27 / 78
第27話「1学期が終了した後に」
しおりを挟む
7月は期末テストがあり、それが終わればテスト休みに入るので、期末テストが終われば夏休みといってもいいくらいだった。
そして、今日は終業式だった。
俺は中間テストの時もそうだったけど、綾香に勉強を教えてもらったことで、何とか赤点は中間テストも期末テストも採らずに済んだ。
そして、俺は明日からは本格的にサッカー部での試合に向けての練習が始まることになっていた。
ただ、今日は珍しくサッカー部の練習がなく、俺は学校が終われば自由だった。
また、綾香は怪我が完治して、後、体育祭の実行委員は綾香が足を怪我して色々あったこともあり、同じクラスの田川という女子が代わりにやると申し出てくれたので、綾香も今日は自由だった(といっても、今日は多分、体育祭の実行委員のことはやらないと思うけど)
だから、俺は今日、帰りに綾香に一緒に何処か行かないかと誘ってみるつもりだった。
本当は実と白野も誘って4人で何処かへ行ってもいいんだけど、一応、夏休みに4人で遊びに行く予定は立てたから。
勿論、2人といるのも楽しいけど、やっぱり綾香と2人きりというのは俺には特別だから。
それにこの高校に入ってからも綾香には俺絡みのことで迷惑を沢山かけたから、綾香に何かしたくて。
そして、今、終業式の日のプログラムが全て終わったところだった。
だから、俺は綾香の席に行き、
「綾香、帰ろう。後、良かったら、家に帰って着替えてから、一緒に何処かに行かない? 昼ご飯も外で食べよう。俺が奢るからさ」
そう言った。
すると綾香は凄く嬉しそうに、
「うん! 行く! それにお昼も外で食べる。あ、奢ってはもらわなくてもいいからね?」
そう言った。
「遠慮しないの。俺は男なんだから、ここは華をもたせなさい」
俺はそう明るく言いながら、鞄を持って帰り仕度の準備が整った綾香に手を差しだした。
綾香は俺のその手を取ったから、俺達はいつものように手を繋いで教室を出て、靴箱まで行き、お互いに上履きから靴に履き替えて、また手を繋ぎ今日は無事に正門をくぐり抜けれた―と思っていたら、2人組の他校の制服を着た女子に声をかけられた。
「あの、里川くんですよね? すいません、少しだけお時間もらえませんか?」
2人組の1人が顔を真っ赤にして俺にそう言ってきた。
あー、またか。
俺は心の中で溜息を吐いた。
他校の女子に告白されるということは中学生の時からちょくちょくあった。
俺がサッカー部に入っていて、試合に出ていた時に俺の存在を知って、好きになったというパターンの告白が。
勿論、俺は全部、断ったけど。
でも、今はこうして綾香と手も繋いでるのによく声かけてこれるな。
俺はそう思ったけど、早く綾香と帰りたかったから、早く断ることを済ませてしまいたいと思い、
「本当に少しだけなら」
そう言い綾香と手を離して、ちょっとここで待っててくれる? そう言って、俺に恐らく告白しようとしている女子とは違う女子と綾香から少し離れた場所に行き、俺に告白しようとしている女子の話を聞いた。
すると、
「あの……噂でも聞いていました。里川くんには大切な人がいるって。その人がいるから、里川くんのこと好きになっても無駄だよとも何人の子からは言われました。でも、やっぱり、好きという想いは伝えたくて……多分、今、一緒にいる人が里川くんの大切な人だとは思うんで、邪魔してしまってごめんなさい。だけど、言わせてください。好きです。実は中学生の時からずっと好きだったんです。サッカーの試合で里川くんのことを見て、一目惚れぼれしたんです。里川くんがこの高校に入ったのを最近、知って、それで終業式の今日なら会えるかなと思って、学校から早く帰って、友達にもつきあってもらって、待っていたんです」
その女子は顔を真っ赤にしながらそう言った。
うん、多分、本当にずっと俺のこと好きでいてくれたんだろうなとは思う。
それに顔を真っ赤にしてくれているところも可愛いとは思うんだけど……ごめんね。君の言うとおり、俺にはもうずっと大切な人がいて、俺のことを好きになってくれたとしても絶対にその想いには答えられないんだ。君のお友達が言うとおりに。
「ごめん、俺、君が今、言ったとおり、今、一緒にいる子が凄く大切だから」
だから、俺はそう言った。
そして、そうですよね。すいませんでした。とかって言って、この告白の件は終わると思っていた。
だけど―。
「そうですよね。でも、ごめんなさい」
そう言いこの女子は俺にいきなり抱きついて、俺の左の頬にキスをしてきた。
俺は驚いてその女子を慌てて引き離した。
すると女子は、
「本当にごめんなさい。これで忘れられます」
と自分勝手なことを言い、走って自分と一緒に来た女子と綾香がいる方に走って、綾香に一礼してから、一緒に来た女子の手を引いて、走って帰っていった。
俺はその一連の流れを暫く呆然と眺めていたけど、はっと我に返った。
そうだ。綾香!
