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第35話「衝撃の真実」
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雪人さんを部屋に招き入いれて、私はすぐにコーヒーを淹れた。
雪人さんは何も入れないのが好みだから、ブラックコーヒーを。
「もうこんな風に雪人さんと一緒にクリスマスイヴを過ごすなんて思ってなかったから、ケーキも何もなくてごめんなさい」
私はテーブルにコーヒーを置きながらそう言った。
すると雪人さんはこの部屋に入るまで、右手でずっと持っていた白いビニール袋から、小さな箱を出した。
「美春、これ」
「え」
「どうなるか解らなかったけど、美春とクリスマスイヴ、どんな理由にしろ、一緒に過ごせることができたら、美春と食べたいなと思って買ってきたんだ。今日はクリスマスイヴで、やっぱり結構、ケーキがどれも売れていたから、まだ残っていた小さなショートケーキで申し訳ないけど」
私は雪人さんのその言葉に慌てて左右に首を振った。
「どんなケーキでも嬉しいです。私、東京駅でもその後も雪人さんに酷い対応したのに」
私がそう言うと雪人さんは今度は座っている私を自分も座ったまま抱きしめてくれた。
「いいんだ。さっきも言ったけど俺が黙ってたのが悪いんだから。やっぱり、最初から美春にちゃんと話しておくべきだったって、東京駅で美春と会ってから凄く後悔してたんだ」
「雪人さん」
「そりゃ、俺と色々関係のある、るりかと一緒にいたら不安になるし、誤解するよな。俺も誤解するような言い方したし。ただ、美春と連絡を頻繁に取り合っていたら、俺がるりかのこと探ってることがばれるような気がしたから、美春にあまり連絡しなかったんだ」
「でも、じゃあ、どうしてクリスマスはるりかさんと一緒に過ごすことになってたんですか。別にこっちで私と過ごすならばれなかったと思うんですけど」
私がそう言うと雪人さんは私を抱きしめるのをやめて、私を真剣な表情で見て、
「正確には晃とるりかと3人で、るりかの家で3人でクリスマスパーティをする予定だったんだ。それはさっきも言ったけど、美春のことをあんな風に文書をつくったのはるりかかもしれないと思ったから、家にいけば何か証拠を掴めるかもしれないと思って。さすがに1人では美春の家にはもう入れないし、クリスマスパーティーをしている最中なら、証拠を探しやすいかと思ったから。だから、美春にはクリスマスの約束は守れないってメッセージしたんだ。だけど、あんなメッセージじゃ、そりゃ誤解するよな。俺、美春のメールの件の真実を探ることに夢中で、美春の気持ち、全然、気遣わなくて本当にごめん」
そう言った。
「だけど、私はまだ、るりかさんがあんな文章を書いたなんて信じられないです。それに本当にるりかさんがあの文章を書いたのだとしたら、どうして晃さんがその文章であんな風にメールを送ったんですか」
「ああ、俺もるりかがあんなこと書くなんて信じられなかったよ。でも、俺、美春に東京駅で会った数日後、たまたま晃と仕事帰りに会って、夜ご飯一緒に食べようってことになって、居酒屋に2人で言って、色々話してたら、晃、酒を飲んだせいもあってか、いつもより饒舌になって、美春のメールのこと、言うつもりはなかったんだろうけど、ぽろりと俺にあんなメール書かせるほど、お前、るりかを追いつめたんだぞって言ったから、どういうことだって聞いたんだ。そしたら、晃、しまったって顔して、でも、俺が凄い問いつめたら、白状したんだ」
「…………」
「るりかが薬を大量に飲んだ日、晃がるりかの家に行って、大慌てで救急車を呼んだ後、偶然に部屋のテーブルにあった開いていたパソコンを見たら、あの会社に送られてきたメール文が書いてあって、会社の人のアドレスも何人か入っていたらしい。だから、晃がそのメールを自分のパソコンのアドレスに転送して、その後、晃が実際に会社の人達にメールを送ったそうだ」
「…………」
