『遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

文字の大きさ
上 下
182 / 243
9章 不確実な記憶の世界で

20話 漆黒の宇宙空間に苔色に輝く星

しおりを挟む
【サイン】の中枢へのアクセスを許された機械ネズミは、それなりに忙しかった。

機械猫たちが、【サイン】に報告をしたとも思えない。

そもそも機械の猫たちは、そーいった組織的な事が苦手な連中だ。


機械ネズミは、人類が連れてきた猫に関する報告書を書いた。

機械化して猫に成りたい種類の奴と、鼠になりたい奴の差は、この細かさだ。

実際の鼠が、細かい事を得意としているかどうかはともかく、少なくとも鼠になりたい奴は、細かい事を得意としている。


そして、そんな自分をカッコいいと思っている。


機械ネズミは、キーボートを叩く自分の姿を鏡で見て、にやけた。

さすがだ俺!


機械ネズミは、宇宙船の窓から外の景色を見た。

何もない暗闇だ。


太陽系内とは言え、宇宙空間の広さは、小さな惑星に住んでいた生き物にとって広大過ぎた。

色んな事がどうでもよくなるが、惑星に帰れば、細々と生きなくてはならないのだ。


苔の準惑星がある宙域は、太陽系の中では重要航路からだいぶ離れた田舎な場所にあった。


「あれか」


漆黒の宇宙空間に苔色に輝くその準惑星は、機械ネズミの思考回路を、優しく包み癒しをもたらしてくれた。

きっと良い生命体がいる惑星なのだろう。


機械ネズミの小さな宇宙船に、何かが接触している様な気配がした。

何かが・・・アンドロイドの文明レベルでは、探知も出来ない何かだ。


数分後、その何かが小さな宇宙船と機械ネズミを承諾した。


何が行われたのかは解らないが、機械ネズミの思考回路はほっとした。




9章 不確実な記憶の世界で 完


10章へ つづく




☆…━━━━━・:*☆…━━━━━・:*☆…━━━━━・:*☆







機械のネズミ

【アルバム】機械猫より賢そうだが、本体の記憶容量は少な目。

【ペガサス号】アルバムさんの大切な乗り物。


機械の猫

【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。

【バイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。


【黒猫と白猫】人類と一緒にやってきた猫


【獅子の様な石像】石で出来た生命体?

【苔玉ちゃん】苔の知的生命体。人類より高度な文明に属してそう。


【男義のある鉃人】Feな生き物 

【女義のある鉃人】Feな生き物


人類時代の記憶を持つアンドロイド

【ソフィー】後の世の英雄のアンドロイド

【デューカ】ソフィーの相方


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?

俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。 この他、 「新訳 零戦戦記」 「総統戦記」もよろしくお願いします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

戦争と平和

澤村 通雄
SF
世界が戦争に。 私はたちの日本もズルズルと巻き込まれていく。 あってはならない未来。 平和とは何か。 戦争は。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~

海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。 再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた― これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。 史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。 不定期更新です。 SFとなっていますが、歴史物です。 小説家になろうでも掲載しています。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...