今の綾香に見られてないよな?
俺はそう思いながら、綾香がいるところまで行くと、
「もういいの? じゃあ、帰ろう」
そう綾香が言ったので、あ、やっぱり見られてなかったんだとほっとした。
別に綾香が彼女じゃないとしても、綾香は俺がああいうことされるのとか嫌がるだろうし(実際に誤解とか色々させてるし)そう思いながら俺は綾香の手をまた取って、
「うん、帰ろう。帰って早く遊びにいこうな」
そう笑顔で言った。
俺のこの言葉に綾香も笑顔で頷いたから、俺はこの時は本当に綾香にはさっきの女子に抱きつかれたところや頬にキスされたところは見られていないと思っていたんだ―。
でも、それが間違いだったと気づくのはもう少し後のことだった。
そして、今日は終業式だった。
俺は中間テストの時もそうだったけど、綾香に勉強を教えてもらったことで、何とか赤点は中間テストも期末テストも採らずに済んだ。
そして、俺は明日からは本格的にサッカー部での試合に向けての練習が始まることになっていた。
ただ、今日は珍しくサッカー部の練習がなく、俺は学校が終われば自由だった。
また、綾香は怪我が完治して、後、体育祭の実行委員は綾香が足を怪我して色々あったこともあり、同じクラスの田川という女子が代わりにやると申し出てくれたので、綾香も今日は自由だった(といっても、今日は多分、体育祭の実行委員のことはやらないと思うけど)
だから、俺は今日、帰りに綾香に一緒に何処か行かないかと誘ってみるつもりだった。
本当は実と白野も誘って4人で何処かへ行ってもいいんだけど、一応、夏休みに4人で遊びに行く予定は立てたから。
勿論、2人といるのも楽しいけど、やっぱり綾香と2人きりというのは俺には特別だから。
それにこの高校に入ってからも綾香には俺絡みのことで迷惑を沢山かけたから、綾香に何かしたくて。
そして、今、終業式の日のプログラムが全て終わったところだった。
だから、俺は綾香の席に行き、
「綾香、帰ろう。後、良かったら、家に帰って着替えてから、一緒に何処かに行かない? 昼ご飯も外で食べよう。俺が奢るからさ」
そう言った。
すると綾香は凄く嬉しそうに、
「うん! 行く! それにお昼も外で食べる。あ、奢ってはもらわなくてもいいからね?」
そう言った。
「遠慮しないの。俺は男なんだから、ここは華をもたせなさい」
俺はそう明るく言いながら、鞄を持って帰り仕度の準備が整った綾香に手を差しだした。
綾香は俺のその手を取ったから、俺達はいつものように手を繋いで教室を出て、靴箱まで行き、お互いに上履きから靴に履き替えて、また手を繋ぎ今日は無事に正門をくぐり抜けれた―と思っていたら、2人組の他校の制服を着た女子に声をかけられた。
「あの、里川くんですよね? すいません、少しだけお時間もらえませんか?」
2人組の1人が顔を真っ赤にして俺にそう言ってきた。
あー、またか。
俺は心の中で溜息を吐いた。
他校の女子に告白されるということは中学生の時からちょくちょくあった。
俺がサッカー部に入っていて、試合に出ていた時に俺の存在を知って、好きになったというパターンの告白が。
勿論、俺は全部、断ったけど。
でも、今はこうして綾香と手も繋いでるのによく声かけてこれるな。
俺はそう思ったけど、早く綾香と帰りたかったから、早く断ることを済ませてしまいたいと思い、
「本当に少しだけなら」
そう言い綾香と手を離して、ちょっとここで待っててくれる? そう言って、俺に恐らく告白しようとしている女子とは違う女子と綾香から少し離れた場所に行き、俺に告白しようとしている女子の話を聞いた。
