『遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

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9章 不確実な記憶の世界で

9話 遠い未来の生命体に伝えたい。

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『めっちゃみどり~』

バイカルの声に、あゆみも窓の外を見た。



建物の窓の外から、外の景色が見えた。

緑の正体は木ではなく、地面を苔が覆っていた。

僅かだが大気があるのだろう。

薄い大気でも生きられる種なのかも知れない。


きっと宇宙から見ると、緑の苔玉の様な準惑星だろう。




「かなり薄い大気だが、酸素が必要な生き物の猫は、大丈夫か?」


「にゃにゃ」

黒猫と白猫が鳴いた。


するとバイカルが

『にゃ』

と鳴き返した。それは明らかに会話をしていた。


『ここの空気は、美味しいだってさ』


「って言うかお前?猫としゃべれるのか?」

『ネコ科だから、当然だろう。まあ猫と虎とでは多少の誤差は出て来るが』

「マジか!」


そんな事を言われたからって、信じられないが、でも元白虎のアンドロイドがいるくらいだし・・・


「にゃにゃ・・・・」

『にゃあにゃあ・・・』


バイカルと主に黒猫は、長めに話した。

本当に会話が成立しているのかは、確かめようがない。


バイカルと話す黒猫をよそに、白猫もあゆみに話しかけている様だったが、じゃれているようにしか見えない。


しかし!機械猫として生まれ変わったからには、猫語を話したくもなる。

後でバイカルに猫語データを、ダウンロードさせてもらおう。



『この猫ちゃんたちは、自らの遺伝子に書きこまれた情報を読み取れるらしいんだ』

「は?」

『そう言う風に誰かに作られたのか、自然発生したのかは解らんらしい』

「5000年前の人類に遺伝子書き込み技術は、あった・・らしいが、う~ん、それを読めるかとなると、また違う次元の問題だが」


黒猫は、

「にゃ」

と鳴くと疑うあゆみに尻尾を振り、神殿の様な建物の奥に進んだ。


『着いて来いってさ、とりあえずついて行ってみようぜ』

「ああ」

あゆみとバイカルは、黒猫と白猫の後を追った。


『もし遠い未来の生命体に何かを伝えていのであれば、遺伝子は最適だぜ』

「まあな」



白猫の方は、あゆみと寄り添いながら歩いた。


「こいつ俺らの事なんて思ってんだろう?」

「にゃんにゃん」

白猫の方が鳴いた。


『あゆみは、センスは良いってさ』

「さすが生きてる猫、解ってるね~」




つづく




☆…━━━━━・:*☆…━━━━━・:*☆…━━━━━・:*☆




【生き物】黒猫と白猫


機械の猫たち

【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。

【バイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。


機械のネズミ

【アルバム】機械猫より賢そうだが、本体の記憶容量は少な目。

【ペガサス号】アルバムさんの大切な乗り物。


人型アンドロイド

【砂糖さん】シュガーコート177。あゆみとバイカルが買ったアンドロイド。

【シュガーコート001】もっともお手頃なお値段のアンドロイド。


【ソフィー】後の世の英雄のアンドロイド

【デューカ】ソフィーの相方



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