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第26話「出向を告げられて」
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会社のメール騒動があった当日、雪人さんは仕事が終わるとすぐに晃さんに連絡を取り、真相を確かめたけど、晃さんは何のことだの一点張りだったらしい。
そして、私は普通を装ってはいたけれど、やはり、メールの内容が内容だっただけに私のことをあまり知らない会社の人達からは好奇の目や噂話をされてしまっていた。
「ほら、あの子よ。何か可哀想な家庭の子の彼氏とったんだとか。それでよく平然としてられるよね」
今まで全く関りのなかった部署の女性社員達が私が会社の構内の廊下を歩いているとそう話しているのが聞こえた。
メール騒動があってから、もう10日が経っているのに噂はやむどころか、むしろ、尾びれや背びれまでついて、噂されていることもあって、話がどんどん大きくなっていっていた。
雪人さんはそういった噂をしている社員を見つけると、あのメールは作り話だからと私のことを守ってくれていたけど。
そして、そんな状況が続いていたある日、私が会社に行き、仕事が始まると同時に上野課長に呼ばれ、小さなミーティングルームに呼ばれた。
「野中さん、あのメールに書いてあったこと、私は信じてないけど、私より上の判断で、野中さんには一定期間、京都にある、うちの会社のグループ会社に出向してもらうことになったの」
「え」
「このままじゃ、野中さんも今の職場に居づらいだろうしってことで」
「ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません。でも、私は大丈夫です」
「うん、でも、ごめんなさい。もう決定したことなのよ。だけど、一定期間だから、長くても1年くらいだと思うわ」
「1年」
「ええ。でも、そのグループ会社でも開発部署に配属になるから、勉強にもなると思うわ。こっちに戻ってきた時に役立つことも、たくさん学べるわ」
「…………」
京都。
今は東京から京都は色々な手段でそんなに時間はかからずに行けるけど。
だけど、雪人さんとは今までみたいに頻繁には会えなくなる。
私はそれが少し怖いし寂しい。
「野中さん、別にこれは左遷とかじゃないから、それだけは解ってね。私は野中さんのこと優秀な新人だと思ってるし、いつか野中さんが開発した商品を私達にプレゼンしてくれる日を楽しみにしてるんだから」
私は上野課長のその言葉に少し泣きそうになった。
だけど、私はどうしても雪人のことが頭から離れなかったので、
「上野課長、私のことそんな風に言ってくれてありがとうございます。ただ、少しだけ、考えるお時間をいただいてもいいでしょうか」
そう聞いた。
上野課長は私をじっと少し見た後、一息吐いて、
「解ったわ。だけど、私はさっき言ったように野中さんに期待してるからね」
そう言った。
そして、私は普通を装ってはいたけれど、やはり、メールの内容が内容だっただけに私のことをあまり知らない会社の人達からは好奇の目や噂話をされてしまっていた。
「ほら、あの子よ。何か可哀想な家庭の子の彼氏とったんだとか。それでよく平然としてられるよね」
今まで全く関りのなかった部署の女性社員達が私が会社の構内の廊下を歩いているとそう話しているのが聞こえた。
メール騒動があってから、もう10日が経っているのに噂はやむどころか、むしろ、尾びれや背びれまでついて、噂されていることもあって、話がどんどん大きくなっていっていた。
雪人さんはそういった噂をしている社員を見つけると、あのメールは作り話だからと私のことを守ってくれていたけど。
そして、そんな状況が続いていたある日、私が会社に行き、仕事が始まると同時に上野課長に呼ばれ、小さなミーティングルームに呼ばれた。
「野中さん、あのメールに書いてあったこと、私は信じてないけど、私より上の判断で、野中さんには一定期間、京都にある、うちの会社のグループ会社に出向してもらうことになったの」
「え」
「このままじゃ、野中さんも今の職場に居づらいだろうしってことで」
「ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません。でも、私は大丈夫です」
「うん、でも、ごめんなさい。もう決定したことなのよ。だけど、一定期間だから、長くても1年くらいだと思うわ」
「1年」
「ええ。でも、そのグループ会社でも開発部署に配属になるから、勉強にもなると思うわ。こっちに戻ってきた時に役立つことも、たくさん学べるわ」
「…………」
京都。
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だけど、雪人さんとは今までみたいに頻繁には会えなくなる。
私はそれが少し怖いし寂しい。
「野中さん、別にこれは左遷とかじゃないから、それだけは解ってね。私は野中さんのこと優秀な新人だと思ってるし、いつか野中さんが開発した商品を私達にプレゼンしてくれる日を楽しみにしてるんだから」
私は上野課長のその言葉に少し泣きそうになった。
だけど、私はどうしても雪人のことが頭から離れなかったので、
「上野課長、私のことそんな風に言ってくれてありがとうございます。ただ、少しだけ、考えるお時間をいただいてもいいでしょうか」
そう聞いた。
上野課長は私をじっと少し見た後、一息吐いて、
「解ったわ。だけど、私はさっき言ったように野中さんに期待してるからね」
そう言った。
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