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プロフェット(預言者)①
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「昨夜、仙台市青葉区に本社を置く、健康食品販売会社コスモスが、ヴァンパイアポリスの一斉摘発を受けました。ヴァンパイアポリスの発表によりますと、コスモス社が販売していた健康食品、「コスモスA」「コスモスEX」には、ヴァンパイアの血液成分が含まれており、人体に及ぼす影響は不明です。これらの、違法な健康食品を販売していたのは、ヴァンパイアの我妻聡容疑者です。今回の摘発で、コスモスはヴァンパイア市民を不当に使役し、原料の血液を確保するためにヴァンパイアを多数飼育していたということです。我妻容疑者は、ヴァンパイアマフィアVMのトップという裏の顔も持っていました。ヴァンパイアポリスはコスモスA、コスモスEXの回収を行っております。もし、お手元にこれらの薬品をお持ちの方は、最寄りのヴァンパイポリス、および保健所まで商品をお持ちください。更なる事件の解明が待たれます。」
このニュースが流れたあと、オークションサイトでコスモスAやコスモスEXが高値で取引され、それらの摘発は警察に任せることで落ち着いた。
テレビの音で目がが覚める。テレビをつけたまま寝落ちしていたらしい。
ニュースでは、朝から繰り返し昨夜の事件の報道をしていた。
昨夜の摘発の興奮と、事務所で半沢主任、高木班長から聞いた話による漠然とした不安で、なかなか寝付くことが出来ず、寝てからは、悪夢に悩まされるはめになった。
コン、コンッ。
アパートのドアを誰かがノックした。誰だろう?
築70年のボロアパートにも良い点が3つある。DMがこない、訪問販売がこない、保険の勧誘が来ないことだ。なぜか宗教勧誘だけは、神の名のもとに平等にやってくる。
この時間だと宗教勧誘か?でも、彼らを追っ払う術は心得ている。
玄関を開けると、ケンタロウが立っていた。
「ケンタロウ?どうした?」
「一宇に相談があって。」
「まぁ、入れよ。あ、そうだ、冷蔵庫に昨日、高梨さんから貰った手作りパンとチーズが入ってるから食うか?」
「いらない、、、。」
(!!!!!!)
「ケンタロウどうした?!お前が食い物を辞退するなんて、具合でも悪いのか?」
そこで、改めてケンタロウを見ると、以前よりだいぶほっそりしている。しかも、顔は青ざめ、髪が逆立ってくしゃくしゃだ。
「お前いつから、食ってないんだよ。」
「1週間くらい。」
「1週間!?それは駄目だ。いくらお前の体に脂肪の貯えがあってもだ。お前、なんか悩みがあるんだろ。俺がお前の悩みを一緒に解決してやる。だから、お前は大船の乗った気持ちで俺の朝飯に付き合え。わかったな。」
心なしか、ケンタロウの青ざめた顔に赤みが差してきたように見えた。
俺たちは、すきっ腹の豚のようにガツガツとパンとチーズとコーヒーの朝食をとる。
「ケンタロウ、そこの鏡のところにブラシがあるから髪ぐらいとかせよ。」
俺は、箪笥の上の鏡を指さす。
「無駄だよ。これ、寝ぐせじゃないから、髪の毛が逆立ってるんだ。」
「逆立ってる?どうして?いつから?」
「1週間前からだよ。一宇って犬飼ったことある?」
「ないけど。なんで?」
「犬って、仲間の匂いを嗅ぐと毛が逆立つんだよ。」
「へぇ~。知らなかった。じゃ、お前も仲間の匂いをかぎ取ったってことか?」
「うん。一宇は。僕が絶滅危惧種なのは知ってるよね?僕、生まれて初めて仲間の匂いを嗅いだんだ。しかも、女の子の匂いをね。」
「へっ?女の子?そこまでわかるんだ。」
「うん。それから、ご飯も食べられない。夜も寝れない。助けてよ一宇。」
「じゃあ、お前、やっぱり病気じゃん。医者でも治せない「恋の病」ってやつだよ。」
ケンタロウの顔が真っ赤になる。
「恋の悩みなら、俺に任せろ!」
「一宇は恋愛経験あるの?」
「ないけど。」
「彼女いない歴何年?」
「18年!」
ケンタロウの顔にみるみる落胆の色が広がる。
「カヲルさんには、相談したのか?」
「するわけないじゃん!前にカヲルちゃんは、僕とパグをくっつけようとしたんだよ!」
カヲルさん、、、、。
「一宇、スマホ持ってる?」
「あるけど。ほら。」
ケンタロウはスマホで何やら検索を始める。
「あ、あった。これ。これ見て!」
今世紀最大の占い師、プロフェット(預言者)仙台の父 大特集!
