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11章 ファンファーレが鳴る中

1話 思考ノイズの中で

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 話は再び『8章9話 機械の猫の愛が止らない!』機械猫たちと遭遇した時点に戻ります。

 人類の皆さまはこちら↓
【沙羅】この惑星に漂流してきた人類の少女14歳。錬の兄が好き♪
【錬】ゲーム好きな人類の少年13歳。
【知佳】躍るのが好きな12歳の少女


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 知佳が振り回した新体操用のこん棒は、機械猫のあゆみの頭部を直撃し、あゆみの思考回路がノイズに満ちた。

 >しまった!

「えっ何これ、めっちゃ可愛いんですけど!」

 ノイズまみれの中、人間の少女の声が聞こえた。
 今さっき、こん棒で殴りつけた少女だろう。

 >可愛いんですけど!?

 思考が乱れる中、あゆみは必死で思考を巡らせた。

 >可愛いんですけど!?俺の事か?
 >俺の事だよな!
 >間違いなく、俺の事を可愛いって言っている!

 あゆみが機械猫になったのは、人類滅亡後。
 当然、生きてる人間に「可愛い」と言われた事がなかった。

 >可愛い。猫として、こんなに嬉しい事はない・・・

 あゆみの思考回路内は、今まで感じた事がない程の幸福感に満ちた。

 >可愛い。なんて良い響きなんだ。

 さらに機械猫のあゆみの視線に入ってきたのは、本物の猫だ。

 >!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 その衝撃は、言葉に出来なかった。

 >これが本物の猫!?なんて事だ!可愛すぎるじゃないか!

 さらに清楚な美しい少女が見えた。

 >美しい・・・交渉相手の娘か?
 >そうか、俺は人類と交渉しなくてはいけなかったんだ。

 倒れ込んでいたあゆみは、ゆっくりと立ち上がった。

「まだやる気?」
 こん棒を持った少女が挑発してきた。

 >『待て』あれ声が出ない。
 >あのこん棒の攻撃のせいだ。
 >ああああああああ。

 こんな時の為の猫笛を吹いた。
 生の猫たちは反応したが、人間たちには聞こえないらしい。
 バイカルなら駆けつけてくれるはずだ。


 とりあえず間が持たないので、あゆみは踊ってみた。
 こん棒をもつ少女は、機械猫の踊りに少しだけ驚いたが、こん棒少女も綺麗に踊り始めた。

 >なんて美しいダンスだ!
 あゆみは、ただ見惚れた。

 >恋をしたかのような感覚。
 >異種同士の遭遇としては、こんな良い出会いはないだろう。

 こん棒を持つ少女が動きを止め、表情から笑顔が消えた。

 >なんだ?

 視界にバイカルが映った。
 あゆみにとっては見慣れた白虎型アンドロイドだが、知らない奴が見たらかなり凶暴ななりをしている。
 そんな奴が、突進してきていた。
 あゆみが襲われたと思ったのだろう。
 襲われたのは事実だが!
 状況は急変した!

 >バイカル!待て!


 つづく
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