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第58話「雪人さんと早苗さんの出会い」
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公園に着いて私達はその公園にある白い長いベンチに座った。
私はベンチに座って公園の中を見渡しながら、何か公園って私にとっては大事な話の時に来る場所になってる気がするなと思っていた。
そんなことを思っていると、
「美春」
と雪人さんは真剣な口調で私の名前を呼んだ。
だから、私は隣にいる雪人さんの顔を見た。
「さっき言ったように俺と早苗のことを話すから聞いてほしい」
雪人さんは真剣な表情と口調でそう言ったので、私はコクンと頷いた。
「美春も知ってるとおり、俺はアメリカで重病を患った。原因不明の病気で、高熱がずっと続いて、美春が病院を訪ねてくれた時、本当に危なかったらしくて、俺は最初、入院していた病院から、かなり離れた病院に移された。まあ、ここまでは美春は知ってることだけど」
私は雪人さんの話をただ黙って聞いていた。
「そして、俺はその病院で何とか命を取りとめた。だけど、これも美春は知ってることだけど、俺は重病を患ったせいで、かなりの記憶を失っていた。自分の名前も解らなかった」
雪人さんは段々と少し苦しそうな表情になっていた。
「ただ、勿論、病院では実際の俺の名前を先生も看護師さんも呼んでた。だけど、俺は病みあがりで、そのうえ、記憶をほとんど失くしていたから、早苗が言ってきたことを鵜呑みにしてしまって、美春も知ってのとおり、橋野郁美になり代わってたんだ」
「早苗さんとは病院で知り合ったんですか」
私は少しは何か言った方がいいのかもしれないと思い、そう聞いた。
「ああ、病院の中庭にあった丁度、今、俺達が座っているようなベンチがあって、そこに座りながら、ぼんやりしてた時に早苗が俺に声をかけてきたんだ。でも、今、思うとその時、早苗は俺のことを不思議そうな顔で見ていた気がする」
「それは雪人さんが交通事故で亡くなったっていう、橋野さんにそっくりだったからですね」
私がそう言う雪人さんはコクンと頷いた。
「でも、勿論、その時の俺はそんなこと知るはずもなく、早苗が俺が記憶を失くしてることを知ってからは、俺に本当は橋野郁美で、手違いがあって、違う人の名前で入院してるんだって言ってきて。普段の俺なら、そんなことあるわけないって思ったんだろうけど、さっきも言ったように俺は重病から回復したばかりで記憶もなくしてたから、そうなんだって早苗の言ったことを鵜呑みにしてしまって」
「でも、雪人さんはアメリカの職場の人に病院の手続きをしてもらったんですよね。三山さんからそう聞いたんです。だけど、それなら、どうして、会社の方でも行方が解らなくなったんですか」
私がそう言うと雪人さんは今度は少し言いにくそうに、
「それは早苗から直接聞いたわけじゃないけど、多分、早苗が誰かに頼んで俺を退院させて、日本に連れ帰ったんだと思う」
そう言った。
雪人さんがそう言ったことで、雪人さんが以前、暮らしていたマンションは誰か代理人の人が来て、契約を解除したって言ってたことを思い出した。
「それからは早苗と2人でマンションで暮らしてた。早苗の両親って結構な資産家で、その両親に買ってもらったマンションだって言ってた」
私は雪人さんの話を聞いていて、段々と解らなくなってきた。
それは記憶を失くしていた時は早苗さんのことを信じて、早苗さんの婚約者として過ごしていたのかもしれないけど、今の雪人さんは記憶が戻っているわけで。
なのに本当なら、絶対してはいけないことをした早苗さんとどうしてまだ一緒にいて、挙句の果てに結婚式を挙げようとしているのか。
そして、雪人さんはそんな私の想いに気づいたのか、
「美春、俺に色々と言いたいことがあると思う。だけど、とりあえず、この先も聞いてほしい」
そう言った。
私はベンチに座って公園の中を見渡しながら、何か公園って私にとっては大事な話の時に来る場所になってる気がするなと思っていた。
そんなことを思っていると、
「美春」
と雪人さんは真剣な口調で私の名前を呼んだ。
だから、私は隣にいる雪人さんの顔を見た。
「さっき言ったように俺と早苗のことを話すから聞いてほしい」
雪人さんは真剣な表情と口調でそう言ったので、私はコクンと頷いた。
「美春も知ってるとおり、俺はアメリカで重病を患った。原因不明の病気で、高熱がずっと続いて、美春が病院を訪ねてくれた時、本当に危なかったらしくて、俺は最初、入院していた病院から、かなり離れた病院に移された。まあ、ここまでは美春は知ってることだけど」
私は雪人さんの話をただ黙って聞いていた。
「そして、俺はその病院で何とか命を取りとめた。だけど、これも美春は知ってることだけど、俺は重病を患ったせいで、かなりの記憶を失っていた。自分の名前も解らなかった」
雪人さんは段々と少し苦しそうな表情になっていた。
「ただ、勿論、病院では実際の俺の名前を先生も看護師さんも呼んでた。だけど、俺は病みあがりで、そのうえ、記憶をほとんど失くしていたから、早苗が言ってきたことを鵜呑みにしてしまって、美春も知ってのとおり、橋野郁美になり代わってたんだ」
「早苗さんとは病院で知り合ったんですか」
私は少しは何か言った方がいいのかもしれないと思い、そう聞いた。
「ああ、病院の中庭にあった丁度、今、俺達が座っているようなベンチがあって、そこに座りながら、ぼんやりしてた時に早苗が俺に声をかけてきたんだ。でも、今、思うとその時、早苗は俺のことを不思議そうな顔で見ていた気がする」
「それは雪人さんが交通事故で亡くなったっていう、橋野さんにそっくりだったからですね」
私がそう言う雪人さんはコクンと頷いた。
「でも、勿論、その時の俺はそんなこと知るはずもなく、早苗が俺が記憶を失くしてることを知ってからは、俺に本当は橋野郁美で、手違いがあって、違う人の名前で入院してるんだって言ってきて。普段の俺なら、そんなことあるわけないって思ったんだろうけど、さっきも言ったように俺は重病から回復したばかりで記憶もなくしてたから、そうなんだって早苗の言ったことを鵜呑みにしてしまって」
「でも、雪人さんはアメリカの職場の人に病院の手続きをしてもらったんですよね。三山さんからそう聞いたんです。だけど、それなら、どうして、会社の方でも行方が解らなくなったんですか」
私がそう言うと雪人さんは今度は少し言いにくそうに、
「それは早苗から直接聞いたわけじゃないけど、多分、早苗が誰かに頼んで俺を退院させて、日本に連れ帰ったんだと思う」
そう言った。
雪人さんがそう言ったことで、雪人さんが以前、暮らしていたマンションは誰か代理人の人が来て、契約を解除したって言ってたことを思い出した。
「それからは早苗と2人でマンションで暮らしてた。早苗の両親って結構な資産家で、その両親に買ってもらったマンションだって言ってた」
私は雪人さんの話を聞いていて、段々と解らなくなってきた。
それは記憶を失くしていた時は早苗さんのことを信じて、早苗さんの婚約者として過ごしていたのかもしれないけど、今の雪人さんは記憶が戻っているわけで。
なのに本当なら、絶対してはいけないことをした早苗さんとどうしてまだ一緒にいて、挙句の果てに結婚式を挙げようとしているのか。
そして、雪人さんはそんな私の想いに気づいたのか、
「美春、俺に色々と言いたいことがあると思う。だけど、とりあえず、この先も聞いてほしい」
そう言った。
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