76 / 80
第76話「目覚めた雪人さん」
しおりを挟む
雪人さんに面会できるのは午後9時までなので、私は病室に掛かっている壁時計で時間を確認して、今は午後8時過ぎだから、明日も仕事があるし、後、10分くらいで今日はもう帰ろう。
そう思い、私は帰り支度を始めた。
そして、10分が経ち、私はまだ眠ったままの雪人さんの寝顔を見ながら、
「雪人さん、明日また来るからね」
そう言い雪人さんベッドの傍にあるパイプ椅子から立ち上がろうとした。
その時、
「み・・・はる?」
掠れていて、とても小さな声だったけれど、確かに雪人さんは今、私の名前を呼んだ。
え?
今、雪人さん、確かに美春って。
美春って呼んだよね?
私はそう思いながら、椅子に座りなおし、まだ眠っている雪人さんの寝顔を見ていると、ゆっくりと雪人さんの目が開いて、私と目が合ったその後、
「良かった。美春、やっぱりここにいてくれたんだ」
今度は掠れてもいなくて、まだ、小さな声でもなく、しっかりとした声で私に雪人さんはそう言った。
「あ……」
本当は雪人さんの目が覚めたら、雪人さんに言いたいことは沢山あったのに、私の目からは自然にどんどん涙が溢れてきて、何も言葉にすることができなかった。
そんな私を見て、雪人さんは、
「美春、俺の顔に美春の顔を近づけてほしい」
そう言ったので、私は雪人さんが言ったように雪人さんの顔に自分の顔を近づけた。
すると雪人さんは、
「美春、愛してるよ」
そう言って私の頬をつたう涙をそっと手で拭ってくれた。
その後、私は少ししてから、雪人さんの目が覚めたんだから、先生に診てもらわなきゃ! と思い、私は慌てて、ナースステーションへと繋がる緊急ボタンを押した。
それから、先生と看護師さんが来て、雪人さんを診てくれて、今のところ大丈夫そうですが、念のため、精密検査をしましょうと先生が言い、それから、数日後、精密検査を受けて、何処も異常がないと認められた雪人さんは病院から退院することになった。
退院の日は、私や雪人さんのご両親も都合がつく土曜日となり、何日も眠り続けていた雪人さんは、勿論、怪我はまだ完治していないものの、とても元気そうに退院をした。
そう思い、私は帰り支度を始めた。
そして、10分が経ち、私はまだ眠ったままの雪人さんの寝顔を見ながら、
「雪人さん、明日また来るからね」
そう言い雪人さんベッドの傍にあるパイプ椅子から立ち上がろうとした。
その時、
「み・・・はる?」
掠れていて、とても小さな声だったけれど、確かに雪人さんは今、私の名前を呼んだ。
え?
今、雪人さん、確かに美春って。
美春って呼んだよね?
私はそう思いながら、椅子に座りなおし、まだ眠っている雪人さんの寝顔を見ていると、ゆっくりと雪人さんの目が開いて、私と目が合ったその後、
「良かった。美春、やっぱりここにいてくれたんだ」
今度は掠れてもいなくて、まだ、小さな声でもなく、しっかりとした声で私に雪人さんはそう言った。
「あ……」
本当は雪人さんの目が覚めたら、雪人さんに言いたいことは沢山あったのに、私の目からは自然にどんどん涙が溢れてきて、何も言葉にすることができなかった。
そんな私を見て、雪人さんは、
「美春、俺の顔に美春の顔を近づけてほしい」
そう言ったので、私は雪人さんが言ったように雪人さんの顔に自分の顔を近づけた。
すると雪人さんは、
「美春、愛してるよ」
そう言って私の頬をつたう涙をそっと手で拭ってくれた。
その後、私は少ししてから、雪人さんの目が覚めたんだから、先生に診てもらわなきゃ! と思い、私は慌てて、ナースステーションへと繋がる緊急ボタンを押した。
それから、先生と看護師さんが来て、雪人さんを診てくれて、今のところ大丈夫そうですが、念のため、精密検査をしましょうと先生が言い、それから、数日後、精密検査を受けて、何処も異常がないと認められた雪人さんは病院から退院することになった。
退院の日は、私や雪人さんのご両親も都合がつく土曜日となり、何日も眠り続けていた雪人さんは、勿論、怪我はまだ完治していないものの、とても元気そうに退院をした。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

手を伸ばした先にいるのは誰ですか~愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる~【完結】
まぁ
恋愛
ワイン、ホテルの企画業務など大人の仕事、そして大人に切り離せない恋愛と…
「Ninagawa Queen's Hotel」
若きホテル王 蜷川朱鷺
妹 蜷川美鳥
人気美容家 佐井友理奈
「オークワイナリー」
国内ワイナリー最大手創業者一族 柏木龍之介
血縁関係のない兄妹と、その周辺の何角関係…?
華やかな人々が繰り広げる、フィクションです。
アンコール マリアージュ
葉月 まい
恋愛
理想の恋って、ありますか?
ファーストキスは、どんな場所で?
プロポーズのシチュエーションは?
ウェディングドレスはどんなものを?
誰よりも理想を思い描き、
いつの日かやってくる結婚式を夢見ていたのに、
ある日いきなり全てを奪われてしまい…
そこから始まる恋の行方とは?
そして本当の恋とはいったい?
古風な女の子の、泣き笑いの恋物語が始まります。
━━ʚ♡ɞ━━ʚ♡ɞ━━ʚ♡ɞ━━
恋に恋する純情な真菜は、
会ったばかりの見ず知らずの相手と
結婚式を挙げるはめに…
夢に描いていたファーストキス
人生でたった一度の結婚式
憧れていたウェディングドレス
全ての理想を奪われて、落ち込む真菜に
果たして本当の恋はやってくるのか?
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語
誘惑の延長線上、君を囲う。
桜井 響華
恋愛
私と貴方の間には
"恋"も"愛"も存在しない。
高校の同級生が上司となって
私の前に現れただけの話。
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚
Иatural+ 企画開発部部長
日下部 郁弥(30)
×
転職したてのエリアマネージャー
佐藤 琴葉(30)
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚
偶然にもバーカウンターで泥酔寸前の
貴方を見つけて…
高校時代の面影がない私は…
弱っていそうな貴方を誘惑した。
:
:
♡o。+..:*
:
「本当は大好きだった……」
───そんな気持ちを隠したままに
欲に溺れ、お互いの隙間を埋める。
【誘惑の延長線上、君を囲う。】
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる