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彼女の行方 ④
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稲葉とノエルを乗せた車が走り出す。杉山さんペアと高木ペアは、先に東洋ホテル付近でスタンバイしていた。
赤目と、常盤さんはヴァンパイアポリスに待機して通信業務と不測の事態に備える。
俺とアヤメだけが、バイクの機動性を生かし、ノエルと稲葉を追走する。
市街地に入ってからは、適度な距離をとってノエルの車を追う。
約束の、東洋ホテルに到着する。時刻は「21:56」。
ノエルの車が見える位置にバイクを止めて待機する。一つ先の角に杉山さんと灰野の車も見えた。念のため、ノエルを見失っても追跡できるようにスマホのGPS機能をオンにしてあるらしい。
「22:00」を知らせるアラームが鳴る。赤信号が青に変わり、一台の黒い車が、東洋ホテル側に車線変更してくる。レグザスだ。ノエルが車を降りレグザスに向かって手を振る。ノエルの姿がレグザスの助手席に消える。俺はエンジンをかけ、レグザスの3台後ろを走り始めた。
「本田さん。あまり対象車両に近寄らないように、注意して追走してください。GPSも機能していますから、焦らないでお願いします。」
インカムから杉山さんの指示が聞こえる。
「本田。了解しました。」
俺はペースを落とし、レグザスのテールランプが何とか見える位置で追走する。
レグザスは、どこに向かっているのか、仙台の市街地を南へ北へ、ぐるぐると回っている。
電話を一度切って掛けなおしてくるほど、用心深い男だ。追跡を回避するために、市街地を回って様子を見ているのかもしれない。
「本田さん。対象車両から離れてください、GPSで追跡します。本田さんの行先は、こちらから指示します。」
「本田、了解です。」
俺は、追走を一時中断する。
その後、定期的に行先の指示が入る。
「この武藤ってやつ、何を考えているのかしら。あっちこっち移動して、誰かに追跡されてるのを想定してるわけ?」
アヤメも同じことを考えていた。
今の時点では、レグザスの車体が見えない分、ノエルが心配だ。
「本田さん、マズイことになりました。結城さんのGPSの信号が消えました。何かあったのでなければいいのですが。ここから、彼女の居場所をソナーで探してみます。刑部さんも出来ましたよね?各自追跡してください。」
(ソナー?ってなんだ?ノエルは大丈夫なのか?)
「一宇。ここから私の指示に従って。」
「わかった。」
「次の角、左折。そのまま真っすぐ。スピード上げて。」
「了解!アヤメ。しっかり掴まってろよ。」
俺はアクセルをふかす。FJR1300がスピードを得て、安定して走り出す。
武藤のレグザスは、市街地の旋回をやめ、北に向かって走り出したようだ。
「一宇。早めに指示を出すから、可能な限りスピードを上げて!ノエルが心配。」
いつしか道は、街灯もまばらな田舎道に入る。ここなら思う存分スピードが出せる。
「一宇、T字路右折。そのまままっすぐ。」
アヤメがどうやって道順を支持しているかは、わからない。でもアヤメを信じて進むしかない。
「一宇、もうすぐ着く。減速して。」
もうすぐって、あたりは何もない山の中だ。減速して山道を進む。道の先にうっすら明かりのともったコンクリートの建物があった。
「あそこか?」
「そうよ。ライトを消して進みましょう。」
かなり建物が近づいた。これ以上バイクで進んだら、エンジン音で築かれる可能性がある、ひとまずバイクを木の陰に隠し徒歩で、建物を目指す。
建物はコンクリートの柵で覆われている。建物は病院を思わせる造りだった。
俺たちは、入り口の鉄柵を乗り越え、建物脇にある物置の陰に身を隠す。
「一宇、あれ。」
アヤメの指さす先には、ノエルを乗せたレグザスが止めてある。ノエルがここにいるのは間違いない。ノエルの事を考えるとじっとしていられない衝動に駆られる。
「これから、どうする?」
「もう少しだけ、後続の隊を待ってみる。もし、来なかったら二人で行くしかない。」
アヤメに賛成だ。二人で今すぐに行くと言われても俺はついて行っただろう。
倉庫の扉に見覚えのあるマークが描かれてあった。
「アヤメこれ。」
そこに書かれていたマークは、間違いない。コスモスグループのマークだった。こんな山の中に、コスモスグループの施設が残っていたなんて、しかも、その施設には人影があり、現在も稼働している。コスモスグループの事件はまだ終わっていなかったのか?それとも別な団体がこの施設を二次利用しているのか、、、。斎藤さんの彼女探しがとんでもないところに繋がった。
