「気になる人」

愛理

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第61話「今度は大阪で」

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 結局、その後、私は雪人さんとまた会うことはなかった。
 また、雪人さんの話はその後、誰からも聞くことはなかった。
 そして、それから、月日が過ぎて、雪人さんと別れてから初めての春が来た。
 私は1度、本社に戻ったものの、雪人さんと出会い、雪人さんと一緒にたくさん過ごした職場にいるのは辛いなと思い、今度は自分から上野課長に異動届の希望を出した。
 上野課長はこれから頑張れば色々自分で企画した物が商品になったりするのにと言われたけど、私はお気持ちは嬉しいです。でも、やっぱり、違うところで頑張りたいんですと言い、異動を認めてもらい、今度は大阪にあるグループ会社に出向することになった。
 前に京都の会社にいたから、近畿圏の方が慣れてるだろうからという理由だった。
 そして、私が勤務する職場は私が所属している会社などから頼まれてチラシを作ったり、頼まれたオリジナルキャラのグッズなどを作る職場で、私は依頼されたものをどういった風に作っていくかなど、まとめるという仕事をすることになっていた。
 私が今までとは少し違った仕事がしたいと上野課長にお願いしたら、それなら、今はここしかないと言われて、行く職場だった。

 そして、今日から新しい職場で働くことになっていて、今、私は就任の挨拶を職場の皆の前でしているところだった。
 今度の職場は会社全体が200人程の会社で、場所は大阪の都心部と呼ばれるところに自社ビルが建っていて、また、私が実際に勤務する職場は30人程の部署で男性より女性の方が少し多い職場だった。
「今日からこちらで働かせていただくことになった野中美春です。慣れるまではご迷惑をおかけすることもあると思いますが、一生懸命頑張りますのでどうぞよろしくお願いいたします」
 私がそう挨拶すると皆が笑顔でパチパチと拍手をしてれた。
 その雰囲気を見て、わりといい職場かもしれないと思った。
 挨拶が終わり、飯川課長という40代半ばの男性が私に声をかけてくれて、私の席まで案内してくれた。
 すると私の席がある島には課長を入れた男性4人と女性3人がいた。
 飯川課長と私を見るなり、皆、立ちあがった。
「さっき紹介があり、ご自分でも挨拶されたように今日からここで働くことになった野中さんだ。この企画課に所属してもらうので、皆、色々教えてあげてくださいね」
 飯川課長がそう言った後、皆、それぞれよろしくお願いしますと言ってくれた。
「それで、最初は全然、仕事のことが解らないだろうから、今日から慣れるまで、野中さんに色々教えてくれるパートナーを用意したから。水野くん、色々優しく教えてあげてね」
 飯川課長がそう言うと、
「はい、解りました。水野です。今日からよろしくお願いします」
 さっき課長が私の席だと教えてくれた横の席の20代後半かなと思う背の高いスラっとした、端正な顔立ちで、何処となく雪人さんに似た感じのする男性がそう言った。
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