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第十九代白神家当主 ⑧
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白神家の玄関は酷い状態だった。玄関のガラスに石が投げられ、ガラスが粉々に砕け散乱している。
「守人殺し!出て来い!」「守人殺しの白神は、ここから出ていけ!」
外からひどいヤジが飛んでくる。
それを聞いた、ゆずが外へと飛び出そうと靴を履いた。
「待て!ゆず。ここは俺に任せてくれないか?」
「お館様に?」
俺は、ゆずに出てこないように言って一人、玄関から外に出る。
「出て来たぞ。」「守人殺しの白神め!」
外にいたのは、男ばかり7・8人の集団だった。中には子どもや老人の姿も見える。
「白神のやつじゃないな。お前は誰だ!」
体の大きな男が大声で俺を威嚇する。
「あなた達こそ誰ですか。玄関に石投げたりして最低だなぁ。」
「白神の家に味方する奴なんかろくでもない奴に決まってる!こいつから先にやっちまおうぜ。」
周りにいる別の男がヤジを飛ばす。
「まったくもう。ろくでもないのはあなたたちの方でしょ。人ん家の玄関のガラス割ったり、外でくだを撒いたり。白神の家の人たちがあなた方に一体何をしたって言うんですか。」
「俺らの大切な守人様を殺したんだよ。」
「今現在、ここに住んでる人たちが殺したんですか?」
「そ、それは違うけど。白神のやつらは全て同罪なんだよ。早くここから出ていけばいいんだ!」
男の言ってることは支離滅裂だ。
「はーい。ちょっと質問なんだけど、ここは、あなたの土地なんですか?」
「ち、違うけど。ここは白神家が守人を助けるお役目に就くその褒美として与えられてる家なんだよ。お役目もしてないくせに、ここに住み続けるなんてずうずうしいんだよ。白神は。」
「ああ、それなら白神家は、また守人と共に東門を守る任務に復帰しましたから問題ありません。あなた達は、白神の人たちに謝罪して。自分たちで壊したガラスをかたずけて、今日は帰ってください。壊した玄関のガラスの代金は、そこのお爺さん。あなたが明日払いに来てくださいね。」
俺は、痩せて意地悪い顔をした爺さんを指さして言う。
「なにぃ。お前、区長さんを、お爺さんだとぉ。」
「えええ。お爺さん。区長なんですか?いい年して、しかもみんなをまとめる区長なのにバカな若者と一緒になってこんな恥ずかしいことをしてるんですか?止めた方が良いですよ。」
「こいつふざけんな。やっちまえ!」
若い男が3人、俺の方にじりじりと間合いを詰めてくる。俺は腰に下げていた政宗守を鞘から半分ほど抜く。俺の考えが正しければ、これくらいで奴らを倒せるはずだ、全部抜いてしまっては彼らに酷いケガを負わせてしまう可能性がある。もし、俺の読みが外れていても、こいつらにボコボコにされるくらいで済むだろう。
ドクドクドクドク、、、。俺の心臓が昨日より少し軽いビートを刻み始める。
良しいい感じだ。刀を鞘に戻す。その瞬間男3人が一斉に俺に飛びかかって来た。
遅い!彼らの動きが、まるでスローモーションのように見える。
俺は、地面を蹴って水平に飛びあがり三人をよける。予想以上に高く飛び上がったってしまったみたいだ。男たちは2mほど下で口をあんぐりと明けて驚いている。
開予想以上に力が出てしまっているのかもしれない。少し手加減が必要なようだ。
地面に飛び降り、次々と男たちの向う脛に軽く蹴りを入れる。
男たちはがっくりとひざを折り、向う脛を押さえながら痛みに涙を流していた。
残りの男たちを確認する。男たちは全部で8人。俺に足を蹴られた3人は既に戦意喪失しているから大丈夫だろう。
爺さんと、太った子供は戦力外。そうなると残るは、3人。俺は体の大きな3人の男たちを睨む。
「おい、今日は帰るぞ!」
区長の爺さんが一声で、俺に脛を蹴られた3人を残った3人が抱えて脱兎のごとく男たちが逃げ出した。
「おーい。壊したガラスかたずけて行けよ。もう。明日、ガラス代弁償しに来いよ!」
俺が後ろから声を掛けるが、奴らは一目散に逃げて行った。
「お館様。大丈夫ですか!」
ゆずが玄関から出てくる。
「ゆず、俺の言うことを守って出てこなかったんだな。偉いぞ。」
「当然ですよ、お館様のお言いつけは、白神家当主にとっては絶対でございますから。」
