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第23話「るりかさんの存在」
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倉崎さん、何処にもいない。
こんな朝早く―ううん、もしかすると夜中に出かけたのかもしれないけど、一体何処に行ったんだろう。
私はスマートフォンに連絡が来ているかもしれないと思い、また寝室に向かった。
ベッドのサイドボードに置いてあったスマートフォンを手に取って見ると倉崎さんからLIENが入っていた。
だから、私はタップして慌てて、倉崎さんからのLINEを見た。
倉崎さんからのLINEのメッセージは、
“夜中に晃から連絡があって、るりかが病院に運ばれて重体らしいから、病院に行ってくる。野中さんはぐっすり寝てたから、起こさなかったんだ。ごめん。昼までには戻ると思うから、ごめんだけど、俺の自宅で待っててくれるかな”
だった。
るりかさんが病院に運ばれた?
重体?
私は倉崎さんからのメッセージを読んだ後、何だかやけに胸騒ぎがした。
一体、何が起こったんだろう。
だけど、今の私にはそのことを自分で調べる手段はなかった。
今日は元々、倉崎さんと2人でここで、まったりとした時間を過ごそうと言っていたので、私は倉崎さんからのメッセージがあったとおり、ここで倉崎さんの帰りを待つことにした。
一応、合鍵がある場所も教えてはくれていたけど、私は少しでも早く倉崎さんに会いたかったから。
そして、倉崎さんはLINEのメッセージに入れてくれていたようにお昼過ぎに戻ってきた。
「突然、黙って出ていってごめん。お昼、まだだろ? とりあえず、サンドイッチとか買ってきたから、食べて」
「ありがとうございます。でも、るりかさん、もう大丈夫なんですか?」
「ああ、一時期は意識不明の重体に陥ってたんだけど、山を越えて、もう大丈夫ですって先生が言ったから帰ってきたんだ」
「そうですか、良かった。でも、一体どうして、るりかさん、そんな状態になったんですか」
私がそう聞くと倉崎さんは少し辛そうな表情をした後、
「俺、知らなかったんだけど、るりかはある時期から精神科に通ってたみたいで、そこで安定剤貰ってたらしく、それを一度に大量に飲んだらしいんだ」
そう言った。
「それって、もしかしたら、自殺未遂ってことですか?」
「多分」
倉崎さんがそう返事をした後、私は暫く何も言えなかった。
だって、さっきよりもっと倉崎さんは辛そうな表情をしていたから。
でも、その表情を見て、きっと倉崎さんは、るりかさんが自殺未遂をしたのは自分のせいだと責めているんだと思った。
「倉崎さん、るりかさんに何か言ったんですか?」
だから、私はそんなことを聞いてしまった。
すると倉崎さんは、
「ああ、少し前にるりかに色々と傷つけてごめん。でも、俺はやっぱり、るりかを1人の男としては幸せにしてやることはできない。だから、勿論、何かあれば助けるつもりだけど、その時以外はもうあまり会わないでおきたいんだって言ったんだ」
少し後悔しているような口調でそう言った。
「それってもしかして、私のためですか」
「野中さんのためっていうか、俺自身のためだよ。前に言ったろ。るりかとのことちゃんとするって。後、ごめん、不安にさせたよな。でも、俺、野中さんが俺と一緒にいたいって思ってくれる限り、絶対に野中さんのそばは離れないから」
倉崎さんはそう言った後、私を強く抱きしめてくれた。
私は倉崎さんに抱きしめられながら、ごめんなさい。こんな時なのにそう言ってもらえるのが凄く嬉しいです。
だけど、正直、本当は不安でたまらないんです。
だって、るりかさんの存在は本当は倉崎さんにとって、そんなに割りきれる存在の人じゃないはずだから。
そう思い、倉崎さんが言ってくれたことと反比例して、不安な想いを抱えていた。
こんな朝早く―ううん、もしかすると夜中に出かけたのかもしれないけど、一体何処に行ったんだろう。
私はスマートフォンに連絡が来ているかもしれないと思い、また寝室に向かった。
ベッドのサイドボードに置いてあったスマートフォンを手に取って見ると倉崎さんからLIENが入っていた。
だから、私はタップして慌てて、倉崎さんからのLINEを見た。
倉崎さんからのLINEのメッセージは、
“夜中に晃から連絡があって、るりかが病院に運ばれて重体らしいから、病院に行ってくる。野中さんはぐっすり寝てたから、起こさなかったんだ。ごめん。昼までには戻ると思うから、ごめんだけど、俺の自宅で待っててくれるかな”
だった。
るりかさんが病院に運ばれた?
重体?
私は倉崎さんからのメッセージを読んだ後、何だかやけに胸騒ぎがした。
一体、何が起こったんだろう。
だけど、今の私にはそのことを自分で調べる手段はなかった。
今日は元々、倉崎さんと2人でここで、まったりとした時間を過ごそうと言っていたので、私は倉崎さんからのメッセージがあったとおり、ここで倉崎さんの帰りを待つことにした。
一応、合鍵がある場所も教えてはくれていたけど、私は少しでも早く倉崎さんに会いたかったから。
そして、倉崎さんはLINEのメッセージに入れてくれていたようにお昼過ぎに戻ってきた。
「突然、黙って出ていってごめん。お昼、まだだろ? とりあえず、サンドイッチとか買ってきたから、食べて」
「ありがとうございます。でも、るりかさん、もう大丈夫なんですか?」
「ああ、一時期は意識不明の重体に陥ってたんだけど、山を越えて、もう大丈夫ですって先生が言ったから帰ってきたんだ」
「そうですか、良かった。でも、一体どうして、るりかさん、そんな状態になったんですか」
私がそう聞くと倉崎さんは少し辛そうな表情をした後、
「俺、知らなかったんだけど、るりかはある時期から精神科に通ってたみたいで、そこで安定剤貰ってたらしく、それを一度に大量に飲んだらしいんだ」
そう言った。
「それって、もしかしたら、自殺未遂ってことですか?」
「多分」
倉崎さんがそう返事をした後、私は暫く何も言えなかった。
だって、さっきよりもっと倉崎さんは辛そうな表情をしていたから。
でも、その表情を見て、きっと倉崎さんは、るりかさんが自殺未遂をしたのは自分のせいだと責めているんだと思った。
「倉崎さん、るりかさんに何か言ったんですか?」
だから、私はそんなことを聞いてしまった。
すると倉崎さんは、
「ああ、少し前にるりかに色々と傷つけてごめん。でも、俺はやっぱり、るりかを1人の男としては幸せにしてやることはできない。だから、勿論、何かあれば助けるつもりだけど、その時以外はもうあまり会わないでおきたいんだって言ったんだ」
少し後悔しているような口調でそう言った。
「それってもしかして、私のためですか」
「野中さんのためっていうか、俺自身のためだよ。前に言ったろ。るりかとのことちゃんとするって。後、ごめん、不安にさせたよな。でも、俺、野中さんが俺と一緒にいたいって思ってくれる限り、絶対に野中さんのそばは離れないから」
倉崎さんはそう言った後、私を強く抱きしめてくれた。
私は倉崎さんに抱きしめられながら、ごめんなさい。こんな時なのにそう言ってもらえるのが凄く嬉しいです。
だけど、正直、本当は不安でたまらないんです。
だって、るりかさんの存在は本当は倉崎さんにとって、そんなに割りきれる存在の人じゃないはずだから。
そう思い、倉崎さんが言ってくれたことと反比例して、不安な想いを抱えていた。
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