「君としか恋はしたくない」

第１５話「倒れた綾香」

　実に促されて、俺は綾香に今週中に告白することになった。
　綾香は俺の家の隣に住んでいるから何も学校で告白はしなくてもいい。
　だから、俺は学校が休みの日曜日に綾香に告白することにした。
　そして、俺は木曜日の朝、一緒に登校する時に綾香に日曜日、俺の家か綾香の家で話したいと言い、綾香はそれなら俺の家に来たいと言ったので、日曜日に俺の家で綾香が来ることになり、俺は自分の部屋で綾香に告白することになった。
　だから、俺はそう決まったすぐ後からそわそわし始めた。
　だけど、俺が綾香に告白するよりも先に俺にとっては事件が起きた。
 それは金曜日のことだった。
金曜日の朝、俺がいつものように綾香を家に迎えに行き、綾香に会うと何だか綾香の体調が悪いように見えて、
「なあ、綾香、もしかして、体調悪い？」
　綾香の家の前でそう聞いた。
　でも、綾香は、
「ううん、大丈夫だよ。早く学校に行こう」
　そう言ったので、俺から見たら体調が悪いように見える綾香を心配しつつ綾香と一緒に四季高校へと向かった。
「綾香、辛かったら俺にすぐ言えよ？」
　俺は四季高校に着いて教室に入る前に綾香にそう言った。
「やだなあ。私は元気なのに」
　綾香は俺が言ったことにそう言い、先に教室に入っていった。
　俺は小さな溜息を吐いた。
　ばか。俺はお前の変化にはすぐ気づくんだからな。
　そう思った後、俺も教室に入った。

　そして、３時間目の授業が終わって休み時間になったばかりの時だった。
　綾香が自分の席から立ち上がって、俺の席の方へ歩いてこようとした時、綾香の身体がぐらっと揺れた。
　俺と綾香の席はわりと近いから、俺は慌てて綾香の所へ行き、床に倒れそうになった綾香を受けとめた。
　俺達の方を見ていたクラスの女子の何人かは、
「きゃー。里川くん格好いい」
　だの、
「私も里川くんにそんな風に受けとめられたい」
　とか言ってる奴がいたけど、俺は、お前ら綾香の心配しろよと心の中で怒った。
　そして、俺は綾香をお姫様抱っこして、
「実、俺、綾香を連れて保健室に行くから次の授業の先生にそう言っておいて」
　そう言い教室から出ていった。
　俺は保健室に向かいながら、今、俺の腕の中で気を失っている綾香を見て、もう凄く心配で心配で仕方がなかった。
　そして、俺はこの綾香が倒れたことがきっかけで、あることを知り、綾香に告白できなくなってしまった。