『遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

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10章 時の記憶

17話 5000年後に突然来た様な感じ

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『しかし、あゆみの5000年分の記憶は大丈夫なのか?』

「まあ記憶図書館の出禁を食らってなければ、2、3000年分はどこかにあるんじゃない」


心配そうなバイカルに、機械ネズミは返答した。


あゆみとバイカルが出会ったのは、機械化後だ。

ほぼ5000年間一緒にいた思い出が消えてしまうのは哀しいのだろう。

元動物園の白虎のバイカルは、そんな表情をしていた。

野生と違って動物園育ちのバイカルは、どこか優しげだ。


そんなバイカルにあゆみは、言った。

「お前・・・カッコええな、なんか俺ら相性が良さそうだ」

バイカルは嬉しそうに微笑み、機械ネズミは、

「お前らは機械化後の5000年、一緒に居られた訳だから、そりゃ相性は良いだろうよ」


そんな機械ネズミにあゆみは、

「お前は元人間だったのか?」

「ああ、その通りだ。自らの意思でこの素晴らしき機械ネズミへと姿を変えたのだ」

「えっマジ?馬鹿なの?」

爆笑するあゆみに、バイカルは、

「笑ってやるなよ、こいつにもこいつなりの生き方があったんだ」

「そうだな」


あゆみとバイカルは、機械ネズミを見つめた。


「なんだその視線は!俺を哀れむな!」



「さて、皆さま、それでは今後の事を考えて行きましょう」

青銅の生き物は、声を掛けた。


「5000年後に突然来た様な俺としては、状況が着けまないのだが・・・」

あゆみの問いに、機械ネズミは言った。

「ここは俺に任せろ!」


あゆみは機械ネズミの乗るペガサス号を見上げると、

「これネズミの玩具じゃないだろうな?」

『そう見えるが、大丈夫だ。イマイチ自信はないが』


「そこは自信を持てよ!白虎!危機を一緒に乗り越えて来た仲間だろう!」



「それでは迎賓館の方へと案内します」

青銅の生き物は、声を掛けた。


「えっ迎賓館だって?5000年経った俺は何してんだ?」

『まあ、それは追々』




つづく
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