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第72話「また恋人同士に」
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「倉崎さん」
突然、後ろから倉崎さんに抱きしめられて、驚いた私は思わず倉崎さんの名前を呼んだ。
「急にこんな風に抱きしめてごめん。でも、今日、水野さんに抱きしめられている野中さんを見たら、いてもたってもいられなくて。だから、帰りに野中さんに話があるって言って。でも、本当は野中さんがこんな風に俺と一緒に来てくれるとは思ってなかったんだ。こんな風に抱きしめておいて、今さら、聞くのも何だけど、野中さんは今、水野さんとつきあってるの」
珍しく震えた声で倉崎さんが言った。
だから、私は倉崎さんの手の上に私の手を重ねて、
「水野さんとは倉崎さんと再会する前からの数ヶ月間、つきあっていました。でも、今日、水野さんに何で他に好きな人がいるのに俺とつきあったのって怒られて別れました」
「野中さん」
倉崎さんは私の言葉に少し驚いたようだった。
だけど、私は構わずに話を続けた。
「それで、私は水野さんがそうやって、私に諭してくれたためにも自分の気持ちに正直に生きようって決めて……でも、水野さんと話した後、席に戻ると湯野さんが倉崎さんにこの後、話があるんですって言ってるのを聞いてしまって。だから、本当は倉崎さんに私も話があるから、時間を取ってほしいんですって言いたかったのに言えなくて」
「そうだったんだ。気づかずにごめん。でも、湯野さんには何度か言われたけど、その度に断ったし、最後には俺には好きな人がいるからって、はっきり言ったんだ」
倉崎さんはそう言い私を自分の方に向けた。
「正直、その好きな人とまた成就するかは湯野さんに言った時は解らなかったけど」
「倉崎さん」
「野中さん、何度も何度も傷つけて本当にごめん。でも、俺、やっぱり、野中さんと別れてからも、ずっとずっと野中さんが忘れられなかった。だから、こっちで転職した会社で野中さんに再会した時、本当に嬉しくて」
「私にはそんな風には見えませんでしたけど」
「俺は野中さんをまだ好きだったけど、別れてから時間も経ってるし、もう野中さんは結婚してるかもとか、恋人がいるかもしれないって思ったら、俺の気持ちをまたぶつけるのは迷惑かもしれないって思ったり、ただ、野中さんのそういったことを知るのが怖かったりもしたから、普通に接しているように見せていたんだ」
「それ、私と同じです」
「え」
「私も倉崎さんがもう結婚してるかもとか、大切な人がいるかもとか、思って、そうだった時のことが怖くて、そういったことは倉崎さんには聞けませんでした」
「野中さん」
私達は少しの間、見つめ合い、そして、笑い合った。
そして、その後、倉崎さんが真剣な表情で、
「野中さんにとったら、何度も傷つけたし、本当にどうしようもない俺だけど、でも、今度こそ、何があっても、絶対に野中さんを守るし、離さないから、もう1度、俺の恋人になってくれませんか」
そう言ってくれたので、私は自然に目から涙が零れて、でも、笑顔で、
「喜んで」
そう言った。
そして、私達はその後、暫く今度は正面からその場で抱きあっていた。
突然、後ろから倉崎さんに抱きしめられて、驚いた私は思わず倉崎さんの名前を呼んだ。
「急にこんな風に抱きしめてごめん。でも、今日、水野さんに抱きしめられている野中さんを見たら、いてもたってもいられなくて。だから、帰りに野中さんに話があるって言って。でも、本当は野中さんがこんな風に俺と一緒に来てくれるとは思ってなかったんだ。こんな風に抱きしめておいて、今さら、聞くのも何だけど、野中さんは今、水野さんとつきあってるの」
珍しく震えた声で倉崎さんが言った。
だから、私は倉崎さんの手の上に私の手を重ねて、
「水野さんとは倉崎さんと再会する前からの数ヶ月間、つきあっていました。でも、今日、水野さんに何で他に好きな人がいるのに俺とつきあったのって怒られて別れました」
「野中さん」
倉崎さんは私の言葉に少し驚いたようだった。
だけど、私は構わずに話を続けた。
「それで、私は水野さんがそうやって、私に諭してくれたためにも自分の気持ちに正直に生きようって決めて……でも、水野さんと話した後、席に戻ると湯野さんが倉崎さんにこの後、話があるんですって言ってるのを聞いてしまって。だから、本当は倉崎さんに私も話があるから、時間を取ってほしいんですって言いたかったのに言えなくて」
「そうだったんだ。気づかずにごめん。でも、湯野さんには何度か言われたけど、その度に断ったし、最後には俺には好きな人がいるからって、はっきり言ったんだ」
倉崎さんはそう言い私を自分の方に向けた。
「正直、その好きな人とまた成就するかは湯野さんに言った時は解らなかったけど」
「倉崎さん」
「野中さん、何度も何度も傷つけて本当にごめん。でも、俺、やっぱり、野中さんと別れてからも、ずっとずっと野中さんが忘れられなかった。だから、こっちで転職した会社で野中さんに再会した時、本当に嬉しくて」
「私にはそんな風には見えませんでしたけど」
「俺は野中さんをまだ好きだったけど、別れてから時間も経ってるし、もう野中さんは結婚してるかもとか、恋人がいるかもしれないって思ったら、俺の気持ちをまたぶつけるのは迷惑かもしれないって思ったり、ただ、野中さんのそういったことを知るのが怖かったりもしたから、普通に接しているように見せていたんだ」
「それ、私と同じです」
「え」
「私も倉崎さんがもう結婚してるかもとか、大切な人がいるかもとか、思って、そうだった時のことが怖くて、そういったことは倉崎さんには聞けませんでした」
「野中さん」
私達は少しの間、見つめ合い、そして、笑い合った。
そして、その後、倉崎さんが真剣な表情で、
「野中さんにとったら、何度も傷つけたし、本当にどうしようもない俺だけど、でも、今度こそ、何があっても、絶対に野中さんを守るし、離さないから、もう1度、俺の恋人になってくれませんか」
そう言ってくれたので、私は自然に目から涙が零れて、でも、笑顔で、
「喜んで」
そう言った。
そして、私達はその後、暫く今度は正面からその場で抱きあっていた。
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