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番外編「俺の恋愛事情」ーsideー実
第4話「本当の恋」
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涼一から広瀬のことを指摘されてから1週間が経った。
この1週間の間、広瀬とは全然、会わなかったので、自分の中で思っていた広瀬への何だか解らない気持ちは薄れているような気がしたので、俺は何だ、やっぱり、恋なんかじゃないじゃん。
そう思った。
だって、恋だったら、例え1週間、会わなくてもきっとその人への気持ちは薄らぐことはないと思うから。
でも、そんなことを思っていた矢先に―。
俺が休み時間にトイレに行って教室に戻ろうとした時に偶然に広瀬に会った。
広瀬は次の授業は音楽らしく、音楽室に友達と行くところらしかった。
そして、俺は広瀬と思いっきり目が合ってしまった。
すると広瀬は俺に笑顔でペコっとお辞儀をした。
俺はその仕草にドキリとした。
え? 何。何で、俺、またドキリとしてんの。
っていうかさっきまで広瀬のことは恋じゃなかったとか思ってたくせに俺って何なの。
俺はそう思いながらも友達と音楽室へ行く広瀬の姿が見えなくなるまで見てしまっていた。
その日は珍しく相田は白野と学校帰りに一緒に行きたいお店があるからと涼一とは別に帰ると言い、俺は偶然にも涼一と同じタイミングでバトミントン部の部活動が終わったので、涼一と帰ることにした。
「なあ、涼一」
四季高校の門を出てすぐに俺はそう言った。
「ん? 何?」
「女子にさ笑顔でペコリとお辞儀されて、ドキリとする気持ちって何だと思う?」
俺は涼一から返ってくる答えは1つしかないだろうと思いながらも何故か涼一にそんなことを聞いた。
「え? そんなの決まってるじゃん。その女子のことが好きってことだろ」
涼一からはやっぱり俺が思っていたとおりの答えが返ってきた。
「まあ、お前ならそう言うと思ったけど」
「何だよそれ」
涼一は俺の言葉に笑いながらそう言った。
でも、その後、
「でもさ、実、俺はお前が綾香のことを好きだって言ったけど、その後さ、本当は俺が綾香に告白するように奮起させただけってあの時は言ってくれたじゃん。俺はそれは凄く嬉しかったけど、でもさ、俺なら本当に好きだったら、例え好きな相手に好きな奴がいても、諦められないと思うんだ。勿論、色んな考え方があるだろうし、俺はまだ子どもで、実は俺よりも中身が大人だから、そう思えるのかもしれないけど。まあ、相手が結婚するとかなれば別だけどさ」
涼一はそう言い、更に、
「だからさ、俺からしたら実は綾香のことを好きだったのかもしれないけど、それは何ていうか、守ってやりたいっていう、兄さん的な気持ちからの好きだったんじゃないかって俺は思うんだ。だから、今、実が気になってる女子が実の本当の恋じゃないかなって思うんだけど」
そう言った。
「涼一……」
確かに俺は相田のことは昔から守ってやりたいって思いが強かった。
そして、涼一と一緒に笑っている相田が好きだった。
だから、俺は相田が好きでも涼一と彼氏と彼女の関係に相田がなった時は嬉しかった。
でも……。
広瀬に対してはそうじゃない。
多分、俺はもし広瀬が涼一の相手だとしたら、きっと喜べない。
俺はそう思った後、今、涼一が言ったことが解った気がした。
だから、
「うん、涼一、俺、多分、広瀬に好きな人がいたら嫌な気持ちになるし、諦められないかもしれない」
涼一にそう言った。
この1週間の間、広瀬とは全然、会わなかったので、自分の中で思っていた広瀬への何だか解らない気持ちは薄れているような気がしたので、俺は何だ、やっぱり、恋なんかじゃないじゃん。
そう思った。
だって、恋だったら、例え1週間、会わなくてもきっとその人への気持ちは薄らぐことはないと思うから。
でも、そんなことを思っていた矢先に―。
俺が休み時間にトイレに行って教室に戻ろうとした時に偶然に広瀬に会った。
広瀬は次の授業は音楽らしく、音楽室に友達と行くところらしかった。
そして、俺は広瀬と思いっきり目が合ってしまった。
すると広瀬は俺に笑顔でペコっとお辞儀をした。
俺はその仕草にドキリとした。
え? 何。何で、俺、またドキリとしてんの。
っていうかさっきまで広瀬のことは恋じゃなかったとか思ってたくせに俺って何なの。
俺はそう思いながらも友達と音楽室へ行く広瀬の姿が見えなくなるまで見てしまっていた。
その日は珍しく相田は白野と学校帰りに一緒に行きたいお店があるからと涼一とは別に帰ると言い、俺は偶然にも涼一と同じタイミングでバトミントン部の部活動が終わったので、涼一と帰ることにした。
「なあ、涼一」
四季高校の門を出てすぐに俺はそう言った。
「ん? 何?」
「女子にさ笑顔でペコリとお辞儀されて、ドキリとする気持ちって何だと思う?」
俺は涼一から返ってくる答えは1つしかないだろうと思いながらも何故か涼一にそんなことを聞いた。
「え? そんなの決まってるじゃん。その女子のことが好きってことだろ」
涼一からはやっぱり俺が思っていたとおりの答えが返ってきた。
「まあ、お前ならそう言うと思ったけど」
「何だよそれ」
涼一は俺の言葉に笑いながらそう言った。
でも、その後、
「でもさ、実、俺はお前が綾香のことを好きだって言ったけど、その後さ、本当は俺が綾香に告白するように奮起させただけってあの時は言ってくれたじゃん。俺はそれは凄く嬉しかったけど、でもさ、俺なら本当に好きだったら、例え好きな相手に好きな奴がいても、諦められないと思うんだ。勿論、色んな考え方があるだろうし、俺はまだ子どもで、実は俺よりも中身が大人だから、そう思えるのかもしれないけど。まあ、相手が結婚するとかなれば別だけどさ」
涼一はそう言い、更に、
「だからさ、俺からしたら実は綾香のことを好きだったのかもしれないけど、それは何ていうか、守ってやりたいっていう、兄さん的な気持ちからの好きだったんじゃないかって俺は思うんだ。だから、今、実が気になってる女子が実の本当の恋じゃないかなって思うんだけど」
そう言った。
「涼一……」
確かに俺は相田のことは昔から守ってやりたいって思いが強かった。
そして、涼一と一緒に笑っている相田が好きだった。
だから、俺は相田が好きでも涼一と彼氏と彼女の関係に相田がなった時は嬉しかった。
でも……。
広瀬に対してはそうじゃない。
多分、俺はもし広瀬が涼一の相手だとしたら、きっと喜べない。
俺はそう思った後、今、涼一が言ったことが解った気がした。
だから、
「うん、涼一、俺、多分、広瀬に好きな人がいたら嫌な気持ちになるし、諦められないかもしれない」
涼一にそう言った。
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