3 / 4
2 意味も目的も謎のまま
しおりを挟む
あいつに妹なんていただろうか。聞いたことがない。雪は相変わらずまっすぐと降り注いでいる。
「にゃーはにゃんでか知らにゃいけど、君たちに呼び出されたにゃん」
「いや、俺はお前みたいなやつ呼び出した記憶もないし、だいたい宇梨に妹がいることすら知らなかったんだぞ?」
「だぁかぁらぁー!君『たち』って言っただろう?君じゃにゃくて君と一緒にいた男の人に呼び出されたんだにゃ」
「あ、その可能性もあるのね……」
俺は少し肩の力を抜いて、ため息をついた。
「なんだか知らないけど、とりあえず一階にある電源の場所へ行かせてくれ。ここくっそ寒いわ!」
ほんとにさっきから体が震えだしている。鳥肌なんてとっくのとうに全身鳥になっていた。そんなわけで瑠猪の脇を通ろうとすると、彼女が首を振って俺の服を引っ張った。
「なんだよ」
「この世界に電気はにゃいよ。残り46人、いや、にゃーを除いた45人と戦って、体をあっためるしかにゃいね」
なんてことを言いやがる。こんな所にいたら凍え死ぬだけというわけか。
「つまり、どうすりゃいいんだ?おまえはどれだけ知ってんだよ」
「さぁねぇ。にゃーが知ってることをすべて話すより、君が知らにゃいことをすべて聞く方が効率がいいんじゃにゃいかにゃ?」
た、確かに。つまり質問しろというわけだ。自分の状況を把握するには最もいい機会ではないか。
「わかった、じゃあとりあえず中入れ」
「はいよー!おっじゃましまぁーすっ!」
俺が言うと、瑠猪は元気よく、それこそ猫のように駆け込んできた。犬のように尻尾を振りながら。
自分の部屋には宇梨も入れたことがない。なかなか恥ずかしかったのだ。そう考えると、初めて招き入れたのがこの猫耳幼女ということになる。
はぁー……俺はまたため息をついた。
なんかお茶でも出すか、と思ったが、電気ケトルは使えないままだ。冷蔵庫も覗いてみれば、電源がついていない。冷凍庫ではアイスがドロドロに溶けていた。
「じゃあ質問させてもらおうか……」
結局手ぶらで戻り、ちゃぶ台で瑠猪と対面する。
「にゃんにゃりと」
「まず、昨日の夜。俺らに何があった」
ふむふむと自分の耳を触りながら、瑠猪は答える。
「昨日の夜はね、君はよくわかんにゃい男の人たちに連れてかれたんだよ。それでこの世界に送り込まれたのさ。宇梨ちゃんもその人たちに連れてかれたけど、こっちの世界には来てにゃいみたいだね。にゃんでかわかんにゃいけど、にゃーはそれだけは知ってるんだよね」
「その男の人たちって誰だ?」
「それはにゃーにもわかんにゃいにゃ」
うぅ。つい嫌な顔をしてしまう。別の質問に移すか。
「じゃあ次にお前は本当に宇梨の妹か?」
「当たり前だにゃ」
「じゃあ何でお前は全ての都道府県の彼氏代わりになれるんだ?性別も違うしこんな危ないことさせられるなんて」
「だからわかんにゃいってば!にゃーは君と同じでその男の人たちに連れてこられたんだから!」
イライラしているようだ。
「ちなみに儀式っていうのは??」
「うーん……にゃんか、日本全国から人質が必要だとか、それくらいしかわかんにゃいにゃ。儀式の意味とかはさっぱり」
「うーん……じゃああとお前のその喋り方と格好!!!!なんなんだよ!!人じゃねーじゃんか!!」
「目が覚めたらここにいたんだってば!!!!喋り方はにゃんかそれっぽく話してるだけだよ!!!!」
誰もいないであろうアパートで、静かな部屋に怒鳴り声が響き合う。少し落ち着いてから俺は口を開く。
「とりあえず、お前の情報が役に立たないことがわかった」
「失礼だにゃあ。全く」
