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決別
しおりを挟む「アーシュ君、その手を離すんだ!君は自分が何をしているのか、わかっているのか!?」
トアの髪を鷲掴みにしている俺を、ノトラが強く睨んでいる。
俺は嘲笑で返した。
「はっ、ようやく来たかノトラ。お寝んねはもう終わったのか?」
手を離してトアを蹴って転がす。
ノトラが素早く駆け寄り、彼女の肩を支えた。
「アーシュ君…どうしてこんな事をするんだ!トアさんが何をしたっていうんだ!!」
本当にわかっていなさそうなその表情。
ついに我慢の限界を迎えた俺は腹を抱えて笑い出した。
「ぷっ…あっはははは!!お前、もしかしてまだわかってねぇのか!この状況で!?」
哄笑を上げる俺を、ノトラが困惑した顔で見詰める。
トアは呆然としており、周りの冒険者達は笑っていたり苦々しく顔を歪めていたりと、三者三様の表情をしていた。
「な、何がおかしいんだ?」
「わかんねぇかノトラ。俺が姿を消したあの日、お前達は何をしていた?」
一頻り笑い終えた俺は、嘲るように2人を見下ろしてそう言った。
「あの日?…って…………っ!?」
約1週間前の事を思い浮かべていたのだろう、ノトラの顔が突然驚愕に歪む。
トアも同時に目を見開いた。
「まさ…か……君は……」
恐る恐るといった様子のノトラを見て、俺はまた笑いがこみ上げた。
「ふっ…ひひ……ようやくわかったかよ。勘の悪い奴らだなおい。」
「そ、そんな……でもあの日、君は帰って来なかったじゃないか!!」
「そりゃ、あんなもん見せられてノコノコ帰れるわけねぇだろ?お邪魔しちゃ悪いしよぉ。」
周囲から嘲笑が聞こえてくる。
「ちょいと早く帰ってみれば彼女が他の男に抱かれてるなんざ、トラウマもんだぜ。どうしてくれんだよヤリチン野郎。」
「なっ、だ、誰が!」
「お前以外にいねぇだろ。人の女誑かしやがって。」
「あ、アーシュ君…それは!!」
「それは…何だよ?弁明があるなら聞くぜ、ヤリマン女。そいつ以外にも股開いてきたのか?」
「っ!?」
トアが絶句する。
「いくらなんでもあんまりだ!」
「ノトラ、てめぇがそんな事言えた義理か?あんまりなのはてめぇらの方だろうが。それとも、自分達は何も悪い事をしてねぇとでも言うつもりか?」
「そ、それは……」
「どうなんだよトア?今まで散々甘い顔しておいて、俺を裏切って楽しかったか?本当はちょうど良い男避けくらいにしか思ってなかったんじゃねぇのか?」
「ち、違う!そんな事ないよ!!」
「ならあの日のあれは間違いだったってか?お前はこのクソ野郎に騙されたか無理矢理犯されただけで、本当は嫌だったってのか?」
「それ…は………」
涙を流したトアがノトラを見る。
2人の目が合い、トアの目に光が灯った。
「…め……さい」
「あ?」
あぁ…ちくしょう
「ごめ…なさい……ごめんなさい…アーシュ君……」
「…………」
聞きたくねぇなぁ
「わた…私は………私は、ノトラさんが…好き…なの……」
「まだ会って少ししか経ってないけど……」
「いつの間にか……好きになってた。」
「とっても優しくて……頼もしくて……強くて……」
「私の中で、アーシュ君がどんどん小さくなって………」
「トア……さん…」
ノトラの瞳が揺れている。
「だから………ごめんなさい、アーシュ君。」
彼女の瞳に、躊躇いはなかった。
「………そうか。」
あぁ、そうだよな。
それで良い……それで良いんだ。
これで………
心置きなくやれる。
トアの髪を鷲掴みにしている俺を、ノトラが強く睨んでいる。
俺は嘲笑で返した。
「はっ、ようやく来たかノトラ。お寝んねはもう終わったのか?」
手を離してトアを蹴って転がす。
ノトラが素早く駆け寄り、彼女の肩を支えた。
「アーシュ君…どうしてこんな事をするんだ!トアさんが何をしたっていうんだ!!」
本当にわかっていなさそうなその表情。
ついに我慢の限界を迎えた俺は腹を抱えて笑い出した。
「ぷっ…あっはははは!!お前、もしかしてまだわかってねぇのか!この状況で!?」
哄笑を上げる俺を、ノトラが困惑した顔で見詰める。
トアは呆然としており、周りの冒険者達は笑っていたり苦々しく顔を歪めていたりと、三者三様の表情をしていた。
「な、何がおかしいんだ?」
「わかんねぇかノトラ。俺が姿を消したあの日、お前達は何をしていた?」
一頻り笑い終えた俺は、嘲るように2人を見下ろしてそう言った。
「あの日?…って…………っ!?」
約1週間前の事を思い浮かべていたのだろう、ノトラの顔が突然驚愕に歪む。
トアも同時に目を見開いた。
「まさ…か……君は……」
恐る恐るといった様子のノトラを見て、俺はまた笑いがこみ上げた。
「ふっ…ひひ……ようやくわかったかよ。勘の悪い奴らだなおい。」
「そ、そんな……でもあの日、君は帰って来なかったじゃないか!!」
「そりゃ、あんなもん見せられてノコノコ帰れるわけねぇだろ?お邪魔しちゃ悪いしよぉ。」
周囲から嘲笑が聞こえてくる。
「ちょいと早く帰ってみれば彼女が他の男に抱かれてるなんざ、トラウマもんだぜ。どうしてくれんだよヤリチン野郎。」
「なっ、だ、誰が!」
「お前以外にいねぇだろ。人の女誑かしやがって。」
「あ、アーシュ君…それは!!」
「それは…何だよ?弁明があるなら聞くぜ、ヤリマン女。そいつ以外にも股開いてきたのか?」
「っ!?」
トアが絶句する。
「いくらなんでもあんまりだ!」
「ノトラ、てめぇがそんな事言えた義理か?あんまりなのはてめぇらの方だろうが。それとも、自分達は何も悪い事をしてねぇとでも言うつもりか?」
「そ、それは……」
「どうなんだよトア?今まで散々甘い顔しておいて、俺を裏切って楽しかったか?本当はちょうど良い男避けくらいにしか思ってなかったんじゃねぇのか?」
「ち、違う!そんな事ないよ!!」
「ならあの日のあれは間違いだったってか?お前はこのクソ野郎に騙されたか無理矢理犯されただけで、本当は嫌だったってのか?」
「それ…は………」
涙を流したトアがノトラを見る。
2人の目が合い、トアの目に光が灯った。
「…め……さい」
「あ?」
あぁ…ちくしょう
「ごめ…なさい……ごめんなさい…アーシュ君……」
「…………」
聞きたくねぇなぁ
「わた…私は………私は、ノトラさんが…好き…なの……」
「まだ会って少ししか経ってないけど……」
「いつの間にか……好きになってた。」
「とっても優しくて……頼もしくて……強くて……」
「私の中で、アーシュ君がどんどん小さくなって………」
「トア……さん…」
ノトラの瞳が揺れている。
「だから………ごめんなさい、アーシュ君。」
彼女の瞳に、躊躇いはなかった。
「………そうか。」
あぁ、そうだよな。
それで良い……それで良いんだ。
これで………
心置きなくやれる。
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