『遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

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10章 時の記憶

16話 俺、凄いな、やっぱり(笑)

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「なんじゃこれーーーーーー!俺はどうしてしまったんだ!

なんで?なんで?なんで?俺はロボットになってるんだ!」

あゆみは自らの身体を見て、絶叫した。


その絶叫に、青銅の生き物はぎこちなく驚き、機械ネズミはペガサス号を飛行モードに変形させ、あゆみの周りを飛び回った。


『人類時代の意識が甦ったのか?』


5000年も生きていれば、そんなエラーも多々ある。


あゆみは、意識がカオスな状態のまま泣き叫んだ。

「なんなんだよ!」


機械ネズミは、あゆみの上空を飛びながら、

「そりゃあ自分の身体が、突然ロボットになってたら驚くよな」


5000年前、人類は自らの人の身体を喪失した。

理性では解ってはいたが、それは衝撃的な選択肢だった。


カオスに泣き叫んでいたあゆみが、動きを止めた。

「あっそうだった、人類は滅亡するんだ」


あゆみは絶望したまま、天を仰いだ。


『あゆみ、落ち着いたか?』

あゆみは、そう言う白虎のロボットのバイカルを見つめた。


「お前は、なんやねん!」

「当然なツッコミだな」


機械ネズミはにやけた。


「お前も、なんやねん!」

「当然なツッコミだな」

さらに思慮深げな青銅の生き物に対しても、

「お前も、なんやねん!てか、ここはどこやねん!」


機械ネズミは、

「あのな、あゆみ、人類滅亡からもう5000年経ったんだ」

「5000年!マジで!ええええええええええええええ!」


あゆみは数分、事態を理解するのに要した。

そして水族館のガラスに映る自分の姿を見つめた。

「なんやねん!俺は?」


『5000年かけて進化したお前の姿だ』

あゆみは再び、ガラスに映る自分を凝視した。


「マジか・・・ふふふふふふふふふ、俺、凄いな、やっぱり(笑)」

あゆみは、にやにやと自分の5000年かけて進化させし続けた機体を確認した。


「お前、ホント猫やわ」

機械ネズミは呟いた。



つづく


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