『遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

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9章 不確実な記憶の世界で

15話 苔玉ちゃんが地道に、画像処理をした映画

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『まただ』

バイカルの声であゆみも気づいた。


いつの間にか、綺麗に研磨された石に囲まれた神殿中枢部にいたのだ。

苔玉星の文明と技術レベルの高さを、あゆみとバイカルに思い知らした。


この技術を越える技術力がない文明は、この神殿中枢部に辿りつく手段がないのだ。惑星ごと破壊すれば別だが。


当然、惑星を破壊を防止するシステムも備わっているのだろう。


『苔なのに』

「そうだね」

バイカルの言葉に、あゆみも同意した。


あゆみがその場所を神殿中枢部は、綺麗に研磨された石の壁で囲まれていた。

バレーボールが出来るぐらいの広さはあった。


獅子の石像が、幾つかの石の壁に触れると、研磨された石に惑星周辺の映像が映された。


『おおお!』

「この古い遺跡と思わせといて、最新鋭!やるね~」


「それでは皆の衆が気に入って頂ける、映画の上映会をしたと思います!」

石像のどっちかが言った。


『映画?俺ら別に遊びに来ている訳じゃないんだ』

「石像さん達さ、俺たちはさ、来訪した人類をどうするのかって話をだな。

それに俺たち暇じゃないんだ。お前らと違って!

(実際はめちゃくちゃ暇だが、そもそも暇つぶしに秘密結社サインに関わり、暇つぶしに人類と絡もうとしている機械猫たちなのだが)」


あゆみとバイカルの抗議に、石像たちは、

「苔玉さまに映画を見せるように言われたので・・・」

右の方の石像は言い、左の方の石像がさらに

「とりあえず苔玉さまに、確認をしてきます」



「ちょっと待って、ちょっと待って」

あゆみは慌てて石像たちを制止した。

苔玉さまの時間の感覚では、待ち続けなくてはならなくなる。


『苔玉ちゃんが言うなら、何か考えがあるんだろうよ』

「解った。とりあえず映画の上映会をしてみようぜ」


「了解です」

石像たちは、もちろんハモった。


神殿部中枢の部屋には、座席もポップコーンも何もなかった。

仕方なくあゆみとバイカルは、床にじかに座った。

神殿の中枢部の部屋が暗くなり、映画が始まった。


映像自体は見やすく綺麗だが、画像処理の修正を繰り返している痕跡が伺えた。

『苔玉ちゃんが地道に、画像処理をしたのか?』


宇宙船がこの星に入ってくる映像が流れた。


ここの星の宇宙港に入った宇宙船から、人々が降りて来た。


「なんだよ・・・これ」

『人類だ・・・』


あゆみとバイカルは見入った。



つづく




☆…━━━━━・:*☆…━━━━━・:*☆…━━━━━・:*☆






機械の猫たち


【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。

【バイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。


【黒猫と白猫】人類と一緒にやってきた猫

【獅子の様な石像】石で出来た生命体?


【ソフィー】後の世の英雄のアンドロイド

【デューカ】ソフィーの相方


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