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case08_一難去ってまた一難です
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公園を水晶の塊が埋め尽くす事件が起きたその翌日。
結局あの後どうしたのかと言うと、公園は放置してると返って大騒ぎになるので、自宅に帰る前に元に戻し、目立たない場所で変身解除しました。
また、一度寝て起きてもマンションは不気味な程静かで、誰も何も見ていないような状態でした。まるで、あの事件の記憶がすっぽりと抜け落ちているような。
まあ、現状では分からない事が多いので好都合だと見て何事も無いように登校したんですけどね、てへっ。
それから、私は学校を終えてすぐに、人気の少ない道路上で新たに出現した『歪曲獣』の群れの対応に追われていました。
「何で!」
今日出現したのは蜂型の『歪曲獣』軍団です。形状的に恐らくオオスズメバチモデルですねこれ。
獣という名義ですが虫型も出てくる辺り、見境無しって事でしょうか。
100は上回るであろう小型の『歪曲獣』を一体ずつ相手にするのは骨が折れるので、一度に複数体を狙えるよう、大型の物体を次々生成して叩き込みます。
ミキサー車とか軽トラックとか出せたのはびっくりしましたよ流石に。
代わりに道路がぼこぼこになってしまいますが。後で直せるとはいえやりすぎですね。
「今日はこんなに!」
ですが、大振りの割に一回で2、3体ぐらいしか倒せないので効率が悪いです。
出す物体を切り替えましょう。こういう時は虫取り網ですね。大きな腕でも十分振り回せるようとびきり大きいのを生成します。
「数が多いんですかね!」
網目の細かな網を振って2、30匹を捕まえて、網だけを分離。球体状にして閉じ込めます。
それを巨大ハンマーで叩き潰すと、軍団の4分の1を倒せました。
『奴らは人様の都合なぞお構い無しだゾ。今日はたまたま運が良かっただけデ』
「これより酷い場合があるんですね!」
最悪学校のある時や深夜早朝に出没するとか、これより大群で押し寄せてくるとかあり得るんですね。
お尻の棘を次々と飛ばして作られた弾幕を土壁を形成していなし、また網を作って数十体をまとめて捕まえ、網の球が転がる位置へ時間差で落ちてくるロードローラーをぶつけます。
これで約半数は倒せたでしょうか。
『強え個体も居るには居ル。ダから油断ならねぇんダ』
でしょうね。
そういう時は大人しく引き下がるべきでしょうが、それをみすみす許してくれるでしょうかね…。
残る半数を振る網と飛ばす網とでそれぞれ確保し、抜け出そうともがく蜂の集団に向けて、可哀想とは思いつつも巨大ハンマーを構えます。
「魔法少女って大変です…」
2回ハンマーを振るい、確かに叩き潰したのを確認し、蜂の全滅を確認します。
さて、一段落ついたところで辺りを見渡すと、酷い有様の光景が広がっています。棘の刺さっている箇所以外は私のせいなので、これではどっちが人類の敵だか分かりませんね……。
さっさと直して家に帰りましょう、などと思っていた矢先――
『危ネェ、避けロ!』
ネルベノンの警告で私は咄嗟に身を放り出します。
見えたのは一閃。辛うじて、なので警告が無ければ直撃してましたね。
向上した身体能力でバク転をし、しゃがんだ状態で一閃の通り過ぎた方向に顔を向けると新たな『歪曲獣』がそこに居ました。
豹、でしょうかあれは。豹型の金属生物もまた鋭い眼光で私を捉えてきます。
先程の蜂と比べてかなり肉体が黒くなっている気がします。
それに所々が抉れてそこから青く発光しています。あれは、傷跡でしょうか。
『来るゾ!』
私が反応するより先に豹型が動きます。は、速い。
高速で動く『歪曲獣』に対処出来ず右腕に噛み付かれました。
「くぅ…!」
肉をえぐり取ろうとする咬筋力の前に私は痛がることしか出来ませんでした。というか、凄く痛いです。血が噴き出すのでは。
見てられないと思ったのか、行動に移れない私の代わりにネルベノンが動きます。
『何、シやがルッ!』
咄嗟に大きな腕と私の腕を分離させ、ネルベノンが豹の顔を殴ります。
大きな腕の一撃は流石に応えたか、豹は大きく吹っ飛んでいき、舞い上がった砂埃で見えなくなります。
私の腕はどうなったのかと見てみると、怪我一つありません。それと、あれだけ感じていた痛みも消えていました。
ですが、ネルベノンの操る大きな腕は深く破けて、中身の一部が見えていました。
『コうすりゃダメージは俺が肩代わり出来ル。オ前は治癒と迎撃に集中しロ』
色々言いたい事はありますが、四の五の言ってる場合でも無いようです。
私は大きな腕を修復し、元に戻した上で再び装着します。
砂埃が晴れると、表面が少し凹んだ程度の豹型が距離を少しずつ詰めてきます。
「また来ますか…あれを読めと言われても無理ですね……」
目が追い付きませんし飛び込まれてからでは遅いです。せめて仕込みをしないと。
気付かれないように私は視線を豹に固定しつつ、足元の地面に網と装置を生成します。
あの事件以来、物体の生成は手からじゃなくても出来ると判明しました。
……植物型水晶に足を引っ掛けて、お腹を打った時に分かったんですけどね…。
とにかく、今回の戦いは視線を決して逸らさずこちらの動きや仕込みを読ませないのが勝負の決め手になりそうです。
罠は仕掛け終わったので、後は突っ込ませるだけです。来るなら来なさい。ただではやられませんよ。
そしてまた、豹がこちらの反応を超える速度で突っ込んできます。
私に直撃してくるまでもう半分、と言ったところで罠を起動させます。
豹を捕らえるべく、装置で進路上に網を張りました。ある程度速度の乗ったこれなら躱す手立てはありません。
私の算段通り網は豹を絡め取り、倒れた豹はもがきます。これなら、いくら速くても怖くはありません。
早速追撃を、と私は網に近付くと、その光景に唖然とします。
い、居ない。網に捕らえた筈なのに、肝心のものが――
気付いた時にはもう遅く、振り向くとそこに豹の姿が。
前足を器用に駆使した✗字の斬撃が飛んできます。ぎりぎり向き直るのには間に合いましたが防御が間に合いません。
「きゃああっ!?」
防ごうとした巨大な腕の両方が傷付き、仰け反る私に豹が再び食らいつきます。
先ほどダメージを無くせると分かったのに、分離が間に合わず、右腕に今度は更に深く牙の数々を食い込ませてきます。更に強まる痛みで思考が乱れる中、私はこの豹の狙いに気付きます。
もしや、腕の構造に気付いたのでは。大きい腕ごと私の腕を抉るつもりなんだ。分離したとして、今度は出てきた細い腕が狙われるかもしれない。だとしても、気付くのが早すぎます。学習能力が高過ぎる。
「あ、あああっ……」
そうか。これは殺し合いなんだ。
魔法少女だ何だと言って意識していませんでした。
勧善懲悪のように見えていて、その実態は魔導士と『歪曲獣』の生存競争。
初陣も直前の蜂も楽勝だったから、認識が薄れていただけ。学習能力の高い者程生き残る、自然の摂理。
この獣は一体どれだけの魔導士を屠ってきたのだろう。一人二人は疎か、十人は堅いかもしれない。
甘かった。全てにおいて甘かった。
だから、豹相手でも痛みなく戦えると、生きて逃げられると思ってしまった。
牙があと少しで届く。届いてしまう。痛い。痛い痛い痛い。反応が間に合わない。何も出来ない。誰か、助けて。私の腕が食い千切られる。食い千切られたら次は。左腕も食い千切られるかもしれない。その次は足かも。見逃してはくれない。殺されるかもしれない。いや、殺される。嬲り殺しにされてしまう。助けて。私はまだ死にたくな――
『ヨウ……』
私の視界を一瞬で暗くする巨大な影が。痛みと恐怖から目を閉じた私が恐る恐る開けると、巨大な左腕が豹の胴を鷲掴みにしていました。
それは豹の位置を固定し、腕を食い千切ろうとする牙が私の腕に届くのをぎりぎりで止めるどころか引き離していきます。
『美味かったかよ俺様の腕ハ……!!』
豹を地面に叩き付けて押さえ、私の腕をぼろぼろの右腕から分離させます。
そして、千切れかけた中身を撒き散らしつつ、その右腕で頭を殴り付けます。
『テメェのせいデ! 俺様の主ガ! 怖がったじゃねぇかヨ!』
殴打。殴打。殴打。
傷付いた者同士の凄惨な光景が目の前で繰り広げられるも、私は涙を湛えつつも目が離せませんでした。
いえ、目を離してはいけないと私に言い聞かせていたのです。
見ろ、しっかり見ろ。これが現実だ。
夢見る少女であり続けたいのなら、現実から目を背けるな。
現実からの逃避を夢などと騙るな。
本気で進む道ならあり得た未来も考慮しろ。
その未来になり得た可能性を潰せ。
豹の顔面はぐしゃぐしゃに潰れて、動かなくなります。しかし、消失を始めた訳ではありません。
『トドメはお前に譲ってやル』
左腕で抑えたまま、ネルベノンは右腕の殴打を止めて最後の一撃だけを私に譲ります。
本心ではネルベノンにやって欲しかったけれど。それでは一生後悔するような気がして。
私は自分の細い腕でも持てるようなサイズのハンマーを生成ししっかり握り締め。
「やああああぁぁ!!」
涙を振り払うように。豹の顔面を力強く殴りました。
全てが終わり、『歪曲獣』の消失した元通りの道路。その片隅で、制服姿の無傷の私は蹲って一人泣いていました。
結局あの後どうしたのかと言うと、公園は放置してると返って大騒ぎになるので、自宅に帰る前に元に戻し、目立たない場所で変身解除しました。
また、一度寝て起きてもマンションは不気味な程静かで、誰も何も見ていないような状態でした。まるで、あの事件の記憶がすっぽりと抜け落ちているような。
まあ、現状では分からない事が多いので好都合だと見て何事も無いように登校したんですけどね、てへっ。
それから、私は学校を終えてすぐに、人気の少ない道路上で新たに出現した『歪曲獣』の群れの対応に追われていました。
「何で!」
今日出現したのは蜂型の『歪曲獣』軍団です。形状的に恐らくオオスズメバチモデルですねこれ。
獣という名義ですが虫型も出てくる辺り、見境無しって事でしょうか。
100は上回るであろう小型の『歪曲獣』を一体ずつ相手にするのは骨が折れるので、一度に複数体を狙えるよう、大型の物体を次々生成して叩き込みます。
ミキサー車とか軽トラックとか出せたのはびっくりしましたよ流石に。
代わりに道路がぼこぼこになってしまいますが。後で直せるとはいえやりすぎですね。
「今日はこんなに!」
ですが、大振りの割に一回で2、3体ぐらいしか倒せないので効率が悪いです。
出す物体を切り替えましょう。こういう時は虫取り網ですね。大きな腕でも十分振り回せるようとびきり大きいのを生成します。
「数が多いんですかね!」
網目の細かな網を振って2、30匹を捕まえて、網だけを分離。球体状にして閉じ込めます。
それを巨大ハンマーで叩き潰すと、軍団の4分の1を倒せました。
『奴らは人様の都合なぞお構い無しだゾ。今日はたまたま運が良かっただけデ』
「これより酷い場合があるんですね!」
最悪学校のある時や深夜早朝に出没するとか、これより大群で押し寄せてくるとかあり得るんですね。
お尻の棘を次々と飛ばして作られた弾幕を土壁を形成していなし、また網を作って数十体をまとめて捕まえ、網の球が転がる位置へ時間差で落ちてくるロードローラーをぶつけます。
これで約半数は倒せたでしょうか。
『強え個体も居るには居ル。ダから油断ならねぇんダ』
でしょうね。
そういう時は大人しく引き下がるべきでしょうが、それをみすみす許してくれるでしょうかね…。
残る半数を振る網と飛ばす網とでそれぞれ確保し、抜け出そうともがく蜂の集団に向けて、可哀想とは思いつつも巨大ハンマーを構えます。
「魔法少女って大変です…」
2回ハンマーを振るい、確かに叩き潰したのを確認し、蜂の全滅を確認します。
さて、一段落ついたところで辺りを見渡すと、酷い有様の光景が広がっています。棘の刺さっている箇所以外は私のせいなので、これではどっちが人類の敵だか分かりませんね……。
さっさと直して家に帰りましょう、などと思っていた矢先――
『危ネェ、避けロ!』
ネルベノンの警告で私は咄嗟に身を放り出します。
見えたのは一閃。辛うじて、なので警告が無ければ直撃してましたね。
向上した身体能力でバク転をし、しゃがんだ状態で一閃の通り過ぎた方向に顔を向けると新たな『歪曲獣』がそこに居ました。
豹、でしょうかあれは。豹型の金属生物もまた鋭い眼光で私を捉えてきます。
先程の蜂と比べてかなり肉体が黒くなっている気がします。
それに所々が抉れてそこから青く発光しています。あれは、傷跡でしょうか。
『来るゾ!』
私が反応するより先に豹型が動きます。は、速い。
高速で動く『歪曲獣』に対処出来ず右腕に噛み付かれました。
「くぅ…!」
肉をえぐり取ろうとする咬筋力の前に私は痛がることしか出来ませんでした。というか、凄く痛いです。血が噴き出すのでは。
見てられないと思ったのか、行動に移れない私の代わりにネルベノンが動きます。
『何、シやがルッ!』
咄嗟に大きな腕と私の腕を分離させ、ネルベノンが豹の顔を殴ります。
大きな腕の一撃は流石に応えたか、豹は大きく吹っ飛んでいき、舞い上がった砂埃で見えなくなります。
私の腕はどうなったのかと見てみると、怪我一つありません。それと、あれだけ感じていた痛みも消えていました。
ですが、ネルベノンの操る大きな腕は深く破けて、中身の一部が見えていました。
『コうすりゃダメージは俺が肩代わり出来ル。オ前は治癒と迎撃に集中しロ』
色々言いたい事はありますが、四の五の言ってる場合でも無いようです。
私は大きな腕を修復し、元に戻した上で再び装着します。
砂埃が晴れると、表面が少し凹んだ程度の豹型が距離を少しずつ詰めてきます。
「また来ますか…あれを読めと言われても無理ですね……」
目が追い付きませんし飛び込まれてからでは遅いです。せめて仕込みをしないと。
気付かれないように私は視線を豹に固定しつつ、足元の地面に網と装置を生成します。
あの事件以来、物体の生成は手からじゃなくても出来ると判明しました。
……植物型水晶に足を引っ掛けて、お腹を打った時に分かったんですけどね…。
とにかく、今回の戦いは視線を決して逸らさずこちらの動きや仕込みを読ませないのが勝負の決め手になりそうです。
罠は仕掛け終わったので、後は突っ込ませるだけです。来るなら来なさい。ただではやられませんよ。
そしてまた、豹がこちらの反応を超える速度で突っ込んできます。
私に直撃してくるまでもう半分、と言ったところで罠を起動させます。
豹を捕らえるべく、装置で進路上に網を張りました。ある程度速度の乗ったこれなら躱す手立てはありません。
私の算段通り網は豹を絡め取り、倒れた豹はもがきます。これなら、いくら速くても怖くはありません。
早速追撃を、と私は網に近付くと、その光景に唖然とします。
い、居ない。網に捕らえた筈なのに、肝心のものが――
気付いた時にはもう遅く、振り向くとそこに豹の姿が。
前足を器用に駆使した✗字の斬撃が飛んできます。ぎりぎり向き直るのには間に合いましたが防御が間に合いません。
「きゃああっ!?」
防ごうとした巨大な腕の両方が傷付き、仰け反る私に豹が再び食らいつきます。
先ほどダメージを無くせると分かったのに、分離が間に合わず、右腕に今度は更に深く牙の数々を食い込ませてきます。更に強まる痛みで思考が乱れる中、私はこの豹の狙いに気付きます。
もしや、腕の構造に気付いたのでは。大きい腕ごと私の腕を抉るつもりなんだ。分離したとして、今度は出てきた細い腕が狙われるかもしれない。だとしても、気付くのが早すぎます。学習能力が高過ぎる。
「あ、あああっ……」
そうか。これは殺し合いなんだ。
魔法少女だ何だと言って意識していませんでした。
勧善懲悪のように見えていて、その実態は魔導士と『歪曲獣』の生存競争。
初陣も直前の蜂も楽勝だったから、認識が薄れていただけ。学習能力の高い者程生き残る、自然の摂理。
この獣は一体どれだけの魔導士を屠ってきたのだろう。一人二人は疎か、十人は堅いかもしれない。
甘かった。全てにおいて甘かった。
だから、豹相手でも痛みなく戦えると、生きて逃げられると思ってしまった。
牙があと少しで届く。届いてしまう。痛い。痛い痛い痛い。反応が間に合わない。何も出来ない。誰か、助けて。私の腕が食い千切られる。食い千切られたら次は。左腕も食い千切られるかもしれない。その次は足かも。見逃してはくれない。殺されるかもしれない。いや、殺される。嬲り殺しにされてしまう。助けて。私はまだ死にたくな――
『ヨウ……』
私の視界を一瞬で暗くする巨大な影が。痛みと恐怖から目を閉じた私が恐る恐る開けると、巨大な左腕が豹の胴を鷲掴みにしていました。
それは豹の位置を固定し、腕を食い千切ろうとする牙が私の腕に届くのをぎりぎりで止めるどころか引き離していきます。
『美味かったかよ俺様の腕ハ……!!』
豹を地面に叩き付けて押さえ、私の腕をぼろぼろの右腕から分離させます。
そして、千切れかけた中身を撒き散らしつつ、その右腕で頭を殴り付けます。
『テメェのせいデ! 俺様の主ガ! 怖がったじゃねぇかヨ!』
殴打。殴打。殴打。
傷付いた者同士の凄惨な光景が目の前で繰り広げられるも、私は涙を湛えつつも目が離せませんでした。
いえ、目を離してはいけないと私に言い聞かせていたのです。
見ろ、しっかり見ろ。これが現実だ。
夢見る少女であり続けたいのなら、現実から目を背けるな。
現実からの逃避を夢などと騙るな。
本気で進む道ならあり得た未来も考慮しろ。
その未来になり得た可能性を潰せ。
豹の顔面はぐしゃぐしゃに潰れて、動かなくなります。しかし、消失を始めた訳ではありません。
『トドメはお前に譲ってやル』
左腕で抑えたまま、ネルベノンは右腕の殴打を止めて最後の一撃だけを私に譲ります。
本心ではネルベノンにやって欲しかったけれど。それでは一生後悔するような気がして。
私は自分の細い腕でも持てるようなサイズのハンマーを生成ししっかり握り締め。
「やああああぁぁ!!」
涙を振り払うように。豹の顔面を力強く殴りました。
全てが終わり、『歪曲獣』の消失した元通りの道路。その片隅で、制服姿の無傷の私は蹲って一人泣いていました。
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