「気になる人」

愛理

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最終話「気になる人から、ずっと一緒にいる人へ」

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 東京に戻ってきた私と雪人さんは、もう既にお互いの両親に会ったことはあるけれど、改めて、どちらの両親にも結婚したい意志を伝えに挨拶に行った。
 私の両親は雪人さんと色々あったことを知ってはいるけれど、私が一緒になって、幸せになれる人は雪人さんしかいないということも解ってくれていて、雪人さんにこれからは、ずっと一緒に美春と何があってもいてねと言って、雪人さんもそれに誠実に答えてくれた。
 また、雪人さんの両親は私が相手なら、喜んでとすぐに私と雪人さんの結婚を認めてくれた。
 
 そして、東京に戻って、半年後、私達は結婚式を挙げて、その後、披露宴をすることになった。
 結婚式は都内の教会で、本当に親しい身内だけの参加の中で挙げた。
 私はお互いに一生の伴侶としての誓いをする時に色々な想いが込み上げてきて、少し泣きそうになってしまった。
 そんな私に気づいた雪人さんは、優しく微笑み、
「今まで傷つけた分も必ず幸せにするから」
 そう言ってくれた。

 披露宴はまあまあの規模だった。
 そして、招待客の中には過去に色々あった、るりかさんと晃さんもいた。
 この2人とは東京に戻ってから、偶然また再会して、それからは昔あったことが嘘のように今では仲良くしていた。
 また、2人はすでに結婚していた。
「結婚、本当におめでとう。2人が結婚してくれて本当に良かった」
 るりかさんが言った。
 今、私と雪人さんは今日、披露宴に来てくれている人達に挨拶回りをしていた。
「本当に。過去では迷惑かけてごめんな」
 晃さんが言った。
「ううん、今では仲良くなったんだし、これからもよろしくね」
 私がそう言うとるりかさんは、ありがとうと涙目で言ってくれた。
 後は一番初めの職場でお世話になった、上野課長も来てくれて、また、結婚生活が落ち着ちついて、働きたくなったら、連絡してきてと言ってくれた。
 大阪からは大山さんと水野さんも来てくれて、2人も来年、結婚する予定だと教えてくれた。
 この日は私にとって、本当に夢のような幸せな一日だった。

「美春」
 披露宴の後の二次会も終わり、私と雪人さんは今、披露宴を挙げたホテルの部屋にいた。
 新婚旅行へは明日、出発予定だった。
 ヨーロッパに行くことになっていた。
 そして、私達は今、1つのベッドに並んで座っていた。
 でも、今、雪人さんが私の名前を呼んだので、お互い顔を向け合った。
「今日、結婚式の時にも言ったけど、今まで傷つけた分も必ずこれから幸せにするから」
「雪人さん」
「美春、愛してるよ。色々と傷つけたのにずっと俺のこと想ってくれてありがとう」
 雪人さんはそう言い私を抱きしめた。
 だから、私も雪人さんの背中に両手を回した。
「雪人さん、私も愛してる。これからはもうずっと一緒にいれると思うと凄く嬉しい」
 私がそう言うと雪人さんは再び、私の顔を見て、一瞬、泣きそうになった後、私が凄く好きな優しい笑顔になって、
「俺もこれから、ずっと美春と一緒にいれると思うと凄く嬉しい。これからは、うんと幸せになろうな」
 そう言った後、私を抱いていった。

 最初は何となく気になる人だった、雪人さん。
 だけど、その後、凄く気になる人になり、好きな人になり、何度か離れたけれど、また、再会して、その度にやっぱり、どんな環境の中にいても気になった人。
 でも、これからは、お互い愛し合い、ずっと一緒にいれる人。
 そんな風に雪人さんの腕の中で思って、私は今、最高の幸せを感じていた。
                                           END                                     
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