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白鬼(びゃっき)と呼ばれる男 ②

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「もしもし、はい。私です。あの後、警察と問題はなかったですか? それは良かった。今回は大切な組員の方を亡くす結果になってしまって、本当にすみません。」

「いやいや。ワシも白(びゃく)さんから、最初あのような提案があったときは正直驚きましたわ。でも、今となってみれば、白さんの先見の明に感服しとります。」

「そう言っていただけて、安心しました。今回の商品の代金ですが全額お支払いいたしますので足のつかない安全な銀行口座をお知らせください。はい。それと、今回亡くなった組員の方々のご家族にお見舞金をお支払いしたいので、その分、少し多めに振込みさせていただきます。はい。よろしくお願いします。
次回の取引については、安全が確保できましたら、こちらから改めてご連絡差し上げます。次回の取引も今回と同じ条件で、、。はい、そうです。いざという時に処理をしても金田さんにご迷惑が掛からない方をよこしてください。はい。ありがとうございます。では、ごめんください。」

通話を終了する。金田組の組長が単純な男で良かった。あの男は自分の部下に微塵も愛情を持ってはいないようだ。
きっと見舞金として支払った分も彼の懐に入ることになるだろう。
日本の任侠道は既に死に絶えたのかもしれない。

信用できない男との取引には注意が必要だが、いざという時のために布石さえ打っておけば、彼を切り捨てるときに良心が痛まずに済む。

それにしても、いつも、白(びゃく)さんと呼ばれることには閉口する。でも、それも仕方ない。私は、彼に自分の情報を一切明かしていないのだから。


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