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2 意味も目的も謎のまま

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 あいつに妹なんていただろうか。聞いたことがない。雪は相変わらずまっすぐと降り注いでいる。

 「にゃーはにゃんでか知らにゃいけど、君たちに呼び出されたにゃん」

 「いや、俺はお前みたいなやつ呼び出した記憶もないし、だいたい宇梨に妹がいることすら知らなかったんだぞ?」

 「だぁかぁらぁー!君『たち』って言っただろう?君じゃにゃくて君と一緒にいた男の人に呼び出されたんだにゃ」

 「あ、その可能性もあるのね……」

 俺は少し肩の力を抜いて、ため息をついた。

 「なんだか知らないけど、とりあえず一階にある電源の場所へ行かせてくれ。ここくっそ寒いわ!」

 ほんとにさっきから体が震えだしている。鳥肌なんてとっくのとうに全身鳥になっていた。そんなわけで瑠猪の脇を通ろうとすると、彼女が首を振って俺の服を引っ張った。

 「なんだよ」

 「この世界に電気はにゃいよ。残り46人、いや、にゃーを除いた45人と戦って、体をあっためるしかにゃいね」

 なんてことを言いやがる。こんな所にいたら凍え死ぬだけというわけか。

 「つまり、どうすりゃいいんだ?おまえはどれだけ知ってんだよ」

 「さぁねぇ。にゃーが知ってることをすべて話すより、君が知らにゃいことをすべて聞く方が効率がいいんじゃにゃいかにゃ?」

 た、確かに。つまり質問しろというわけだ。自分の状況を把握するには最もいい機会ではないか。

 「わかった、じゃあとりあえず中入れ」

 「はいよー!おっじゃましまぁーすっ!」

 俺が言うと、瑠猪は元気よく、それこそ猫のように駆け込んできた。犬のように尻尾を振りながら。

 自分の部屋には宇梨も入れたことがない。なかなか恥ずかしかったのだ。そう考えると、初めて招き入れたのがこの猫耳幼女ということになる。

 はぁー……俺はまたため息をついた。

 なんかお茶でも出すか、と思ったが、電気ケトルは使えないままだ。冷蔵庫も覗いてみれば、電源がついていない。冷凍庫ではアイスがドロドロに溶けていた。

 「じゃあ質問させてもらおうか……」

 結局手ぶらで戻り、ちゃぶ台で瑠猪と対面する。

 「にゃんにゃりと」

 「まず、昨日の夜。俺らに何があった」

 ふむふむと自分の耳を触りながら、瑠猪は答える。

 「昨日の夜はね、君はよくわかんにゃい男の人たちに連れてかれたんだよ。それでこの世界に送り込まれたのさ。宇梨ちゃんもその人たちに連れてかれたけど、こっちの世界には来てにゃいみたいだね。にゃんでかわかんにゃいけど、にゃーはそれだけは知ってるんだよね」

 「その男の人たちって誰だ?」

 「それはにゃーにもわかんにゃいにゃ」

 うぅ。つい嫌な顔をしてしまう。別の質問に移すか。

 「じゃあ次にお前は本当に宇梨の妹か?」

 「当たり前だにゃ」

 「じゃあ何でお前は全ての都道府県の彼氏代わりになれるんだ?性別も違うしこんな危ないことさせられるなんて」

 「だからわかんにゃいってば!にゃーは君と同じでその男の人たちに連れてこられたんだから!」

 イライラしているようだ。

 「ちなみに儀式っていうのは??」

 「うーん……にゃんか、日本全国から人質が必要だとか、それくらいしかわかんにゃいにゃ。儀式の意味とかはさっぱり」

 「うーん……じゃああとお前のその喋り方と格好!!!!なんなんだよ!!人じゃねーじゃんか!!」

 「目が覚めたらここにいたんだってば!!!!喋り方はにゃんかそれっぽく話してるだけだよ!!!!」

 誰もいないであろうアパートで、静かな部屋に怒鳴り声が響き合う。少し落ち着いてから俺は口を開く。

 「とりあえず、お前の情報が役に立たないことがわかった」

 「失礼だにゃあ。全く」

 すると瑠猪は、床に横になって寝始めた。しばらくの沈黙。その沈黙を破ったのは、瑠猪の呟きだった。

 「まぁ、にゃーはずっとこの世界にいる気がするんだけどね……にゃんでだろ。現実世界での記憶が一切おもいだせにゃいんだ。宇梨ちゃんの妹だったことしか……」

 「……」

 こいつにもなんか色々と事情があるんだろうか……。俺は彼女を睨みつける。その時だった。

 外で銃声が聞こえた。


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