「仙台の父?なんじゃそりゃ。」
俺は特集記事をスクロールしながら、ざっと目を通す。
仙台の父と呼ばれるその爺さんは、大物政治家や芸能人にも多くのファンを持つ占い師だが、本人の趣味で夜の街に立ち、辻占いをやっている。ただし、偏屈で気に入らない客は占わない。占いが当たると評判で、いつも行列ができているらしい。
「占い?」
「うん。僕、お手上げだからさ。オカルト頼みだよ。」
「それで?俺にどうしろっていうんだよ。」
「一宇、今夜、お休みでしょ一緒に行こうよ~。」
「ええええ。占いなんか、並んでるのも女ばっかだろ。いやだよ。恥ずかしいよ。」
ケンタロウが、がっくりと肩を落とす。
考えてみれば、こいつにはいろいろと世話になっている。バイクのパーツを盗まれた時も。洋服が必要な時も。受けた恩は必ず返す!それが俺の人生の決め事じゃなかったのか。
「わかったよ。付き合うよ。」
「ほんと?一宇!ありがとう!ありがとう!。それと、冷蔵庫に入ってる”ちょんまげサブレ”食べていい?」
げんきんな奴め。言うが早いか、ケンタロウはちょんまげサブレを食べ始めた。
このニュースが流れたあと、オークションサイトでコスモスAやコスモスEXが高値で取引され、それらの摘発は警察に任せることで落ち着いた。
テレビの音で目がが覚める。テレビをつけたまま寝落ちしていたらしい。
ニュースでは、朝から繰り返し昨夜の事件の報道をしていた。
昨夜の摘発の興奮と、事務所で半沢主任、高木班長から聞いた話による漠然とした不安で、なかなか寝付くことが出来ず、寝てからは、悪夢に悩まされるはめになった。
コン、コンッ。
アパートのドアを誰かがノックした。誰だろう?
築70年のボロアパートにも良い点が3つある。DMがこない、訪問販売がこない、保険の勧誘が来ないことだ。なぜか宗教勧誘だけは、神の名のもとに平等にやってくる。
この時間だと宗教勧誘か?でも、彼らを追っ払う術は心得ている。
玄関を開けると、ケンタロウが立っていた。
「ケンタロウ?どうした?」
「一宇に相談があって。」
「まぁ、入れよ。あ、そうだ、冷蔵庫に昨日、高梨さんから貰った手作りパンとチーズが入ってるから食うか?」
「いらない、、、。」
(!!!!!!)
「ケンタロウどうした?!お前が食い物を辞退するなんて、具合でも悪いのか?」
そこで、改めてケンタロウを見ると、以前よりだいぶほっそりしている。しかも、顔は青ざめ、髪が逆立ってくしゃくしゃだ。
「お前いつから、食ってないんだよ。」
「1週間くらい。」
「1週間!?それは駄目だ。いくらお前の体に脂肪の貯えがあってもだ。お前、なんか悩みがあるんだろ。俺がお前の悩みを一緒に解決してやる。だから、お前は大船の乗った気持ちで俺の朝飯に付き合え。わかったな。」
心なしか、ケンタロウの青ざめた顔に赤みが差してきたように見えた。
俺たちは、すきっ腹の豚のようにガツガツとパンとチーズとコーヒーの朝食をとる。
「ケンタロウ、そこの鏡のところにブラシがあるから髪ぐらいとかせよ。」
俺は、箪笥の上の鏡を指さす。
「無駄だよ。これ、寝ぐせじゃないから、髪の毛が逆立ってるんだ。」
「逆立ってる?どうして?いつから?」
「1週間前からだよ。一宇って犬飼ったことある?」
「ないけど。なんで?」
「犬って、仲間の匂いを嗅ぐと毛が逆立つんだよ。」
「へぇ~。知らなかった。じゃ、お前も仲間の匂いをかぎ取ったってことか?」
「うん。一宇は。僕が絶滅危惧種なのは知ってるよね?僕、生まれて初めて仲間の匂いを嗅いだんだ。しかも、女の子の匂いをね。」
「へっ?女の子?そこまでわかるんだ。」
「うん。それから、ご飯も食べられない。夜も寝れない。助けてよ一宇。」
「じゃあ、お前、やっぱり病気じゃん。医者でも治せない「恋の病」ってやつだよ。」
ケンタロウの顔が真っ赤になる。
「恋の悩みなら、俺に任せろ!」
「一宇は恋愛経験あるの?」
「ないけど。」
「彼女いない歴何年?」
「18年!」
ケンタロウの顔にみるみる落胆の色が広がる。
「カヲルさんには、相談したのか?」
「するわけないじゃん!前にカヲルちゃんは、僕とパグをくっつけようとしたんだよ!」
カヲルさん、、、、。
「一宇、スマホ持ってる?」
「あるけど。ほら。」
ケンタロウはスマホで何やら検索を始める。
「あ、あった。これ。これ見て!」
今世紀最大の占い師、プロフェット(預言者)仙台の父 大特集!
「仙台の父?なんじゃそりゃ。」
俺は特集記事をスクロールしながら、ざっと目を通す。
仙台の父と呼ばれるその爺さんは、大物政治家や芸能人にも多くのファンを持つ占い師だが、本人の趣味で夜の街に立ち、辻占いをやっている。ただし、偏屈で気に入らない客は占わない。占いが当たると評判で、いつも行列ができているらしい。
「占い?」
「うん。僕、お手上げだからさ。オカルト頼みだよ。」
「それで?俺にどうしろっていうんだよ。」
「一宇、今夜、お休みでしょ一緒に行こうよ~。」
「ええええ。占いなんか、並んでるのも女ばっかだろ。いやだよ。恥ずかしいよ。」
ケンタロウが、がっくりと肩を落とす。
考えてみれば、こいつにはいろいろと世話になっている。バイクのパーツを盗まれた時も。洋服が必要な時も。受けた恩は必ず返す!それが俺の人生の決め事じゃなかったのか。
「わかったよ。付き合うよ。」
「ほんと?一宇!ありがとう!ありがとう!。それと、冷蔵庫に入ってる”ちょんまげサブレ”食べていい?」
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