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最終決戦 ③
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俺は政宗守を鞘から抜く。
心音が早くなる。臨戦態勢に入った合図だ。
「おやおや。それがあなたの真の姿ということですね。」
そう言いながら、白神も日本刀を抜いた。
「これは、貴方の持つ政宗守ほどの名刀ではありませんがね。中途半端なヴァンパイアならこれでも十分倒せると思いますよ。」
白神がニヤつきながらそう言った。
俺たちは間合いを取りながらにらみ合う。
「あなたとお見合いしてても埒があきませんから、行きますよ。」
そう言って白神が切り込んで来た。白神の刀の刃先が俺の目の前をかすめ、白神の日本刀がかすめた俺の髪の毛がはらはらと落ちる。
大丈夫だ、奴の太刀筋が見える。
だが俺の太刀筋も奴には見えているらしい。俺の刀を白神も軽くかわしている。
剣の腕は、まだまだ白神には及ばないらしい。でも、スピードは俺の方が上の様だった、ぶつかり合う刃先から火花が上がる。
「あなたに死なれたら困るんですよ。適度に手加減をするのは意外に骨が折れるものですね。」
白神がそんなことを言った。
「うるせぇよ。まじめにやれ、白神!」
俺は必死に白神の剣を避けながら自分の刀を振るう。
頭の片隅に、白神と戦う祖母の姿が映像で浮かぶ。安芸は変わったスタイルで戦っていた。片手に剣を持ちバランスを取りながら踊るように戦っていた、、、。」
俺は両手で剣道の竹刀のように握っていた政宗守を右手に持つ。
「おや、その持ち方は誰から習ったんですですかね?バランスが悪くって猿真似にもなっていませんがね。」
白神の顔にほんのわずかだが、不安の色が見える。
「誰にも習ってねぇよ。この政宗守で戦うのも、今回で2度目だからな。」
でも、安芸の猿真似なのはあたっている。
安芸の動き一つ一つを思い出してみる。安芸はまるで神楽でも踊るように刀を振って戦っていた。
「そうじゃ。一宇。身体の力を抜き、わらわのアシストを受け入れるのじゃ。」
安芸の声が聞こえる。刀を握る手にも安芸の掌の柔らかさを感じていた。
今度は明らかに動揺した白神が刀を構えて俺の方へ飛び込んで来た。
「久しいの、剣護。お前、太刀筋が滅茶苦茶ではないか。情けないぞ。」
「安芸様、、。どうして、、。」
白神の動きが止まる。
「どうして?本当に分からぬのか、剣護よ。なら教えてやろう。わらわはお前の木偶人形になりたくないのじゃ。それに、始まったばかりの人間との共存社会を守りたい。それが理由よ。」
「あなたは、いつもそれだ。人間人間と。いつもあのようなひ弱く寿命も短い劣等種族に味方して、、、。安芸様にはヴァンパイアの、、守人の誇りがないのですか!」
「考え違いをしているのは、お前の方よ剣護。わらわは誰よりも守人の仕事に誇りを持っておるわ、昔も今もな。生きとし生けるものすべてを守る、それが守人の役目。さぁ、お前のようなうつけ者と話をするのにも飽いたわ。来い、剣護!」
「まぁ、良いでしょう。最初から私は、安芸様と劣等種族との間に生まれた孫を使って。貴方を誕生させ一から教育しなおそうと考えていたのですから。」
「はははは。何度生まれ変わろうと、誰がどのように教育しようともわらわはわらわのままじゃ。お前の思うようには育たぬよ。ただし、わらわがお前の木偶人形に生まれ変わることはないぞ、剣護。お前はここで、わらわに討たれるのだからな。」
言うが早いか、俺の身体が白神に向かってすごいスピードで飛び込んでいく。
今度は、空中戦だ。俺の身体が宙に浮き、白神の身体すれすれに何度も切り込んでいった。
白神が防戦一方にまわった。
やはり祖母は、白神以上の手練れだ。勝てるかもしれない。
「はははは。安芸様。さすがです、貴方の戦い方は昔と全く変わってない。美しいですよ。」
白神が笑っている。この期に及んでまだ奴に余裕が?それとも安芸には勝てないとヤケになったのか?