すると、
「あの……噂でも聞いていました。里川くんには大切な人がいるって。その人がいるから、里川くんのこと好きになっても無駄だよとも何人の子からは言われました。でも、やっぱり、好きという想いは伝えたくて……多分、今、一緒にいる人が里川くんの大切な人だとは思うんで、邪魔してしまってごめんなさい。だけど、言わせてください。好きです。実は中学生の時からずっと好きだったんです。サッカーの試合で里川くんのことを見て、一目惚れぼれしたんです。里川くんがこの高校に入ったのを最近、知って、それで終業式の今日なら会えるかなと思って、学校から早く帰って、友達にもつきあってもらって、待っていたんです」
その女子は顔を真っ赤にしながらそう言った。
うん、多分、本当にずっと俺のこと好きでいてくれたんだろうなとは思う。
それに顔を真っ赤にしてくれているところも可愛いとは思うんだけど……ごめんね。君の言うとおり、俺にはもうずっと大切な人がいて、俺のことを好きになってくれたとしても絶対にその想いには答えられないんだ。君のお友達が言うとおりに。
「ごめん、俺、君が今、言ったとおり、今、一緒にいる子が凄く大切だから」
だから、俺はそう言った。
そして、そうですよね。すいませんでした。とかって言って、この告白の件は終わると思っていた。
だけど―。
「そうですよね。でも、ごめんなさい」
そう言いこの女子は俺にいきなり抱きついて、俺の左の頬にキスをしてきた。
俺は驚いてその女子を慌てて引き離した。
すると女子は、
「本当にごめんなさい。これで忘れられます」
と自分勝手なことを言い、走って自分と一緒に来た女子と綾香がいる方に走って、綾香に一礼してから、一緒に来た女子の手を引いて、走って帰っていった。
俺はその一連の流れを暫く呆然と眺めていたけど、はっと我に返った。
そうだ。綾香!
今の綾香に見られてないよな?
俺はそう思いながら、綾香がいるところまで行くと、
「もういいの? じゃあ、帰ろう」
そう綾香が言ったので、あ、やっぱり見られてなかったんだとほっとした。
別に綾香が彼女じゃないとしても、綾香は俺がああいうことされるのとか嫌がるだろうし(実際に誤解とか色々させてるし)そう思いながら俺は綾香の手をまた取って、
「うん、帰ろう。帰って早く遊びにいこうな」
そう笑顔で言った。
俺のこの言葉に綾香も笑顔で頷いたから、俺はこの時は本当に綾香にはさっきの女子に抱きつかれたところや頬にキスされたところは見られていないと思っていたんだ―。
でも、それが間違いだったと気づくのはもう少し後のことだった。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
ブラコン姉妹は、天使だろうか?【ブラてん】
三城 谷
恋愛
本作の主人公『椎名崎幸一』は、青陽学園に通う高校二年生。この青陽学園は初等部から高等部まで存在するマンモス校であり、数多くの生徒がここを卒業し、世の中に名を残してきている超エリート校である。そんな高校に通う幸一は学園の中ではこう呼ばれている。――『卑怯者』と。
そんな卑怯者と呼ばれている幸一の元へやってきた天才姉妹……『神楽坂美咲』と『神楽坂美羽』が突然一人暮らしをしている幸一の家へと訪ねてやって来た。とある事情で義妹となった神楽坂姉妹は、幸一以外の男子に興味が無いという状況。
これは天才姉妹とその兄が描く物語である。果たして……幸一の学園生活はどうなる?
