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18話「溢れる光」
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色々な事が重なって、ずーんと重くなってしまった気分を感じながら、瑞輝は魔力の方へと進む。
こういった繁華街は、夜になるとそこらじゅうで明かりが付き、かえって昼間よりも明るく感じる。あちらの世界で夜の静けさを体験すると、なおの事、賑やかに思える。
「こっち……なのか……?」
魔力はそんな繁華街から少し外れた位置にあるみたいだ。瑞輝は魔力を目指し、横道へと逸れた。
「ほおー、こっちに行くのか。何見たんだ、お前」
「な、なんか暗い所に来たわね……」
ティムと空来の二人がきょろきょろとしながら、それぞれ感じたことを心のままに言っている。
「しかし、気になる事って……怪しい店でも見つけたんじゃないのか?」
「そ、そんなんじゃないよ!」
なにやら妙な疑惑が飛び出そうになったので、瑞輝は慌てて否定した。
「でも、やっぱり、一人で来なくて正解だよ。男子だって、こんな所、一人で歩いたら危なそうだもの」
「そうだな。だが、ま、暴漢が来たところで、ボクと瑞輝が居るんだ。心配ないさ。むしろ、面白い」
ティムが拳をボキボキと鳴らし始めた。それを見た空来も苦笑いをするしかない。
「あはは……ティムちゃんが付いてると、頼もしいわ」
「僕はティムみたいに喧嘩強くないよ」
「どうかな? お前の眼光、たまにボクさえ怖いと思う時があるからな。どんな修羅場をくぐってきたのかは分からないが、いつかは手合わせ願いたいもんだ」
「……だから、そんな事もないし、喧嘩も強くないって」
こっちの世界に戻ってきてから、ティムはやたらと瑞輝に、今のようなことを言ってくる。瑞輝はそれを言われる度に困惑するが、上手い言い訳も思いつかないので、結局、ただ否定することしかできない。
「う……」
瑞輝は思わず足を止めた。この曲がり角を曲がった所に何か居ると確信したからだ。それはかなり強力な魔力を纏っていて……なんだか邪悪というか、不吉な感じを受ける。
「どうした? この先に何かあるのか?」
ティムが平然と先に進もうとしたので、瑞輝はティムの肩を抑えてそれを止めた。
「待って!」
緊迫した瑞輝の叫びが、夜の静まりきった裏道に響く。瑞輝は分かっているのだ。これほど強大な魔力の持ち主には、いくらティムでも勝ち目は無い。
ティムはイミッテではない。腕力が強くて喧嘩が得意だが、魔法に関しての知識は無い。もし相手が魔法を使ってきたりしたら、それに対応できるのだろうか。
もし対応できたとしても、これほどまでに強い魔力を纏っている何かを、果たして相手にできるのか。
「逃げよう。危ないよ」
強い魔力を持つ誰かに気付かれないように、そっとティムに声をかける。
「逃げる? 冗談!」
だが、その一言が、逆にティムに火をつけてしまった。ティムは突如走りだす。
「ティム!」
「面白い。うおぉぉ!」
ティムが前に跳躍して、瑞輝の視界から消えた。
「ティ……ティム!」
恐らく、ティムは魔力を纏った何かとの距離を縮めただけなのだろう。しかし、ここはT字路なので、視界が狭い上に、ティムの身体能力は異常だ。二度ほど跳躍を繰り返しただけで、左の通路へと消えてしまったのだ。
「何だ……こいつは……」
瑞輝の生死を振り切り、T字路の先で怪物を見たティムは、たじろいだ。これは普通の人間ではない。いや……あらゆる生物と一線を画している存在だ。
「ティムーっ!」
ティムが殺される。目の前のT字路の先へと消えたティムが、どんな様子になっているのかは分からない。しかし……いい予感は全くしない。
「こいつっ……このおっ!」
次の瞬間、瑞輝はティムの狼狽した声を聞いた。やはり、予期せぬ事が起きている。そうに違いない。ティムが危ない。
「空来さんは、ここで待ってて! ティムーっ!」
瑞輝がティムの方へと駆ける。が、瑞輝がティムの姿を捉えるより先に、ティムの悲鳴が一帯にこだました。
「うあぁぁぁぁぁぁ!」
悲痛な叫びに瑞輝は顔をしかめた。分かっていたのに……分かっていたのに止められなかった。分かっていたのに守れなかった。
「あ……」
T字路の突き当りで左に向いた瑞輝は、異様な光景を目にすることになった。目の前に立っているのは正体不明の怪物だ。頭は細長い骸骨に、他はボロボロの紺のローブに包まれているが……中は見えない。
「う……ぐ……」
瑞輝は、目の前の存在を目の当たりにして、圧倒されていた。体は硬直し、動こうとしても動かず、ただ力むばかりだ。それは怪物の干渉によってではない。怪物によって気圧された瑞輝の心が、怪物に向かっていくことを拒んでいるのだ。これほどの魔力を体から溢れさせ、ティムがたじろぐほどの相手。そんなの相手に自分が加勢したところで、何ができるだろうか。
……しかし、瑞輝の頭には、さっきのティムの叫び声が何度も聞こえていた。
「うあぁぁぁぁぁぁ!」
そして、その叫びは、瑞輝の頭の中に繰り返されれば繰り返されるほど大きくなっていった。
「う……うあぁぁぁぁ! ティム!」
凄まじい威圧感を放つ魔力を纏った怪物に恐れをなしている感情を、頭の中に響く声と同じように、自らも大声を出すことで無理矢理に振り払い、ティムの所へと駆けた。
「ああ……」
T字路を曲がった途端に瑞輝の目に飛び込んできたのは絶望的な光景だった。ティムの体は地に伏していて、そこからは大量の血が流れている。生きているか死んでいるかは、暗くてよく分からない。
「そんな……あ……ひぃ……」
瑞輝が魔力を持った怪物に注意を戻すと、凄まじい魔力を帯びた怪物は、いつの間にか瑞輝の目の前に近付いていた。そして、怪物は既に、大きな鎌を振り上げて、今にも瑞輝に向けて振り下ろそうとしていた。
瑞輝の心臓は激しく鼓動を始め、冷や汗の嫌な感じが全身を支配し、体全体の力が抜け――いつの間にやら尻餅もついている。
「あ……い……嫌だ……ティム……あ……う……うあ……うあぁぁぁぁぁ!」
怪物がティムではなく、こちらに向かって鎌を振り上げている。ということは、自分が犠牲になれば、ティムは救われるということなのか? いや……もしかしたら、ティムは既に死んでいるということなのかもしれない。ティムが死んでいるから、もうティムには危害を加えないということなのかもしれない。ティムが……。
瑞輝の頭は真っ白になり、体からは熱を感じる。体が……途轍もなく熱い。瑞輝の真の姿は、ティムや空来には見られてはいけないのに、自分の中の魔力が抑えられない。
体が女の子になっていくのを感じる。きっと、髪もピンク色に戻っている。
「うぐ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
いや……抑えてはいけないのかもしれない。この怪物を追い払ってティムを助けるためには、魔法を使うしかない。それには、自分の中の魔力を暴走させれば、どうにかなるかもしれない。他にも方法はあるかもしれないが、それしか思いつかないのだ。隠している場合じゃない。
「うおぉぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
あの怪物が持っている黒い魔力を掻き消すには、何の魔法が有効なのか……いや、それを考えている暇は無い。この溢れる魔力を相手にぶつける。それだけだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
瑞輝の体から光が溢れ、瑞輝はは自らが発した強烈な光に包まれていった。
こういった繁華街は、夜になるとそこらじゅうで明かりが付き、かえって昼間よりも明るく感じる。あちらの世界で夜の静けさを体験すると、なおの事、賑やかに思える。
「こっち……なのか……?」
魔力はそんな繁華街から少し外れた位置にあるみたいだ。瑞輝は魔力を目指し、横道へと逸れた。
「ほおー、こっちに行くのか。何見たんだ、お前」
「な、なんか暗い所に来たわね……」
ティムと空来の二人がきょろきょろとしながら、それぞれ感じたことを心のままに言っている。
「しかし、気になる事って……怪しい店でも見つけたんじゃないのか?」
「そ、そんなんじゃないよ!」
なにやら妙な疑惑が飛び出そうになったので、瑞輝は慌てて否定した。
「でも、やっぱり、一人で来なくて正解だよ。男子だって、こんな所、一人で歩いたら危なそうだもの」
「そうだな。だが、ま、暴漢が来たところで、ボクと瑞輝が居るんだ。心配ないさ。むしろ、面白い」
ティムが拳をボキボキと鳴らし始めた。それを見た空来も苦笑いをするしかない。
「あはは……ティムちゃんが付いてると、頼もしいわ」
「僕はティムみたいに喧嘩強くないよ」
「どうかな? お前の眼光、たまにボクさえ怖いと思う時があるからな。どんな修羅場をくぐってきたのかは分からないが、いつかは手合わせ願いたいもんだ」
「……だから、そんな事もないし、喧嘩も強くないって」
こっちの世界に戻ってきてから、ティムはやたらと瑞輝に、今のようなことを言ってくる。瑞輝はそれを言われる度に困惑するが、上手い言い訳も思いつかないので、結局、ただ否定することしかできない。
「う……」
瑞輝は思わず足を止めた。この曲がり角を曲がった所に何か居ると確信したからだ。それはかなり強力な魔力を纏っていて……なんだか邪悪というか、不吉な感じを受ける。
「どうした? この先に何かあるのか?」
ティムが平然と先に進もうとしたので、瑞輝はティムの肩を抑えてそれを止めた。
「待って!」
緊迫した瑞輝の叫びが、夜の静まりきった裏道に響く。瑞輝は分かっているのだ。これほど強大な魔力の持ち主には、いくらティムでも勝ち目は無い。
ティムはイミッテではない。腕力が強くて喧嘩が得意だが、魔法に関しての知識は無い。もし相手が魔法を使ってきたりしたら、それに対応できるのだろうか。
もし対応できたとしても、これほどまでに強い魔力を纏っている何かを、果たして相手にできるのか。
「逃げよう。危ないよ」
強い魔力を持つ誰かに気付かれないように、そっとティムに声をかける。
「逃げる? 冗談!」
だが、その一言が、逆にティムに火をつけてしまった。ティムは突如走りだす。
「ティム!」
「面白い。うおぉぉ!」
ティムが前に跳躍して、瑞輝の視界から消えた。
「ティ……ティム!」
恐らく、ティムは魔力を纏った何かとの距離を縮めただけなのだろう。しかし、ここはT字路なので、視界が狭い上に、ティムの身体能力は異常だ。二度ほど跳躍を繰り返しただけで、左の通路へと消えてしまったのだ。
「何だ……こいつは……」
瑞輝の生死を振り切り、T字路の先で怪物を見たティムは、たじろいだ。これは普通の人間ではない。いや……あらゆる生物と一線を画している存在だ。
「ティムーっ!」
ティムが殺される。目の前のT字路の先へと消えたティムが、どんな様子になっているのかは分からない。しかし……いい予感は全くしない。
「こいつっ……このおっ!」
次の瞬間、瑞輝はティムの狼狽した声を聞いた。やはり、予期せぬ事が起きている。そうに違いない。ティムが危ない。
「空来さんは、ここで待ってて! ティムーっ!」
瑞輝がティムの方へと駆ける。が、瑞輝がティムの姿を捉えるより先に、ティムの悲鳴が一帯にこだました。
「うあぁぁぁぁぁぁ!」
悲痛な叫びに瑞輝は顔をしかめた。分かっていたのに……分かっていたのに止められなかった。分かっていたのに守れなかった。
「あ……」
T字路の突き当りで左に向いた瑞輝は、異様な光景を目にすることになった。目の前に立っているのは正体不明の怪物だ。頭は細長い骸骨に、他はボロボロの紺のローブに包まれているが……中は見えない。
「う……ぐ……」
瑞輝は、目の前の存在を目の当たりにして、圧倒されていた。体は硬直し、動こうとしても動かず、ただ力むばかりだ。それは怪物の干渉によってではない。怪物によって気圧された瑞輝の心が、怪物に向かっていくことを拒んでいるのだ。これほどの魔力を体から溢れさせ、ティムがたじろぐほどの相手。そんなの相手に自分が加勢したところで、何ができるだろうか。
……しかし、瑞輝の頭には、さっきのティムの叫び声が何度も聞こえていた。
「うあぁぁぁぁぁぁ!」
そして、その叫びは、瑞輝の頭の中に繰り返されれば繰り返されるほど大きくなっていった。
「う……うあぁぁぁぁ! ティム!」
凄まじい威圧感を放つ魔力を纏った怪物に恐れをなしている感情を、頭の中に響く声と同じように、自らも大声を出すことで無理矢理に振り払い、ティムの所へと駆けた。
「ああ……」
T字路を曲がった途端に瑞輝の目に飛び込んできたのは絶望的な光景だった。ティムの体は地に伏していて、そこからは大量の血が流れている。生きているか死んでいるかは、暗くてよく分からない。
「そんな……あ……ひぃ……」
瑞輝が魔力を持った怪物に注意を戻すと、凄まじい魔力を帯びた怪物は、いつの間にか瑞輝の目の前に近付いていた。そして、怪物は既に、大きな鎌を振り上げて、今にも瑞輝に向けて振り下ろそうとしていた。
瑞輝の心臓は激しく鼓動を始め、冷や汗の嫌な感じが全身を支配し、体全体の力が抜け――いつの間にやら尻餅もついている。
「あ……い……嫌だ……ティム……あ……う……うあ……うあぁぁぁぁぁ!」
怪物がティムではなく、こちらに向かって鎌を振り上げている。ということは、自分が犠牲になれば、ティムは救われるということなのか? いや……もしかしたら、ティムは既に死んでいるということなのかもしれない。ティムが死んでいるから、もうティムには危害を加えないということなのかもしれない。ティムが……。
瑞輝の頭は真っ白になり、体からは熱を感じる。体が……途轍もなく熱い。瑞輝の真の姿は、ティムや空来には見られてはいけないのに、自分の中の魔力が抑えられない。
体が女の子になっていくのを感じる。きっと、髪もピンク色に戻っている。
「うぐ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
いや……抑えてはいけないのかもしれない。この怪物を追い払ってティムを助けるためには、魔法を使うしかない。それには、自分の中の魔力を暴走させれば、どうにかなるかもしれない。他にも方法はあるかもしれないが、それしか思いつかないのだ。隠している場合じゃない。
「うおぉぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
あの怪物が持っている黒い魔力を掻き消すには、何の魔法が有効なのか……いや、それを考えている暇は無い。この溢れる魔力を相手にぶつける。それだけだ。
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