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8章 5000年前からの贈り物
13話 文字にすれば【にゃあ】
しおりを挟む13話 文字にすれば【にゃあ】
アースの宇宙港に着くと、あゆみとバイカルは砂糖さんのペットのなった。
機械猫はペットなのだ。
カラカルも白虎も野性味の強いタイプの機械猫。
「ペットは苦手」
あゆみは呟いた。
それでも、砂糖さんに連れられて、あゆみとバイカルは意気揚々と税関ゲートをくぐった。
そして、とりあえず。
「にゃあ」
と、カラカルのあゆみの鳴き声は、まったく可愛くなかった。そして、
「にゃあ」
と、もちろん白虎のバイカルの鳴き声も、まったく可愛くなった。
その様子に税関のアンドロイドは、激しく凝視した。
しかし、可愛くないからと言って、問題に出来るはずもなく。
2匹の機械猫は、まるで可愛らしい猫がするように、優雅に尻尾を振った。
違う!違う!違う!それは可愛い猫のみが許される仕草だ。
猫好きの税関アンドロイドは、思考回路の奥で叫んだ。
こんなに可愛くないにも関わらず、相当な金額なのは、自身も機械猫を飼っている税関のアンドロイドには解った。
さらに、税関のアンドロイドが、激しく凝視した対象は、機種名シュガーコート177の砂糖さんだ。
これだけ機械猫に金をかけているにも関わらず、飼い主は低価格低性能なのだ。
ここまでの低価格低性能のアンドロイドは、まず見かけない。
まるで初期も初期のAIの受け答えしか出来なかい。
しかし、低価格低性能だからと言って、問題に出来るはずもなく。
価値観は、それぞれなのだ。
書類には不備はないし、怪しい持ち物もなかった。
「どうぞ、アースの旅をお楽しみください」
税関のアンドロイドは、心にもない事を言った。
税関ゲートをくぐり抜けると、あゆみとバイカルはとりあえず鳴いた。
「にゃあ」
「にゃあ」
文字にすれば【にゃあ】なのだが、それはまるで嵐の夜に軋む何かの音の様に思えた。どことなく不吉なのだ。
「早く家に帰って、飼っている機械猫を愛でたい」税関のアンドロイドは思った。
この時、税関のアンドロイドが、この変な人型と機械猫に疑惑を持って対処していれば、もしかすると秘密組織サインの一角に触れられたかも知れない。
評議会議長ですら知らない秘密組織サインの事を。
もちろん税関のアンドロイドが飼っている機械猫も、秘密組織サインだと言う事は、知る由もない。
つづく
機械の猫たち
【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。
【白虎のバイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。元々は白虎。
人型アンドロイド
【砂糖さん】機種名シュガーコート177。低価格低性能のアンドロイド。
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