すると瑠猪は、床に横になって寝始めた。しばらくの沈黙。その沈黙を破ったのは、瑠猪の呟きだった。
「まぁ、にゃーはずっとこの世界にいる気がするんだけどね……にゃんでだろ。現実世界での記憶が一切おもいだせにゃいんだ。宇梨ちゃんの妹だったことしか……」
「……」
こいつにもなんか色々と事情があるんだろうか……。俺は彼女を睨みつける。その時だった。
外で銃声が聞こえた。
「にゃーはにゃんでか知らにゃいけど、君たちに呼び出されたにゃん」
「いや、俺はお前みたいなやつ呼び出した記憶もないし、だいたい宇梨に妹がいることすら知らなかったんだぞ?」
「だぁかぁらぁー!君『たち』って言っただろう?君じゃにゃくて君と一緒にいた男の人に呼び出されたんだにゃ」
「あ、その可能性もあるのね……」
俺は少し肩の力を抜いて、ため息をついた。
「なんだか知らないけど、とりあえず一階にある電源の場所へ行かせてくれ。ここくっそ寒いわ!」
ほんとにさっきから体が震えだしている。鳥肌なんてとっくのとうに全身鳥になっていた。そんなわけで瑠猪の脇を通ろうとすると、彼女が首を振って俺の服を引っ張った。
「なんだよ」
「この世界に電気はにゃいよ。残り46人、いや、にゃーを除いた45人と戦って、体をあっためるしかにゃいね」
なんてことを言いやがる。こんな所にいたら凍え死ぬだけというわけか。
「つまり、どうすりゃいいんだ?おまえはどれだけ知ってんだよ」
「さぁねぇ。にゃーが知ってることをすべて話すより、君が知らにゃいことをすべて聞く方が効率がいいんじゃにゃいかにゃ?」
た、確かに。つまり質問しろというわけだ。自分の状況を把握するには最もいい機会ではないか。
「わかった、じゃあとりあえず中入れ」
「はいよー!おっじゃましまぁーすっ!」
俺が言うと、瑠猪は元気よく、それこそ猫のように駆け込んできた。犬のように尻尾を振りながら。
自分の部屋には宇梨も入れたことがない。なかなか恥ずかしかったのだ。そう考えると、初めて招き入れたのがこの猫耳幼女ということになる。
はぁー……俺はまたため息をついた。
なんかお茶でも出すか、と思ったが、電気ケトルは使えないままだ。冷蔵庫も覗いてみれば、電源がついていない。冷凍庫ではアイスがドロドロに溶けていた。
「じゃあ質問させてもらおうか……」
結局手ぶらで戻り、ちゃぶ台で瑠猪と対面する。
「にゃんにゃりと」
「まず、昨日の夜。俺らに何があった」
ふむふむと自分の耳を触りながら、瑠猪は答える。
「昨日の夜はね、君はよくわかんにゃい男の人たちに連れてかれたんだよ。それでこの世界に送り込まれたのさ。宇梨ちゃんもその人たちに連れてかれたけど、こっちの世界には来てにゃいみたいだね。にゃんでかわかんにゃいけど、にゃーはそれだけは知ってるんだよね」
「その男の人たちって誰だ?」
「それはにゃーにもわかんにゃいにゃ」
うぅ。つい嫌な顔をしてしまう。別の質問に移すか。
「じゃあ次にお前は本当に宇梨の妹か?」
「当たり前だにゃ」
「じゃあ何でお前は全ての都道府県の彼氏代わりになれるんだ?性別も違うしこんな危ないことさせられるなんて」
「だからわかんにゃいってば!にゃーは君と同じでその男の人たちに連れてこられたんだから!」
イライラしているようだ。
「ちなみに儀式っていうのは??」
「うーん……にゃんか、日本全国から人質が必要だとか、それくらいしかわかんにゃいにゃ。儀式の意味とかはさっぱり」
「うーん……じゃああとお前のその喋り方と格好!!!!なんなんだよ!!人じゃねーじゃんか!!」
「目が覚めたらここにいたんだってば!!!!喋り方はにゃんかそれっぽく話してるだけだよ!!!!」
