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トキオ ④
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トキオを乗せた警察車両が裁判所に到着する。今回はヴァンパイアポリスが連絡していた為か守衛さんがすぐにゲートを開けてくれた。
司さんがロビーで俺たちを待っていた。
「皆さん。ウェルカム。ようこそ裁判所へ。さて、今日の主役はそこで、おネンネしてる坊やかな?」
トキオは気を失ったままソファーに寝かされている。
「眠ったまんまでも大丈夫なんですか?」
俺が訊ねると。司さんが問題ないよと言った。そして俺の耳元で「守人就任おめでとうございます。も・り・と・さ・ま♡」
と小声で囁いた。さすがに、裁判所には連絡が来ていたらしい。
「こっちに坊やを連れて来て。早いとこやっちゃうよ。あの白髪男の関係者は、脳内を読み取られる前に自死したりするから、坊やが気付いたら何かと面倒だからね。」
今日は、2階の部屋ではなく、ここで見るらしい。俺と高木班長が両脇を抱えて司さんの前までトキオを連れて行く。
司さんが額をつけようとした瞬間、トキオは目を覚ましたが「もう遅いよ。」と司さんが、トキオの顔を押さえ額と額を合わせた。その瞬間、トキオが「あっ」と小さく呻く。
たっぷり2分は額を合わせていた司さんが、俺たちを見て
「すべてわかったよ。この件は急いで報告書にまとめますから、今日はもう結構です。」
と言った。
いつもの司さんらしからぬ真剣な表情だった。
トキオはすっかり戦意を喪失して守衛によって地下に運ばれていく。彼は人間だったよな?風邪ひかなきゃいいけど。俺は前回の大野弁護士を思い出していた。
出口に向かうみんなの中から、司さんが俺だけを呼び止める。
「本田君。今回、あの白髪の男が何をしたいのか判ったよ。それは奴の過去と、君の家族に関係している。君の出生の秘密は、君の仲間に隠しておくことは出来なくなる。それでもいいかい?」
「もちろんです。これは俺の一方的な思い込みかも知れませんが、俺と仲間は大丈夫って、そう思います。」
「良かったぁ~。本田君がそう言ってくれたら、報告書も書きやすい。半沢主任にこの事も、あわせて知らせておくからね。ねぇ、本田君。本田君の過去もぜひ僕に見せてくれたまえよ。」
「わかりましたよ。白神を捕まえたら全部、見せます。」
「えっ??ホントに?ダメもとで行ってみるもんだねぇ。約束忘れないでよ!」
司さんはいつもの彼に戻っていた。
俺は、先に裁判所を出た仲間たちを追って裁判所を後にする。
「一宇。家に帰るわよ。」
車に乗り込んで来たアヤメが言った。
「え?アヤメまだ仕事あるだろ?」
「今日はもう休みを取ったわ。ゆず。一宇を待ってると思うから。」
そうだった。俺とアヤメはヴァンパイアポリスに向かう車両と離れ、刑部家へ針路をとる。
刑部家に着くと。高梨さんのベストの胸に八木山ベニーランドのキャラクターのバッチが着けられていた。
「高梨さん、それは?」
「ほほほほ。ゆず様から頂きました。私にお土産だそうです。」
ゆずは、疲れて眠ってしまったらしい。あれだけ興奮したらそうなるか、、、。
食堂のテーブルの上には、俺の名前の書かれた封筒と、アヤメの名前が書かれたベニーランドの袋が置いてある。
俺は封筒を開けてみる。
「おやかたさま。今日は、たのしかったです。ゆずは白神家に生まれたおかげで、おやかたさまと会うことが出来ました。ゆずは白神でほんとうによかった。ありがとう。おやかたさま。」
それは違うよ、ゆず。お礼を言うのは俺の方だ。ゆずがいてくれたお陰で俺は、守人になる運命もすんなり受け入れることが出来たし、守人にもなれた。ありがとう、ゆず。
ベニーランドの袋を開けたアヤメが食堂の鏡の前で何やらやっている。
「どお?一宇。」
アヤメが俺を見て笑って見せる。その髪には俺が買ってやった髪飾りと同じものが着けられていた。
「それは、ゆず様とお揃いだそうです。」
高梨さんがアヤメに言った。
「こういうのって、なんか嬉しいわね、」
アヤメは突然できた妹からのプレゼントを喜んでいるようだった。
部屋に戻った俺は白神の計画が気になって眠れないでいた。白神の過去と俺の家族、、。祖母の安芸の事か、祖父の勝也の事か、、、。その両方かもしれない。運命の歯車が動く音がする。その歯車がどちらに向かって回っているのか俺にはわからない。でも、もし悪い方に回っていたとしても俺は力ずくで、その運命の輪を良い方にまわして見せる。俺はそう考えていた。
司さんがロビーで俺たちを待っていた。
「皆さん。ウェルカム。ようこそ裁判所へ。さて、今日の主役はそこで、おネンネしてる坊やかな?」
トキオは気を失ったままソファーに寝かされている。
「眠ったまんまでも大丈夫なんですか?」
俺が訊ねると。司さんが問題ないよと言った。そして俺の耳元で「守人就任おめでとうございます。も・り・と・さ・ま♡」
と小声で囁いた。さすがに、裁判所には連絡が来ていたらしい。
「こっちに坊やを連れて来て。早いとこやっちゃうよ。あの白髪男の関係者は、脳内を読み取られる前に自死したりするから、坊やが気付いたら何かと面倒だからね。」
今日は、2階の部屋ではなく、ここで見るらしい。俺と高木班長が両脇を抱えて司さんの前までトキオを連れて行く。
司さんが額をつけようとした瞬間、トキオは目を覚ましたが「もう遅いよ。」と司さんが、トキオの顔を押さえ額と額を合わせた。その瞬間、トキオが「あっ」と小さく呻く。
たっぷり2分は額を合わせていた司さんが、俺たちを見て
「すべてわかったよ。この件は急いで報告書にまとめますから、今日はもう結構です。」
と言った。
いつもの司さんらしからぬ真剣な表情だった。
トキオはすっかり戦意を喪失して守衛によって地下に運ばれていく。彼は人間だったよな?風邪ひかなきゃいいけど。俺は前回の大野弁護士を思い出していた。
出口に向かうみんなの中から、司さんが俺だけを呼び止める。
「本田君。今回、あの白髪の男が何をしたいのか判ったよ。それは奴の過去と、君の家族に関係している。君の出生の秘密は、君の仲間に隠しておくことは出来なくなる。それでもいいかい?」
「もちろんです。これは俺の一方的な思い込みかも知れませんが、俺と仲間は大丈夫って、そう思います。」
「良かったぁ~。本田君がそう言ってくれたら、報告書も書きやすい。半沢主任にこの事も、あわせて知らせておくからね。ねぇ、本田君。本田君の過去もぜひ僕に見せてくれたまえよ。」
「わかりましたよ。白神を捕まえたら全部、見せます。」
「えっ??ホントに?ダメもとで行ってみるもんだねぇ。約束忘れないでよ!」
司さんはいつもの彼に戻っていた。
俺は、先に裁判所を出た仲間たちを追って裁判所を後にする。
「一宇。家に帰るわよ。」
車に乗り込んで来たアヤメが言った。
「え?アヤメまだ仕事あるだろ?」
「今日はもう休みを取ったわ。ゆず。一宇を待ってると思うから。」
そうだった。俺とアヤメはヴァンパイアポリスに向かう車両と離れ、刑部家へ針路をとる。
刑部家に着くと。高梨さんのベストの胸に八木山ベニーランドのキャラクターのバッチが着けられていた。
「高梨さん、それは?」
「ほほほほ。ゆず様から頂きました。私にお土産だそうです。」
ゆずは、疲れて眠ってしまったらしい。あれだけ興奮したらそうなるか、、、。
食堂のテーブルの上には、俺の名前の書かれた封筒と、アヤメの名前が書かれたベニーランドの袋が置いてある。
俺は封筒を開けてみる。
「おやかたさま。今日は、たのしかったです。ゆずは白神家に生まれたおかげで、おやかたさまと会うことが出来ました。ゆずは白神でほんとうによかった。ありがとう。おやかたさま。」
それは違うよ、ゆず。お礼を言うのは俺の方だ。ゆずがいてくれたお陰で俺は、守人になる運命もすんなり受け入れることが出来たし、守人にもなれた。ありがとう、ゆず。
ベニーランドの袋を開けたアヤメが食堂の鏡の前で何やらやっている。
「どお?一宇。」
アヤメが俺を見て笑って見せる。その髪には俺が買ってやった髪飾りと同じものが着けられていた。
「それは、ゆず様とお揃いだそうです。」
高梨さんがアヤメに言った。
「こういうのって、なんか嬉しいわね、」
アヤメは突然できた妹からのプレゼントを喜んでいるようだった。
部屋に戻った俺は白神の計画が気になって眠れないでいた。白神の過去と俺の家族、、。祖母の安芸の事か、祖父の勝也の事か、、、。その両方かもしれない。運命の歯車が動く音がする。その歯車がどちらに向かって回っているのか俺にはわからない。でも、もし悪い方に回っていたとしても俺は力ずくで、その運命の輪を良い方にまわして見せる。俺はそう考えていた。
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