153 / 166
ぼっちの修行 ①
しおりを挟む
平助さんが帰った後、「瞑想」を調べてみる。
なになに、瞑想とは、心を静めて神に祈る、何かに心を集中させる、心を静めて無心になる。なるほど、理屈はわかるんだよなぁ。出来ないだけで、、、。
だいたい。心を無にするって、なんなんだよ。わけがわからん。
そこへ、タイミング良く平助さんから瞑想の曲が入ったオーディオプレイヤーが届いた。
早速、イヤホンを耳に差し込んで再生ボタンンを押す。
座禅を組み、心を静かに、、、、、、。
、、、、。
、、、、。
「お館様!おーやーかーたーさまっ!」
「なんだよ。ゆず。」
「お館様。座禅を組みながら居眠りですか?器用ですねぇ。」
「居眠りなんかしてないよ。ははは、瞑想してたんだよ。瞑想。」
「ヨダレが垂れております。」
そう言われて俺は慌てて口を拭う。
起きてるときは、雑念だらけで、雑念がないときは寝てる、、、。我ながら呆れてしまった。
「ゆず、俺ちょっと走って来るわ。」
俺は本堂の周囲を走りはじめる。1周、2周、、9、、12、19。20周。
俺は本堂に戻って、今度は、腕立て、スクワットと立て続けに身体を酷使する。息が上がり、心音が聞こえる。平助さんの瞑想音楽のイヤホンを耳に入れる。
、、、、、、、。
、、、、、、、、、、、、、、。
駄目だ。今度はっきりと睡魔の足音が聞こえた!
この音楽にはリラックス効果は確かにある!でも、困ったことに、異次元の扉を開く前に確実に俺の夢の扉を開いてしまう。オーディオプレイヤーを脇に置き、一心に無心状態を模索する。
「どうですか?」
「ダメみたいだねぇ。イヤホン外しちゃいましたよ。」
「このままだと、お館様にはモフモフ作戦しか、、、。」
「そこ!うるさいぞぉ。ひそひそ話が、聞こえてくるから集中できないじゃないかぁ。」
こっそりと覗いていたのは、山田さんとゆずだった。
俺にそう言われて二人は本堂の入り口から退散する。集中できないのは二人の話し声のせいじゃないのに、、。これはひとえに俺の集中力のなさの問題だよな。
その日の夜遅く、平助さんから俺に電話がある。中央官庁と早急に話し合いが必要になったので、これから、半月ほど修行に付き合うことができないと彼は言った。
「気にしないでください。俺。平助さんに言われたことを守って自分でできるだけやってみます。」
「いやいや。本当に残念だよ。東京で腹の出たジイサン官僚たちと会うより、君をしごいてる方が私にとっては、ずっと有意義で楽しい事なんですけどね。だって、、君は宗助とばっかりつるんでて私とは遊んでくれませんからね。」
ん?どういう意味だ?
「でも、これが私の仕事ですから、致し方ありませんね。こちら戻った時、君の成長具合を見ることを楽しみにしていますよ。」
「成長できてればいいんですけど、、、。」
「してなくてもいいんです。それはそれで。ふふふ。ね。」
平助さんは意味不明な事を言って電話を切る。むしろ複雑怪奇な性格なのは宗助所長より平助さんの方かもしれない。
「ねぇ。本田君。ちょっと来て!」
山田さんに呼ばれ、本堂に行くとそこには立派なトレーニングの器具が置かれていた。
「これがあれば、雨の日でも体を動かせるでしょ。」
「これって、山田さんの?」
「うん。以前使ってたものをさっき家から車で持ってきたんだよ。もう使わないから遠慮なく使って。」
「や、山田さんありがとう。」
「気にするなって。君の修行中は、ゆずちゃんの面倒も俺に任せてくれ!」
「なにからなにまで、、、。」
俺は山田さんの持ってきたトレーニングマシーンを使って体をクタクタになるまで動かし、瞑想を続ける。異次元の扉はおろか、扉の入り口すら見えない。俺はその焦りをばねにひたすら体を動かし続けた。
なになに、瞑想とは、心を静めて神に祈る、何かに心を集中させる、心を静めて無心になる。なるほど、理屈はわかるんだよなぁ。出来ないだけで、、、。
だいたい。心を無にするって、なんなんだよ。わけがわからん。
そこへ、タイミング良く平助さんから瞑想の曲が入ったオーディオプレイヤーが届いた。
早速、イヤホンを耳に差し込んで再生ボタンンを押す。
座禅を組み、心を静かに、、、、、、。
、、、、。
、、、、。
「お館様!おーやーかーたーさまっ!」
「なんだよ。ゆず。」
「お館様。座禅を組みながら居眠りですか?器用ですねぇ。」
「居眠りなんかしてないよ。ははは、瞑想してたんだよ。瞑想。」
「ヨダレが垂れております。」
そう言われて俺は慌てて口を拭う。
起きてるときは、雑念だらけで、雑念がないときは寝てる、、、。我ながら呆れてしまった。
「ゆず、俺ちょっと走って来るわ。」
俺は本堂の周囲を走りはじめる。1周、2周、、9、、12、19。20周。
俺は本堂に戻って、今度は、腕立て、スクワットと立て続けに身体を酷使する。息が上がり、心音が聞こえる。平助さんの瞑想音楽のイヤホンを耳に入れる。
、、、、、、、。
、、、、、、、、、、、、、、。
駄目だ。今度はっきりと睡魔の足音が聞こえた!
この音楽にはリラックス効果は確かにある!でも、困ったことに、異次元の扉を開く前に確実に俺の夢の扉を開いてしまう。オーディオプレイヤーを脇に置き、一心に無心状態を模索する。
「どうですか?」
「ダメみたいだねぇ。イヤホン外しちゃいましたよ。」
「このままだと、お館様にはモフモフ作戦しか、、、。」
「そこ!うるさいぞぉ。ひそひそ話が、聞こえてくるから集中できないじゃないかぁ。」
こっそりと覗いていたのは、山田さんとゆずだった。
俺にそう言われて二人は本堂の入り口から退散する。集中できないのは二人の話し声のせいじゃないのに、、。これはひとえに俺の集中力のなさの問題だよな。
その日の夜遅く、平助さんから俺に電話がある。中央官庁と早急に話し合いが必要になったので、これから、半月ほど修行に付き合うことができないと彼は言った。
「気にしないでください。俺。平助さんに言われたことを守って自分でできるだけやってみます。」
「いやいや。本当に残念だよ。東京で腹の出たジイサン官僚たちと会うより、君をしごいてる方が私にとっては、ずっと有意義で楽しい事なんですけどね。だって、、君は宗助とばっかりつるんでて私とは遊んでくれませんからね。」
ん?どういう意味だ?
「でも、これが私の仕事ですから、致し方ありませんね。こちら戻った時、君の成長具合を見ることを楽しみにしていますよ。」
「成長できてればいいんですけど、、、。」
「してなくてもいいんです。それはそれで。ふふふ。ね。」
平助さんは意味不明な事を言って電話を切る。むしろ複雑怪奇な性格なのは宗助所長より平助さんの方かもしれない。
「ねぇ。本田君。ちょっと来て!」
山田さんに呼ばれ、本堂に行くとそこには立派なトレーニングの器具が置かれていた。
「これがあれば、雨の日でも体を動かせるでしょ。」
「これって、山田さんの?」
「うん。以前使ってたものをさっき家から車で持ってきたんだよ。もう使わないから遠慮なく使って。」
「や、山田さんありがとう。」
「気にするなって。君の修行中は、ゆずちゃんの面倒も俺に任せてくれ!」
「なにからなにまで、、、。」
俺は山田さんの持ってきたトレーニングマシーンを使って体をクタクタになるまで動かし、瞑想を続ける。異次元の扉はおろか、扉の入り口すら見えない。俺はその焦りをばねにひたすら体を動かし続けた。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
深海の星空
柴野日向
青春
「あなたが、少しでも笑っていてくれるなら、ぼくはもう、何もいらないんです」
ひねくれた孤高の少女と、真面目すぎる新聞配達の少年は、深い海の底で出会った。誰にも言えない秘密を抱え、塞がらない傷を見せ合い、ただ求めるのは、歩む深海に差し込む光。
少しずつ縮まる距離の中、明らかになるのは、少女の最も嫌う人間と、望まれなかった少年との残酷な繋がり。
やがて立ち塞がる絶望に、一縷の希望を見出す二人は、再び手を繋ぐことができるのか。
世界の片隅で、小さな幸福へと手を伸ばす、少年少女の物語。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。
ハッピークリスマス ! 非公開にしていましたが再upしました。 2024.12.1
設樂理沙
青春
中学生の頃からずっと一緒だったよね。大切に思っていた人との楽しい日々が
この先もずっと続いていけぱいいのに……。
―――――――――――――――――――――――
|松村絢《まつむらあや》 ---大企業勤務 25歳
|堂本海(どうもとかい) ---商社勤務 25歳 (留年してしまい就職は一年遅れ)
中学の同級生
|渡部佳代子《わたなべかよこ》----絢と海との共通の友達 25歳
|石橋祐二《いしばしゆうじ》---絢の会社での先輩 30歳
|大隈可南子《おおくまかなこ》----海の同期 24歳 海LOVE?
――― 2024.12.1 再々公開 ――――
💍 イラストはOBAKERON様 有償画像
青春リフレクション
羽月咲羅
青春
16歳までしか生きられない――。
命の期限がある一条蒼月は未来も希望もなく、生きることを諦め、死ぬことを受け入れるしかできずにいた。
そんなある日、一人の少女に出会う。
彼女はいつも当たり前のように側にいて、次第に蒼月の心にも変化が現れる。
でも、その出会いは偶然じゃなく、必然だった…!?
胸きゅんありの切ない恋愛作品、の予定です!
プレッシャァー 〜農高校球児の成り上がり〜
三日月コウヤ
青春
父親の異常な教育によって一人野球同然でマウンドに登り続けた主人公赤坂輝明(あかさかてるあき)。
父の他界後母親と暮らすようになり一年。母親の母校である農業高校で個性の強いチームメイトと生活を共にしながらありきたりでありながらかけがえのないモノを取り戻しながら一緒に苦難を乗り越えて甲子園目指す。そんなお話です
*進行速度遅めですがご了承ください
*この作品はカクヨムでも投稿しております
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる