「君としか恋はしたくない」

愛理

文字の大きさ
上 下
55 / 78
番外編「俺の恋愛事情」ーsideー実

第3話「まさかの恋?」

しおりを挟む
「なあ、実、何か悩みでもあんの?」
  次は体育だから着替えて、今は体育でバスケットボールをやっているから、体育館で授業をしているので、体育館に向かっている時に涼一が俺に言った。
   体育は男女別だから、さすがにこういった時間までは相田と白野とは一緒に移動はしないから、今は2人で歩いていた。
「え? 何で?」
「だって、何か最近、ぼーっとしてることも多いしさ」
「そうか?」
「ああ、俺の記憶じゃ休み時間に実に他のクラスの女子が会いに来た日辺りからそうなったんだけど」
  俺は涼一がそう言ったので、ドキッとした。
「え? そうかな?」
「そうだよ。もしかして、あの女子が関係あんの?」
「別にないけど」
「けど?」
「うん、でも、何だろう。何か少し気になるというか」
  俺がそう言うと涼一は目をまるくさせた後、ぷっと笑った。
「何だよ?」
「ごめん、でも、お前さ、俺に散々、綾香が俺のこと好きだのなんだの言ってたわりには自分のことになると凄く疎いんだな」
「え?」
「気になるってさ、それって好きってことだろ」
  今度は俺が涼一のその言葉に目をまるくした。
  そして、その後、
「はあっ?」
  と思いっきり叫んでしまった。
  だから、周りにいる男子が俺達を見た。
「実、声でかすぎ」
 涼一には怒られた。
「ごめん。でも、お前が変なこと言うから」
「え? でも、あの女子のことが気になって、ぼーっとしたりしてるなら、それは完全にもう恋だと俺は思うけどね」
「恋……」
「そっ。でも、それなら俺は嬉しいし、断然、応援するから」
  涼一はそう言って嬉しそうに俺の肩を叩いた後、
「ほら、急がなきゃもうチャイム鳴るぜ」
  そう言い、走り出したので、俺も涼一に釣られて走った。
  そして、その後、本当にチャイムが鳴って、体育の授業が始まった。
  いつもなら大好きな体育の授業で、しかも今日の授業はまあまあ得意なバスケットボールの授業だけど、今はさっき涼一が言ったことが頭から離れなくて、中々、ボールに触ることができなかった。
  恋……。
  俺が広瀬に? 
  でも、広瀬とはおんぶしてやった日に初めて出会って、それから、ハンカチを返しにきてくれた時に話しただけで、広瀬がどんな性格してるとか、全然、知らないんだけど。
  だけど、それでも気になるのはやっぱり涼一が言うように俺が広瀬のことを好き……つまり、広瀬に恋をしているからなんだろうか?
  俺は相田のこと以外を好きになったことがなく、また、相田に対する想いは多分、普通の好きとは多分、少し違っているところもあるので、いまいち、涼一が言う気持ちのことを理解できないでいた。
 そして、そんなことばかり考えているうちにいつの間にか体育の授業は終わってしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい

春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。 そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか? 婚約者が不貞をしたのは私のせいで、 婚約破棄を命じられたのも私のせいですって? うふふ。面白いことを仰いますわね。 ※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。 ※カクヨムにも投稿しています。

【完結】初夜寸前で「君を愛するつもりはない」と言われました。つもりってなんですか?

迦陵 れん
恋愛
侯爵家跡取りのクロディーヌと、公爵家三男のアストルは政略結婚といえども、幸せな結婚をした。 婚約者時代から日々お互いを想い合い、記念日にはプレゼントを交換し合って──。 なのに、記念すべき結婚初夜で、晴れて夫となったアストルが口にしたのは「君を愛するつもりはない」という言葉。 何故? どうして? クロディーヌは混乱に陥るも、アストルの真意は掴めない。 一方で、巷の恋愛小説ばりの言葉を放ったアストルも、悶々とした気持ちを抱えていて──。 政略で結ばれた婚約でありながら奇跡的に両想いとなった二人が、幸せの絶頂である筈の結婚を機に仲違い。 周囲に翻弄されつつ、徐々に信頼を取り戻していくお話です。 元鞘が嫌いな方はごめんなさい。いろんなパターンで思い付くままに書いてます。 楽しんでもらえたら嬉しいです。    

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。

藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。 何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。 同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。 もうやめる。 カイン様との婚約は解消する。 でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。 愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません! 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。

【完結】ひとりぼっちになった王女が辿り着いた先は、隣国の✕✕との溺愛婚でした

鬼ヶ咲あちたん
恋愛
側妃を母にもつ王女クラーラは、正妃に命を狙われていると分かり、父である国王陛下の手によって王城から逃がされる。隠れた先の修道院で迎えがくるのを待っていたが、数年後、もたらされたのは頼りの綱だった国王陛下の訃報だった。「これからどうしたらいいの?」ひとりぼっちになってしまったクラーラは、見習いシスターとして生きる覚悟をする。そんなある日、クラーラのつくるスープの香りにつられ、身なりの良い青年が修道院を訪ねて来た。

ホウセンカ

えむら若奈
恋愛
☆面倒な女×クセ強男の不器用で真っ直ぐな純愛ラブストーリー! 誰もが振り返る美しい容姿を持つ姫野 愛茉(ひめの えま)は、常に“本当の自分”を隠して生きていた。 そして“理想の自分”を“本当の自分”にするため地元を離れた大学に進学し、初めて参加した合コンで浅尾 桔平(あさお きっぺい)と出会う。 目つきが鋭くぶっきらぼうではあるものの、不思議な魅力を持つ桔平に惹かれていく愛茉。桔平も愛茉を気に入り2人は急接近するが、愛茉は常に「嫌われるのでは」と不安を抱えていた。 「明確な理由がないと、不安?」 桔平の言葉のひとつひとつに揺さぶられる愛茉が、不安を払拭するために取った行動とは―― ※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。 ※イラストは自作です。転載禁止。

処理中です...