「気になる人」

愛理

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第57話「雪人さんの後悔」

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 雪人さんがアメリカに行って、日本に帰って、そして、帰ってからも何があったのかを全部、話してくれるというので、私は緊張しながら雪人さんの話を聞いた。
「美春も知ってるとおり、俺は暫くはアメリカで順調に仕事をしていた。美春にもなるべく、できるだけ連絡しようと思って、LINEとか入れてた」
「はい、だいたい、毎日くれていました。でも、突然、その連絡もそっけないものになって、最後には別れてほしいってメッセージが来て」
 私がそう言うと雪人さんは驚いた顔をした。
「え? 待ってほしい。俺が美春に別れてほしいってメッセージ送ったって?」
「はい、君と一緒にいるのは疲れた。もう別れようって。でも、それはアメリカに行って、三山さんって人と知り合ったんですけど、以前、雪人さん達と同じ職場にいた山岸さんの仕業だったかもしれないって話になって」
「山岸? ああ、確かにそんな女性、職場にいたな。ちょっかいかけられて、だいぶ困った女性だったな。でも、美春、アメリカに来てくれたんだよな」
「はい、雪人さんが入院していた病院までは行ったんですけど、そこで山岸さんがいて、今、診察中だから、後で来てくださいって言われて、で、その後、行ったら、もう雪人さんは別の病院に移ってて。その病院は私が泊まっていたホテルからは相当、遠くて、次の日、日本にどうしても帰らなきゃいけなかったから、帰ってしまったんですけど、今、思うとあの時、無理してでも、雪人さんが移った病院を訪ねていけば良かったっのかもしれないって。そしたら、以前の私達の関係のままでいられたのかもしれないって」
「美春、美春は何も悪くないよ。むしろ、悪いのは俺だよ。美春がそこまでしてくれてたのも知らないで」
「雪人さん」
「俺、るりかのことで懲りてたはずなのに、また、同じこと繰り返してた」
「雪人さん?」
「山岸って女性も確かに悪いし、今、美春から話を聞いて、ふざけんなって思う。でも、それでも、俺、記憶が戻ったのなら、やっぱり、美春のことを一番に考えなきゃならなかったのに」
 雪人さんは苦しそうな表情でそう言った。
 だから、私は、
「雪人さん、とりあえず、ここを出ませんか? それから、ゆっくりとちゃんと雪人さんの話を聞かせてください」
 そう言った。
 すると雪人さんは私をまたじっと見た後、
「そうしようか。俺が最後まで話を聞いてほしいとか言ったのにこんな風になってごめん。でも、ここを出たら、山岸って女性のことは俺の方が意識が朦朧としてた時だから、全然、病院でのこととかは知らなかったけど、早苗とのことはどういう風に知り合ったのか、俺が早苗とどうして結婚式まで挙げようとしてるのかちゃんと話すから」
 そう言った。
 そして、私達はお会計を済ませて、カフェを出て、どちらが何処へと言ったわけじゃなかったけど、
カフェの近くにある少し大きな公園へと向かった。
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