アヤメもそう考えているのだろう。持っていたスマホから、ヴァンパイアポリスに連絡を取り、現在地の報告と、赤目と常盤さんの出動を要請した。
赤目と、常盤さんはヴァンパイアポリスに待機して通信業務と不測の事態に備える。
俺とアヤメだけが、バイクの機動性を生かし、ノエルと稲葉を追走する。
市街地に入ってからは、適度な距離をとってノエルの車を追う。
約束の、東洋ホテルに到着する。時刻は「21:56」。
ノエルの車が見える位置にバイクを止めて待機する。一つ先の角に杉山さんと灰野の車も見えた。念のため、ノエルを見失っても追跡できるようにスマホのGPS機能をオンにしてあるらしい。
「22:00」を知らせるアラームが鳴る。赤信号が青に変わり、一台の黒い車が、東洋ホテル側に車線変更してくる。レグザスだ。ノエルが車を降りレグザスに向かって手を振る。ノエルの姿がレグザスの助手席に消える。俺はエンジンをかけ、レグザスの3台後ろを走り始めた。
「本田さん。あまり対象車両に近寄らないように、注意して追走してください。GPSも機能していますから、焦らないでお願いします。」
インカムから杉山さんの指示が聞こえる。
「本田。了解しました。」
俺はペースを落とし、レグザスのテールランプが何とか見える位置で追走する。
レグザスは、どこに向かっているのか、仙台の市街地を南へ北へ、ぐるぐると回っている。
電話を一度切って掛けなおしてくるほど、用心深い男だ。追跡を回避するために、市街地を回って様子を見ているのかもしれない。
「本田さん。対象車両から離れてください、GPSで追跡します。本田さんの行先は、こちらから指示します。」
「本田、了解です。」
俺は、追走を一時中断する。
その後、定期的に行先の指示が入る。
「この武藤ってやつ、何を考えているのかしら。あっちこっち移動して、誰かに追跡されてるのを想定してるわけ?」
アヤメも同じことを考えていた。
今の時点では、レグザスの車体が見えない分、ノエルが心配だ。
「本田さん、マズイことになりました。結城さんのGPSの信号が消えました。何かあったのでなければいいのですが。ここから、彼女の居場所をソナーで探してみます。刑部さんも出来ましたよね?各自追跡してください。」
(ソナー?ってなんだ?ノエルは大丈夫なのか?)
「一宇。ここから私の指示に従って。」
「わかった。」
「次の角、左折。そのまま真っすぐ。スピード上げて。」
「了解!アヤメ。しっかり掴まってろよ。」
俺はアクセルをふかす。FJR1300がスピードを得て、安定して走り出す。
武藤のレグザスは、市街地の旋回をやめ、北に向かって走り出したようだ。
「一宇。早めに指示を出すから、可能な限りスピードを上げて!ノエルが心配。」
いつしか道は、街灯もまばらな田舎道に入る。ここなら思う存分スピードが出せる。
「一宇、T字路右折。そのまままっすぐ。」
アヤメがどうやって道順を支持しているかは、わからない。でもアヤメを信じて進むしかない。
「一宇、もうすぐ着く。減速して。」
もうすぐって、あたりは何もない山の中だ。減速して山道を進む。道の先にうっすら明かりのともったコンクリートの建物があった。
「あそこか?」
「そうよ。ライトを消して進みましょう。」
かなり建物が近づいた。これ以上バイクで進んだら、エンジン音で築かれる可能性がある、ひとまずバイクを木の陰に隠し徒歩で、建物を目指す。
建物はコンクリートの柵で覆われている。建物は病院を思わせる造りだった。
俺たちは、入り口の鉄柵を乗り越え、建物脇にある物置の陰に身を隠す。
「一宇、あれ。」
アヤメの指さす先には、ノエルを乗せたレグザスが止めてある。ノエルがここにいるのは間違いない。ノエルの事を考えるとじっとしていられない衝動に駆られる。
「これから、どうする?」
「もう少しだけ、後続の隊を待ってみる。もし、来なかったら二人で行くしかない。」
アヤメに賛成だ。二人で今すぐに行くと言われても俺はついて行っただろう。
倉庫の扉に見覚えのあるマークが描かれてあった。
「アヤメこれ。」
そこに書かれていたマークは、間違いない。コスモスグループのマークだった。こんな山の中に、コスモスグループの施設が残っていたなんて、しかも、その施設には人影があり、現在も稼働している。コスモスグループの事件はまだ終わっていなかったのか?それとも別な団体がこの施設を二次利用しているのか、、、。斎藤さんの彼女探しがとんでもないところに繋がった。
アヤメもそう考えているのだろう。持っていたスマホから、ヴァンパイアポリスに連絡を取り、現在地の報告と、赤目と常盤さんの出動を要請した。
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