「勿論、晃はその転送した履歴を消したから、るりかはそのことは知らなかったし、実際に会社の人達にメールを送ったのは晃だったけど、美春のことをあんな風に書くのは許せなかったから、晃と話した後、るりかに会って、そのことを言ったよ。そしたら、るりか、泣いて、ごめんなさい。私、おかしかったの。ごめんなさいって何度も謝ってきた。だから、俺、そこまで、るりかを思いつめさせたのは悪いけど、るりかのことを本当に思ってくれてるのは、俺じゃなくて、晃だろって言ったんだ。そしたら、るりかは笑って、うん、そうだよね、いつも私が本当に辛い時に一緒にいてくれたのは晃くんだったって言って、俺とはもう会わないって言ったんだ」
るりかさんは本当に雪人さんが好きだったんだろう。
でも、雪人さんはその気持ちには答えられなかった。
多分、学生の頃から、守ってあげたいとは思ってはいたけど、その守ってあげたいは恋愛感情じゃなく、もしかして、兄弟に対するような守ってあげたいだったのかもしれない。
私は雪人さんの話を聞きながらそう思った。
「美春、本当にごめんな。それに元はといえば美春が京都に来なくちゃいけなくなったのも俺のせいだし」
私は雪人さんを見ながら左右に首を振った。
そして、
「ううん、いいんです。そりゃ、あんなメールを送られたことは頭にくるけど、雪人さんが全部、真相を突きとめてくれたから、もういいんです。それにまたこうして雪人さんと一緒にいれることができて嬉しいし、京都に来たことも、絶対に将来に役立つだろうって思えますし」
「美春、ありがとう。でも、前にもう東京の会社には戻らないって言ってたけど、俺は戻ってきてほしい」
雪人さんのその言葉に私はくすっと笑って、
「はい、雪人さんとまたこうして恋人同士に戻れたから、私もやっぱり1年以内には本社に戻りたいです」
そう言った。
すると雪人さんは笑って、その後、私を抱きしめてキスをした。
会社に送られたメールの真相は驚くものだったけど、もう解決したのなら、それでいい。
私は雪人さんに抱きしめられながらそう思っていた。
そして、私はこれでまた穏やかな気持ちで毎日を過ごすことができる。
そう思っていた。
雪人さんは何も入れないのが好みだから、ブラックコーヒーを。
「もうこんな風に雪人さんと一緒にクリスマスイヴを過ごすなんて思ってなかったから、ケーキも何もなくてごめんなさい」
私はテーブルにコーヒーを置きながらそう言った。
すると雪人さんはこの部屋に入るまで、右手でずっと持っていた白いビニール袋から、小さな箱を出した。
「美春、これ」
「え」
「どうなるか解らなかったけど、美春とクリスマスイヴ、どんな理由にしろ、一緒に過ごせることができたら、美春と食べたいなと思って買ってきたんだ。今日はクリスマスイヴで、やっぱり結構、ケーキがどれも売れていたから、まだ残っていた小さなショートケーキで申し訳ないけど」
私は雪人さんのその言葉に慌てて左右に首を振った。
「どんなケーキでも嬉しいです。私、東京駅でもその後も雪人さんに酷い対応したのに」
私がそう言うと雪人さんは今度は座っている私を自分も座ったまま抱きしめてくれた。
「いいんだ。さっきも言ったけど俺が黙ってたのが悪いんだから。やっぱり、最初から美春にちゃんと話しておくべきだったって、東京駅で美春と会ってから凄く後悔してたんだ」
「雪人さん」
「そりゃ、俺と色々関係のある、るりかと一緒にいたら不安になるし、誤解するよな。俺も誤解するような言い方したし。ただ、美春と連絡を頻繁に取り合っていたら、俺がるりかのこと探ってることがばれるような気がしたから、美春にあまり連絡しなかったんだ」
「でも、じゃあ、どうしてクリスマスはるりかさんと一緒に過ごすことになってたんですか。別にこっちで私と過ごすならばれなかったと思うんですけど」
私がそう言うと雪人さんは私を抱きしめるのをやめて、私を真剣な表情で見て、
