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出会い
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ある日
店を父から受け継いだばかりの青年ブレイブは頭を抱えていた
主な原因は商品の仕入れについてだ
今までの商品自体は父の手腕で格安で仕入れていたものも多く
その息子が跡を継いでからというものの今までの仕返しとばかりに
高額な取引を吹っ掛けられてしまっていたのだ
たとえ素材を仕入れられたといっても、人によっては加工済みのものを求めることもある
そのための加工屋等も若い商人であるブレイブの足元を見て
通常の値段よりも高い値段を指定して取引を持ちかけてくるのだ
もう一つ、ブレイブが頭を悩ませていたのは村の各地で商売を始める人間が多くなったという事だ
何やら世界が魔王の危機に晒されるとか
そのために勇者たちが世界を旅しているとかの話が流れ
これはチャンスと皆こぞってビジネスを立ち上げ始めたのだ
そうすると、最新の物を大量に売りさばける場所が有利になる
村の片隅でほそぼそと商売をしていたブレイブの家は
どんどん商売が難しくなっていたのだ
頭を散々悩ませた結果、ブレイブは村の側にある洞窟に商品を調達することにした
元々、鉱石や珍しい植物が自生していることも多かったが
最近になってモンスターが出現するようになり
村人達の足もすっかり遠のいていたのだった
ブレイブは戦う術を知らない
念のため護身用にナイフを持ったものの
スライム一匹でも簡単に殺されてしまうだろう
ブレイブは覚悟を決めて、隠れながら洞窟へと進むことにした
無我夢中で何とか品物になりそうなものを集めていく
岩陰に隠れ、気配を消し、奥に進み…そうしている内に何と洞窟の最深部までたどり着いてしまった
そこには場違いなほどに豪華な扉が鎮座していた
本来ならば退散したほうがいいだろうが、帰宅の道のりや体にずっしり圧し掛かる疲労を感じると
元に戻る気にはならなくなってしまっていた
覗くだけ、ただ覗くだけ
そう思い、扉を少しだけ開くと
『そこにいるのは、誰だ』
まるで地獄のそこから響くようなおぞましい声が扉の奥から聞こえたのだ
「あの時は本気で死ぬかと思ったよ」
玉座に座るディアボロスの膝に乗り、出会いを思い出しながらブレイブはしみじみと言う
数百年の眠りについていた魔王が、まさか村の近くにいるとは思ってもみなかったのだ
『しかし、我はお前を殺さずにいる。ブレイブ、お前に出会えたことは奇跡に近い』
「俺も魔王と付き合うなんて奇跡どころの話じゃないと思う。んー、ディアボロスだから付き合えたんだろうけれど」
『そうなのか?』
「おう。…ディアボロス、何か照れてる?鎧すげえ熱い」
ディアボロスの少し火傷しそうなほどの熱い体温を感じたブレイブは
「あちち」と身を捩りながらも恋人の照れる姿に思わず顔がにやける
二人がどうして付き合うことになったのか
それはまた次のお話で
店を父から受け継いだばかりの青年ブレイブは頭を抱えていた
主な原因は商品の仕入れについてだ
今までの商品自体は父の手腕で格安で仕入れていたものも多く
その息子が跡を継いでからというものの今までの仕返しとばかりに
高額な取引を吹っ掛けられてしまっていたのだ
たとえ素材を仕入れられたといっても、人によっては加工済みのものを求めることもある
そのための加工屋等も若い商人であるブレイブの足元を見て
通常の値段よりも高い値段を指定して取引を持ちかけてくるのだ
もう一つ、ブレイブが頭を悩ませていたのは村の各地で商売を始める人間が多くなったという事だ
何やら世界が魔王の危機に晒されるとか
そのために勇者たちが世界を旅しているとかの話が流れ
これはチャンスと皆こぞってビジネスを立ち上げ始めたのだ
そうすると、最新の物を大量に売りさばける場所が有利になる
村の片隅でほそぼそと商売をしていたブレイブの家は
どんどん商売が難しくなっていたのだ
頭を散々悩ませた結果、ブレイブは村の側にある洞窟に商品を調達することにした
元々、鉱石や珍しい植物が自生していることも多かったが
最近になってモンスターが出現するようになり
村人達の足もすっかり遠のいていたのだった
ブレイブは戦う術を知らない
念のため護身用にナイフを持ったものの
スライム一匹でも簡単に殺されてしまうだろう
ブレイブは覚悟を決めて、隠れながら洞窟へと進むことにした
無我夢中で何とか品物になりそうなものを集めていく
岩陰に隠れ、気配を消し、奥に進み…そうしている内に何と洞窟の最深部までたどり着いてしまった
そこには場違いなほどに豪華な扉が鎮座していた
本来ならば退散したほうがいいだろうが、帰宅の道のりや体にずっしり圧し掛かる疲労を感じると
元に戻る気にはならなくなってしまっていた
覗くだけ、ただ覗くだけ
そう思い、扉を少しだけ開くと
『そこにいるのは、誰だ』
まるで地獄のそこから響くようなおぞましい声が扉の奥から聞こえたのだ
「あの時は本気で死ぬかと思ったよ」
玉座に座るディアボロスの膝に乗り、出会いを思い出しながらブレイブはしみじみと言う
数百年の眠りについていた魔王が、まさか村の近くにいるとは思ってもみなかったのだ
『しかし、我はお前を殺さずにいる。ブレイブ、お前に出会えたことは奇跡に近い』
「俺も魔王と付き合うなんて奇跡どころの話じゃないと思う。んー、ディアボロスだから付き合えたんだろうけれど」
『そうなのか?』
「おう。…ディアボロス、何か照れてる?鎧すげえ熱い」
ディアボロスの少し火傷しそうなほどの熱い体温を感じたブレイブは
「あちち」と身を捩りながらも恋人の照れる姿に思わず顔がにやける
二人がどうして付き合うことになったのか
それはまた次のお話で
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