『遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

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10章 時の記憶

19話 銀河連邦と人と機械と

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「この太陽系の外の事情だよ」

機械ネズミは、あゆみとバイカルに視線を送った。

「太陽系の外の事情?」

「まあ銀河連邦内の事情だな」

「銀河連邦!」


『その存在は知ってはいたが、この太陽系はほぼ鎖国状態だし『知ってはいる』程度だな』


バイカルは答えたが、白虎のアンドロイドのくせに知的な発言に、あゆみはちょっと驚き



「お前はなんなんだ?」

『俺は元は動物園で飼われていたホワイトタイガーだ』

「動物園で飼われていたホワイトタイガーが、アンドロイド化したのか?」

『まあ、そうだな』

「なんちゅう事だ!」

『その台詞、5000年前も聞いたぜ』

「では再び、なんちゅう事だ!」

『懐かし~』


あゆみとバイカルをほっといて、青銅の生き物と機械ネズミは、会話を続けた。

「その5000年前に、この太陽系は銀河連邦から離脱しました」

「離脱?」

機械ネズミは、やたら知的な顔をしながら聞いた。


『お前、秘密結社の幹部なのに知らないのか?』

バイカルの問いに、一瞬間を開けて、

「専門分野がどうのこうのだよ」

と言葉を濁した。


青銅の生き物は話を続けた。

「銀河連邦議会は、アンドロイドによって人類が滅亡に追い込まれたと疑いを掛けましたが、アンドロイド評議会は、疑いを晴らすことなく、銀河連邦からの離脱を宣言しました」

「それはやはりアンドロイド評議会が、人類を滅ぼしたと?」

「確かな事は、銀河連邦も掴んではいませんが、疑いが晴れない以上、そう言う事だと判断されたのでしょう」


人類滅亡の話で、疲労が溜まったのか、あゆみとバイカルは、興味を失くしてしまったらしい。


「これだから!猫は・・・」機械ネズミは思考回路の奥で思考した。



つづく
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