「正確には晃とるりかと3人で、るりかの家で3人でクリスマスパーティをする予定だったんだ。それはさっきも言ったけど、美春のことをあんな風に文書をつくったのはるりかかもしれないと思ったから、家にいけば何か証拠を掴めるかもしれないと思って。さすがに1人では美春の家にはもう入れないし、クリスマスパーティーをしている最中なら、証拠を探しやすいかと思ったから。だから、美春にはクリスマスの約束は守れないってメッセージしたんだ。だけど、あんなメッセージじゃ、そりゃ誤解するよな。俺、美春のメールの件の真実を探ることに夢中で、美春の気持ち、全然、気遣わなくて本当にごめん」
そう言った。
「だけど、私はまだ、るりかさんがあんな文章を書いたなんて信じられないです。それに本当にるりかさんがあの文章を書いたのだとしたら、どうして晃さんがその文章であんな風にメールを送ったんですか」
「ああ、俺もるりかがあんなこと書くなんて信じられなかったよ。でも、俺、美春に東京駅で会った数日後、たまたま晃と仕事帰りに会って、夜ご飯一緒に食べようってことになって、居酒屋に2人で言って、色々話してたら、晃、酒を飲んだせいもあってか、いつもより饒舌になって、美春のメールのこと、言うつもりはなかったんだろうけど、ぽろりと俺にあんなメール書かせるほど、お前、るりかを追いつめたんだぞって言ったから、どういうことだって聞いたんだ。そしたら、晃、しまったって顔して、でも、俺が凄い問いつめたら、白状したんだ」
「…………」
「るりかが薬を大量に飲んだ日、晃がるりかの家に行って、大慌てで救急車を呼んだ後、偶然に部屋のテーブルにあった開いていたパソコンを見たら、あの会社に送られてきたメール文が書いてあって、会社の人のアドレスも何人か入っていたらしい。だから、晃がそのメールを自分のパソコンのアドレスに転送して、その後、晃が実際に会社の人達にメールを送ったそうだ」
「…………」
「勿論、晃はその転送した履歴を消したから、るりかはそのことは知らなかったし、実際に会社の人達にメールを送ったのは晃だったけど、美春のことをあんな風に書くのは許せなかったから、晃と話した後、るりかに会って、そのことを言ったよ。そしたら、るりか、泣いて、ごめんなさい。私、おかしかったの。ごめんなさいって何度も謝ってきた。だから、俺、そこまで、るりかを思いつめさせたのは悪いけど、るりかのことを本当に思ってくれてるのは、俺じゃなくて、晃だろって言ったんだ。そしたら、るりかは笑って、うん、そうだよね、いつも私が本当に辛い時に一緒にいてくれたのは晃くんだったって言って、俺とはもう会わないって言ったんだ」
るりかさんは本当に雪人さんが好きだったんだろう。
でも、雪人さんはその気持ちには答えられなかった。
多分、学生の頃から、守ってあげたいとは思ってはいたけど、その守ってあげたいは恋愛感情じゃなく、もしかして、兄弟に対するような守ってあげたいだったのかもしれない。
私は雪人さんの話を聞きながらそう思った。
「美春、本当にごめんな。それに元はといえば美春が京都に来なくちゃいけなくなったのも俺のせいだし」
私は雪人さんを見ながら左右に首を振った。
そして、
「ううん、いいんです。そりゃ、あんなメールを送られたことは頭にくるけど、雪人さんが全部、真相を突きとめてくれたから、もういいんです。それにまたこうして雪人さんと一緒にいれることができて嬉しいし、京都に来たことも、絶対に将来に役立つだろうって思えますし」
「美春、ありがとう。でも、前にもう東京の会社には戻らないって言ってたけど、俺は戻ってきてほしい」
雪人さんのその言葉に私はくすっと笑って、
「はい、雪人さんとまたこうして恋人同士に戻れたから、私もやっぱり1年以内には本社に戻りたいです」
そう言った。
すると雪人さんは笑って、その後、私を抱きしめてキスをした。
会社に送られたメールの真相は驚くものだったけど、もう解決したのなら、それでいい。
私は雪人さんに抱きしめられながらそう思っていた。
そして、私はこれでまた穏やかな気持ちで毎日を過ごすことができる。
そう思っていた。
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