そう言ってゆずは笑った。
このままにしてはおけない。こんな屈辱的な生活をこれ以上白神家にさせておくわけにはいかない。
「守人殺し!出て来い!」「守人殺しの白神は、ここから出ていけ!」
外からひどいヤジが飛んでくる。
それを聞いた、ゆずが外へと飛び出そうと靴を履いた。
「待て!ゆず。ここは俺に任せてくれないか?」
「お館様に?」
俺は、ゆずに出てこないように言って一人、玄関から外に出る。
「出て来たぞ。」「守人殺しの白神め!」
外にいたのは、男ばかり7・8人の集団だった。中には子どもや老人の姿も見える。
「白神のやつじゃないな。お前は誰だ!」
体の大きな男が大声で俺を威嚇する。
「あなた達こそ誰ですか。玄関に石投げたりして最低だなぁ。」
「白神の家に味方する奴なんかろくでもない奴に決まってる!こいつから先にやっちまおうぜ。」
周りにいる別の男がヤジを飛ばす。
「まったくもう。ろくでもないのはあなたたちの方でしょ。人ん家の玄関のガラス割ったり、外でくだを撒いたり。白神の家の人たちがあなた方に一体何をしたって言うんですか。」
「俺らの大切な守人様を殺したんだよ。」
「今現在、ここに住んでる人たちが殺したんですか?」
「そ、それは違うけど。白神のやつらは全て同罪なんだよ。早くここから出ていけばいいんだ!」
男の言ってることは支離滅裂だ。
「はーい。ちょっと質問なんだけど、ここは、あなたの土地なんですか?」
「ち、違うけど。ここは白神家が守人を助けるお役目に就くその褒美として与えられてる家なんだよ。お役目もしてないくせに、ここに住み続けるなんてずうずうしいんだよ。白神は。」
「ああ、それなら白神家は、また守人と共に東門を守る任務に復帰しましたから問題ありません。あなた達は、白神の人たちに謝罪して。自分たちで壊したガラスをかたずけて、今日は帰ってください。壊した玄関のガラスの代金は、そこのお爺さん。あなたが明日払いに来てくださいね。」
俺は、痩せて意地悪い顔をした爺さんを指さして言う。
「なにぃ。お前、区長さんを、お爺さんだとぉ。」
「えええ。お爺さん。区長なんですか?いい年して、しかもみんなをまとめる区長なのにバカな若者と一緒になってこんな恥ずかしいことをしてるんですか?止めた方が良いですよ。」
「こいつふざけんな。やっちまえ!」
若い男が3人、俺の方にじりじりと間合いを詰めてくる。俺は腰に下げていた政宗守を鞘から半分ほど抜く。俺の考えが正しければ、これくらいで奴らを倒せるはずだ、全部抜いてしまっては彼らに酷いケガを負わせてしまう可能性がある。もし、俺の読みが外れていても、こいつらにボコボコにされるくらいで済むだろう。
ドクドクドクドク、、、。俺の心臓が昨日より少し軽いビートを刻み始める。
良しいい感じだ。刀を鞘に戻す。その瞬間男3人が一斉に俺に飛びかかって来た。
遅い!彼らの動きが、まるでスローモーションのように見える。
俺は、地面を蹴って水平に飛びあがり三人をよける。予想以上に高く飛び上がったってしまったみたいだ。男たちは2mほど下で口をあんぐりと明けて驚いている。
開予想以上に力が出てしまっているのかもしれない。少し手加減が必要なようだ。
地面に飛び降り、次々と男たちの向う脛に軽く蹴りを入れる。
男たちはがっくりとひざを折り、向う脛を押さえながら痛みに涙を流していた。
残りの男たちを確認する。男たちは全部で8人。俺に足を蹴られた3人は既に戦意喪失しているから大丈夫だろう。
爺さんと、太った子供は戦力外。そうなると残るは、3人。俺は体の大きな3人の男たちを睨む。
「おい、今日は帰るぞ!」
区長の爺さんが一声で、俺に脛を蹴られた3人を残った3人が抱えて脱兎のごとく男たちが逃げ出した。
「おーい。壊したガラスかたずけて行けよ。もう。明日、ガラス代弁償しに来いよ!」
俺が後ろから声を掛けるが、奴らは一目散に逃げて行った。
「お館様。大丈夫ですか!」
ゆずが玄関から出てくる。
「ゆず、俺の言うことを守って出てこなかったんだな。偉いぞ。」
「当然ですよ、お館様のお言いつけは、白神家当主にとっては絶対でございますから。」
そう言ってゆずは笑った。
このままにしてはおけない。こんな屈辱的な生活をこれ以上白神家にさせておくわけにはいかない。
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