安芸の一太刀が白神の腕を捕らえた。
浅いっ。
安芸の放った一太刀は白神の腕をすんでのところでかわし白神の洋服を切り裂き皮一枚を切るにとどまった。
「安芸様、やはりご自身の身体じゃないと思うようには戦えぬようですね。以前の安芸様なら私の腕は胴体から離れてしまっていたでしょう、」
「余裕よの。剣護。いつまでそのにやけ顔が続くか見ものじゃの、、、。」
また、激しい切り合いが始まった。
相変わらず白神が防戦一方なのに変わりはなかった。
安芸(俺)が、白神を東門の洞窟前まで追い詰める。俺と白神の身体が密着する。
勝負あったか。
「安芸様。私があなたの一番の側近で会ったことをお忘れですか?あなたがこの出来損ないの孫に手を貸すことなど最初から分かってましたよ。」
「なにを、剣護。お前、、、。」
「さよなら、安芸様。次にあなたに会う時は貴方は私の事を好きになるはずです。またお会いしいましょう。」
そう言って白神が俺の首から守人石のペンダントを外し、地面に投げ捨てた。
「しまった。一宇、後は頼んだぞ、、、。」
安芸の気配が感じられなくなった、、、。
「さて、また振り出しに戻りましたよ。駄目な孫のあなたが私と互角に戦えるんですかね。」
そう言って、白神が俺の身体を思い切り突き飛ばした。
俺は、まるで軽いゴムボールのように簡単に飛ばされ地面に落下し、ゴロゴロと転がった。
心音が早くなる。臨戦態勢に入った合図だ。
「おやおや。それがあなたの真の姿ということですね。」
そう言いながら、白神も日本刀を抜いた。
「これは、貴方の持つ政宗守ほどの名刀ではありませんがね。中途半端なヴァンパイアならこれでも十分倒せると思いますよ。」
白神がニヤつきながらそう言った。
俺たちは間合いを取りながらにらみ合う。
「あなたとお見合いしてても埒があきませんから、行きますよ。」
そう言って白神が切り込んで来た。白神の刀の刃先が俺の目の前をかすめ、白神の日本刀がかすめた俺の髪の毛がはらはらと落ちる。
大丈夫だ、奴の太刀筋が見える。
だが俺の太刀筋も奴には見えているらしい。俺の刀を白神も軽くかわしている。
剣の腕は、まだまだ白神には及ばないらしい。でも、スピードは俺の方が上の様だった、ぶつかり合う刃先から火花が上がる。
「あなたに死なれたら困るんですよ。適度に手加減をするのは意外に骨が折れるものですね。」
白神がそんなことを言った。
「うるせぇよ。まじめにやれ、白神!」
俺は必死に白神の剣を避けながら自分の刀を振るう。
頭の片隅に、白神と戦う祖母の姿が映像で浮かぶ。安芸は変わったスタイルで戦っていた。片手に剣を持ちバランスを取りながら踊るように戦っていた、、、。」
俺は両手で剣道の竹刀のように握っていた政宗守を右手に持つ。
「おや、その持ち方は誰から習ったんですですかね?バランスが悪くって猿真似にもなっていませんがね。」
白神の顔にほんのわずかだが、不安の色が見える。
「誰にも習ってねぇよ。この政宗守で戦うのも、今回で2度目だからな。」
でも、安芸の猿真似なのはあたっている。
安芸の動き一つ一つを思い出してみる。安芸はまるで神楽でも踊るように刀を振って戦っていた。
「そうじゃ。一宇。身体の力を抜き、わらわのアシストを受け入れるのじゃ。」
安芸の声が聞こえる。刀を握る手にも安芸の掌の柔らかさを感じていた。
今度は明らかに動揺した白神が刀を構えて俺の方へ飛び込んで来た。
「久しいの、剣護。お前、太刀筋が滅茶苦茶ではないか。情けないぞ。」
「安芸様、、。どうして、、。」
白神の動きが止まる。
「どうして?本当に分からぬのか、剣護よ。なら教えてやろう。わらわはお前の木偶人形になりたくないのじゃ。それに、始まったばかりの人間との共存社会を守りたい。それが理由よ。」
「あなたは、いつもそれだ。人間人間と。いつもあのようなひ弱く寿命も短い劣等種族に味方して、、、。安芸様にはヴァンパイアの、、守人の誇りがないのですか!」
「考え違いをしているのは、お前の方よ剣護。わらわは誰よりも守人の仕事に誇りを持っておるわ、昔も今もな。生きとし生けるものすべてを守る、それが守人の役目。さぁ、お前のようなうつけ者と話をするのにも飽いたわ。来い、剣護!」
「まぁ、良いでしょう。最初から私は、安芸様と劣等種族との間に生まれた孫を使って。貴方を誕生させ一から教育しなおそうと考えていたのですから。」
「はははは。何度生まれ変わろうと、誰がどのように教育しようともわらわはわらわのままじゃ。お前の思うようには育たぬよ。ただし、わらわがお前の木偶人形に生まれ変わることはないぞ、剣護。お前はここで、わらわに討たれるのだからな。」
言うが早いか、俺の身体が白神に向かってすごいスピードで飛び込んでいく。
今度は、空中戦だ。俺の身体が宙に浮き、白神の身体すれすれに何度も切り込んでいった。
白神が防戦一方にまわった。
やはり祖母は、白神以上の手練れだ。勝てるかもしれない。
「はははは。安芸様。さすがです、貴方の戦い方は昔と全く変わってない。美しいですよ。」
白神が笑っている。この期に及んでまだ奴に余裕が?それとも安芸には勝てないとヤケになったのか?
安芸の一太刀が白神の腕を捕らえた。
浅いっ。
安芸の放った一太刀は白神の腕をすんでのところでかわし白神の洋服を切り裂き皮一枚を切るにとどまった。
「安芸様、やはりご自身の身体じゃないと思うようには戦えぬようですね。以前の安芸様なら私の腕は胴体から離れてしまっていたでしょう、」
「余裕よの。剣護。いつまでそのにやけ顔が続くか見ものじゃの、、、。」
また、激しい切り合いが始まった。
相変わらず白神が防戦一方なのに変わりはなかった。
安芸(俺)が、白神を東門の洞窟前まで追い詰める。俺と白神の身体が密着する。
勝負あったか。
「安芸様。私があなたの一番の側近で会ったことをお忘れですか?あなたがこの出来損ないの孫に手を貸すことなど最初から分かってましたよ。」
「なにを、剣護。お前、、、。」
「さよなら、安芸様。次にあなたに会う時は貴方は私の事を好きになるはずです。またお会いしいましょう。」
そう言って白神が俺の首から守人石のペンダントを外し、地面に投げ捨てた。
「しまった。一宇、後は頼んだぞ、、、。」
安芸の気配が感じられなくなった、、、。
「さて、また振り出しに戻りましたよ。駄目な孫のあなたが私と互角に戦えるんですかね。」
そう言って、白神が俺の身体を思い切り突き飛ばした。
俺は、まるで軽いゴムボールのように簡単に飛ばされ地面に落下し、ゴロゴロと転がった。
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