誰もいないであろうアパートで、静かな部屋に怒鳴り声が響き合う。少し落ち着いてから俺は口を開く。
「とりあえず、お前の情報が役に立たないことがわかった」
「失礼だにゃあ。全く」
すると瑠猪は、床に横になって寝始めた。しばらくの沈黙。その沈黙を破ったのは、瑠猪の呟きだった。
「まぁ、にゃーはずっとこの世界にいる気がするんだけどね……にゃんでだろ。現実世界での記憶が一切おもいだせにゃいんだ。宇梨ちゃんの妹だったことしか……」
「……」
こいつにもなんか色々と事情があるんだろうか……。俺は彼女を睨みつける。その時だった。
外で銃声が聞こえた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
前世の記憶から引き出された真実
ゆきもと けい
ミステリー
前世の記憶があるという少年。事故で亡くなったという前世の記憶。それは本当なのか、確認する為に旅行に出た親子だが、その真実を知った時、本当の恐怖が始まることになる。
どんでん返し
あいうら
ミステリー
「1話完結」~最後の1行で衝撃が走る短編集~
ようやく子どもに恵まれた主人公は、家族でキャンプに来ていた。そこで偶然遭遇したのは、彼が閑職に追いやったかつての部下だった。なぜかファミリー用のテントに1人で宿泊する部下に違和感を覚えるが…
(「薪」より)
変な屋敷 ~悪役令嬢を育てた部屋~
aihara
ミステリー
侯爵家の変わり者次女・ヴィッツ・ロードンは博物館で建築物史の学術研究院をしている。
ある日彼女のもとに、婚約者とともに王都でタウンハウスを探している妹・ヤマカ・ロードンが「この屋敷とてもいいんだけど、変な部屋があるの…」と相談を持ち掛けてきた。
とある作品リスペクトの謎解きストーリー。
本編9話(プロローグ含む)、閑話1話の全10話です。
蠍の舌─アル・ギーラ─
希彗まゆ
ミステリー
……三十九。三十八、三十七
結珂の通う高校で、人が殺された。
もしかしたら、自分の大事な友だちが関わっているかもしれない。
調べていくうちに、やがて結珂は哀しい真実を知ることになる──。
双子の因縁の物語。
あやかしがくえん
橋真和高
ミステリー
妖怪、妖、幽霊、怪異、魑魅魍魎、悪魔、それらを人は総じて「バケモノ」と呼ぶ。
これはそんなバケモノが跋扈する世界で、悪魔の心臓を身に宿した少年夜神吉良《やがみきら》が様々なバケモノと行き遭う物語だ。
そして。
個性豊かなヒロインたちとミステリーでコメディーなお話だ。
消された過去と消えた宝石
志波 連
ミステリー
大富豪斎藤雅也のコレクション、ピンクダイヤモンドのペンダント『女神の涙』が消えた。
刑事伊藤大吉と藤田建造は、現場検証を行うが手掛かりは出てこなかった。
後妻の小夜子は、心臓病により車椅子生活となった当主をよく支え、二人の仲は良い。
宝石コレクションの隠し場所は使用人たちも知らず、知っているのは当主と妻の小夜子だけ。
しかし夫の体を慮った妻は、この一年一度も外出をしていない事は確認できている。
しかも事件当日の朝、日課だったコレクションの確認を行った雅也によって、宝石はあったと証言されている。
最後の確認から盗難までの間に人の出入りは無く、使用人たちも徹底的に調べられたが何も出てこない。
消えた宝石はどこに?
手掛かりを掴めないまま街を彷徨っていた伊藤刑事は、偶然立ち寄った画廊で衝撃的な事実を発見し、斬新な仮説を立てる。
他サイトにも掲載しています。
R15は保険です。
表紙は写真ACの作品を使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる