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8章 5000年前からの贈り物
16話 人見知りのくせに、親分肌
しおりを挟む機械ネズミの部屋には、多くの通信用の配線が通っていた。
「ここから時々極秘情報なども手に入ったりするのだよ」
ミニチュアドールハウスの可愛い椅子に腰かけた、機械ネズミは言った。
部屋の壁には、『アルバム』と書かれたハードディスクがあった。
外部とは繋がれていない事から、きっと機械ネズミの外部記憶装置なのだろう。
外側をハイパーダイヤモンドでコーティングされた外部記憶装置は、キラッキラに輝いていた。【1000年壊れないハードディスク】遠い昔、そんなCMがあった。
「気づいたかね。この中にわたしの貴重な記憶が内蔵されている。
こうやってちゃんとわたしの名前が書かれているだろう」
機械ネズミは自慢げに行ったが、『アルバム』としか書かれてはいなかった。
?っと思ったあゆみは、
「アルバムさん?」
「そうアルバム」
「あなたのお名前が」
「アルバム」
変った名前ではある。
アルバムと言ったら写真を載せたり、楽曲を収録したりするものだけど、まあ自分の外部記憶装置を、アルバムと言ったりするのも解らないでもない。
「あのーネズミさん、突然ですが、写真を載せたりする本って何でしたっけ?」
「なんですか猫さん、突然クイズですか?」
「猫の気まぐれです。お付き合い頂ければ嬉しいのですが」
「写真集かな」
「他に違う言い方ありませんでしたっけ?」
「えー思いつかないな」
あれ?この機械ネズミは、自分の名前を忘れてしまったのか?
何らかのバグで、自分の名前が消えてしまった。
そこでこの機械ネズミは、キラッキラのハードディスクに書かれた『アルバム』と言う名を、自分の名前だと、結論付けた。
そして論理性を持たせる為に、『アルバム』の本来の意味を忘却させた。
論理的ではない思考を整えるスキャンプログラムが、作動したのだろう。
そのスキャンプログラムは、問題を多々指摘され、最近、製造禁止になったはずだ。
多くのアンドロイドと伴に暮らしていると、そのバグに気づくはずだが、この機械ネズミは、ずっとここで孤独に生きてきた。
だから自分の名前を忘れた事にも気づかなかった。
だからと言って、あゆみがそれを指摘するのは、めんどくさいので、バイカルに視線を送った。
もちろんバイカルも、『めんどくさい』と言うかと思ったが、バイカルは、
『こいつの名前、きっとどこかにあるかも、いつか見つけてやりたい』
バイカルは、異常に人見知りのくせに、親分肌なところがある。
「そうだな」
あゆみはそんなバイカルが嫌いではない。
つづく
読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、日曜日更新です(σ⁎˃ᴗ˂⁎)σண♡*(ღ*ˇᴗˇ*)。o♡ウットリ♡
機械の猫たち
【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。
【バイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。
機械のネズミ
【アルバム】機械猫より賢そうだが、本体の記憶容量は少な目。
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