※表紙も僭越ながら、描かせていただきました。仮の物で恐縮ですが、宜しくお願いします。
【完結】美しい人。
❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
「ねえ、返事は。」
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。
自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました
白石マサル
恋愛
人は誰でも自己顕示欲を持っている。それが大きいか小さいかの違いはあるが。
中学時代からヲタクでぼっちだった主人公は高校一年の終業式の後、自分の所為で虐められている妹を見てしまう。
妹は気丈に振る舞っていたが、自分の所為で妹が虐められるのは嫌だと奮起する。
「どうすればリア充になれる?」
この言葉を切っ掛けに妹プロデュースの元、リア充になるべく特訓を開始する。
そんな中、妹の思惑を知った主人公だが、妹の為に学校一のリア充を目指すのだった。
隠れ御曹司の愛に絡めとられて
海棠桔梗
恋愛
目が覚めたら、名前が何だったかさっぱり覚えていない男とベッドを共にしていた――
彼氏に浮気されて更になぜか自分の方が振られて「もう男なんていらない!」って思ってた矢先、強引に参加させられた合コンで出会った、やたら綺麗な顔の男。
古い雑居ビルの一室に住んでるくせに、持ってる腕時計は超高級品。
仕事は飲食店勤務――って、もしかしてホスト!?
チャラい男はお断り!
けれども彼の作る料理はどれも絶品で……
超大手商社 秘書課勤務
野村 亜矢(のむら あや)
29歳
特技:迷子
×
飲食店勤務(ホスト?)
名も知らぬ男
24歳
特技:家事?
「方向音痴・家事音痴の女」は「チャラいけれど家事は完璧な男」の愛に絡め取られて
もう逃げられない――
好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。
【完結】転生した元社畜男子は聖女になって人生逃げ切る事を諦めません!
hazuki.mikado
恋愛
★本編/オマケ共に2023.5.25完結です(_ _)
2022.4/30タイトル変更になりました。
旧)転生聖女は諦めない
↓
新)転生した元社畜男子は聖女になって人生逃げ切る事を諦めません!
★この作品は小説家になろう様、エブリスタ様でも公開しております。
ーーーーーーーーーーー
転生聖女の頑張ったり頑張らなかったり流されちゃったりするお話。
ミリアンヌは侯爵令嬢である。
でも中身はゲーム会社に勤めていた元社畜のれっきとした成人男子。しかもプログラマーでストーリー知識はほぼほぼ0だ。知っているのはキーポイントになるスチルのみ。
かと言ってこのまま呑気に生きていけば、王太子の嫁になってしまう。
中身がオトコなままだと見た目はどうあれBとLの世界。其れだけは回避とばかりに自分を鍛えてフラグ回避に注力してみたものの・・・
ハッピーエンド回避のために人生設計を頑張ってみたけれど、根が単純でお人好し。その上、詰めが甘くて人タラシ。
どんどん思いもよらない方向へとなって行く・・・
××××××××××
※執筆者が偶にちゃちゃを入れてしまいますが、気になる方は貴方の秘めたるパワー、スルースキルを発揮してくださると嬉しいです♡
※設定は『ゆるゆる』というより『ガバガバ』の緩さでございますf(^_^;
※ギャグ・コメディたまにシリアスでざまあは基本的にはナシw
※ほぼ健全で御座います。R指定ありません。
安心してお読み下さい(*´ω`*)
本編は縦読みを意識して書いていますが、横読みでも大丈夫!
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる