『遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

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11章 ファンファーレが鳴る中

15話 個体と個体が繋がっているだけの社会

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機械猫のあゆみとバイカルが、ブリッジの天井を嬉しそうに見上げた。


宇宙船の倉庫にあった戦闘シュミレーションに熱中していた錬も、ふと天井を見上げてた。


知佳が投げたボールがブリッジの天井に当たり、その後沙羅の頭に当たり錬の頭に当たった後、クルリと足を回した後の知佳の手にすっぽり収まった。


歓喜したあゆみとバイカルは、クルリとバク中をした。

「猫ちゃんたち、すっごい高性能じゃん!」

知佳は喜び、錬はそのボールの動きが天才的だったので、怒る気も失せた。


それなりの大会に出たらそれなりの結果を出せるはずだ。


頭にボールを当てられた沙羅も特に反応することなく、参謀兵との会話に集中していた。


「宇宙機動艦隊の先遣隊の進行速度によっては、惑星ヌードルに着く前に、追い付かれる可能性は少ないでしょう」

「宇宙船の位置は知られているの」

「そう思われて良いかと」


宇宙船ブリッジの椅子は、座り心地が最高だった。

錬はその座り心地を確かめながら、沙羅と参謀兵の会話を聞いていた。


「それより食料事情はかなりヤバいよ」

沙羅と参謀兵の会話に、知佳も加わった。


「あれを食べれば良いんじゃない?」

錬の言葉に沙羅と知佳はスクリーンを見たけど、惑星ヌードルの海では麺が泳いでいる様に見えた。


「あれを美味しい麺だと思えば、美味しい麺だよ」

錬は言葉を加えた。


宇宙船を操縦したままの参謀兵も言葉を加えた。

「あのヌードルは、人類が食料を調達する為に作られた生命体だと言う説もあります」


「「「人類が?」」」

人類の3人は同時に驚いた。知佳は素早く、

「だとすると!食べれてさらに味は良好なはず!」

「でも・・・あれ海を泳いでるよ」

沙羅は拒否った。

「行って食べて見れば、解るよ」

「うーん」


ヌードル生命体は、海をくねくねと泳いでいた。


参謀兵は自身が、人類たちを保護者の様に見守っている事に気づいた。

アンドロイド社会も5000年も続いた結果、親子関係は消滅していった。

個体と個体が繋がっているだけの社会。


新機種で人類時代の記憶すら持たない参謀兵にとって、その感情はとても新鮮な物だった。


人類を乗せた宇宙船は、徐々に加速して、最大船速に達した。



つづく
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