことにした。
でも……。
「亜美、俺にはもう敬語使わなくていいよ。お互いによく知ってる仲なんだし」
そう陸人に言われた。
「え? で、でも」
「俺がいいって言ってるんだから、そうしてよ。じゃないと何か寂しいから」
陸人にそう言われて、私は最初は陸人の方がよそよそしかったのにとまた思ったけれど、あえてそれは言わなかった。
「じゃあ、前のように話すね。後、私、本当に皆のところに行くね」
「うん、後で」
「うん、でも、何か必要なこととかできたらすぐに連絡してね。仕事用の携帯の方に」
「ああ」
「じゃあ、本当に後で」
私がそう言って、出て行こうとした時、
「亜美」
と陸人がかなり真剣な口調で私の名前を呼んだ。
だから、私はドキリとした。
「え? 何?」
「アメリカに行った後、暫くして、連絡途絶えさせてごめんな」
「陸人……」
私はまさか陸人がそんなことを言ってくるなんて思ってなかったから、動揺を隠せなかった。
だけど、私は陸人がどうしてアメリカに行ってから、暫くして、全然、連絡をくれなくなったのか知れるなら、知りたいと思って、理由を聞こうとした。
でも―。
また陸人が私を抱きしめて―。
今度は陸人が何故だか泣いたから、私は陸人にもう何も聞くことができなかった。
だけど、陸人―。
どうして、私を抱きしめながら泣くの?
一体、陸人には何があったの?
私は陸人に抱きしめられながら、そう思っていた。
そして、私の方を見て、
「亜美、さっきはごめん。後、もうすぐイベントが始まるから、亜美はもう皆のところに行っていいよ」
そう言った。
「え? あ、はい」
私は陸人に亜美と呼ばれて、前のような口調で陸人が私に話してきても、やっぱり、仕事中だからと敬語で話すことにした。
でも……。
「亜美、俺にはもう敬語使わなくていいよ。お互いによく知ってる仲なんだし」
そう陸人に言われた。
「え? で、でも」
「俺がいいって言ってるんだから、そうしてよ。じゃないと何か寂しいから」
陸人にそう言われて、私は最初は陸人の方がよそよそしかったのにとまた思ったけれど、あえてそれは言わなかった。
「じゃあ、前のように話すね。後、私、本当に皆のところに行くね」
「うん、後で」
「うん、でも、何か必要なこととかできたらすぐに連絡してね。仕事用の携帯の方に」
「ああ」
「じゃあ、本当に後で」
私がそう言って、出て行こうとした時、
「亜美」
と陸人がかなり真剣な口調で私の名前を呼んだ。
だから、私はドキリとした。
「え? 何?」
「アメリカに行った後、暫くして、連絡途絶えさせてごめんな」
「陸人……」
私はまさか陸人がそんなことを言ってくるなんて思ってなかったから、動揺を隠せなかった。
だけど、私は陸人がどうしてアメリカに行ってから、暫くして、全然、連絡をくれなくなったのか知れるなら、知りたいと思って、理由を聞こうとした。
でも―。
また陸人が私を抱きしめて―。
今度は陸人が何故だか泣いたから、私は陸人にもう何も聞くことができなかった。
だけど、陸人―。
どうして、私を抱きしめながら泣くの?
一体、陸人には何があったの?
私は陸人に抱きしめられながら、そう思っていた。
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